#26 エルメスが運ぶ、心地よい非日常

外側は乳白色、内側はこのメゾンを象徴する色、かぼちゃ色。灯火がともると、光は磁器を温かく透過して、新しい表情をうつわに与えます。

この手触りが、また良いのです。ざらつきをたたえたポーセリンの感触は、手のひらにすっぽりとなじんで心地よい。まろやかな面の数々は、モダンでありながらどこか「禅」の趣きです。フランス人陶芸家のギョーム・バルデが生み出したかたちは、私たち日本人の感覚にすんなり寄り添うわびさびを静かに届けてくれます。

フレグランスキャンドルではあるけれど、磁器のうつわはオブジェとしても愛でられる美しさ。キャンドルからは、草をいぶしたような辛口な空気と、使い込んだ革の残像が灯火とともに漂います。パッケージもその内側も、シンプルで潔い。エルメスの美学を象徴したようなパフュームド キャンドル MM「馬にのって!」は、この夏は、まだ太陽が高い時間に火を灯すのが週末の習慣に。うだるような毎日に、ひとときの癒しをもたらしてくれています。(エディターIGARASHI)