迷える今こそ、ユーミンを聴くのです #深夜のこっそり話 #1471

人生で最初に憧れた大人がユーミンです。きっかけは当時人気だった木曜21時の歌番組。小学生の私は、テレビで初めて見た『守ってあげたい』に、完全にノックダウンされました。洗練されたビジュアルもさる事ながら(ブルーのホットパンツにハイヒールがめちゃくちゃかっこよかった)、歌の世界観にとんでもない衝撃を受けたんですよね。なぜなら、昭和という時代のせいなのか? 単に子供だったのか?オンナコドモは守って“もらう”もの」という、今思えば謎の固定観念が刷り込まれていたから。

「え〜〜!? 守って“あげる”ってパターンもあるのか!」。未知への扉が開いた瞬間でした。まぁ、リアルに共感できたのはそれから何年も経ってからですが。それでも、幼少期に謎の固定観念から解放されたこと、「世の中には自分の知らない感情がたくさんあるんだろうなぁ」と気付けたことは、その後の人格形成に影響しているように思います。そしてそれから何度も、自分の心が次のステージに向かおうとする時、ユーミンが行先を照らしてくれました。

2020年にリリースされたアルバム『深海の街』。表題曲
2020年、約4年ぶりにリリースされたユーミンの最新アルバム『深海の街』

さて、先日、久しぶりにユーミンのコンサートを観ました。2020年にリリースされたアルバムを引っ提げての『松任谷由実 コンサートツアー 深海の街』です。もともとは2020年に予定されていたものがキャンセルになり、今年待望の開催となったわけですが、私にとっても約2年ぶりのリアルライブ。数年ぶりの生ユーミン。いろんな意味で期待と不安がせめぎ合う心を若干持て余しながら、京浜急行に揺られて横須賀へ。ツアーはスタートしたばかりなのでネタバレは控えますが、ライブ参戦の復活が『深海の街』でよかった!

ツアーパンフレットには、チャレンジコインに由来するというコインが
ツアーパンフレットには、チャレンジコインに由来するというコインが。チャレンジコインは主に米軍で、仲間であることの証や、ミッションの功績に対する感謝の印として送り合う記念のメダルだそう

どこに向かっていけばいいのかわからない、不安定な今の空気に優しく寄り添いながらも、世界がキラキラしていた頃のようなパワーを、時世に合った進化系にして見せていただいた、という感じ。以前はイントロを聴くだけでワクワクしていたバブリーな曲もなんだか妙に沁みてしまったけど、それも時代の変化として受け止めました。

この2年弱で変わったことは、良くも悪くもすっかり元通りにはならないかもしれないけれど、とにかく新しい明るさに向かって行こう、と。帰りの京急に乗る頃には、そんな漠然とした前向きな気持ちになっていました。大人になって忘れかけていたけれど、やっぱりユーミンは心の次の行先を照らしてくれるんだなぁ。

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エディターYOKOMIZO

ビューティ担当。バレエとサーフィンと南国が好きです。紫外線と上手に付き合うことが永遠の課題。メイクでひとの表情が、ぱっ!と明るく、笑顔になる瞬間が大好物です。

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