【ミラノコレクション2022SS②】きらびやかな連帯に励まされる

それぞれのブランドのアイデンティティを通して、現実と向き合うスタンスを表明していたミラノファッションウィーク。後半戦も、ディスコライクな世界観から、会場が一体となった感動的なステージパフォーマンスまで見どころがたっぷり。「今ここ」の最適なあり方を見つめながら、ポジティブな未来を見据えようとするシーズンになった。

【TOD'S】爽やかな風に吹かれて、街を闊歩したい

©︎IMAXtree/AFLO

PAC
(現代アートパビリオン)を舞台に発表された今季。テーマはシンプルに「イタリアン・ライト・ライフ」。それを体現するように、後半にかけて現れる軽やかでスポーティな素材感や明るい配色にバイブスが高まる一方! ロング丈の荘厳なドレスももちろん素敵ですが、短いレングスのワンピースをさらりと着て日常を彩りたい、という気持ちにフィットします。襟もとやポケットにはレザーが配され、このブランドらしい上品なポイントに。足もとはラバーソールのサンダルやスニーカーでまとめた、アクティブなムードも気分でした。発売中のエンダースキーマ×トッズのコラボレーションも、両者のクラフツマンシップが掛け合わされ、素敵でした。個人的にはこのピタゴラスイッチ的なムービーが好きで、つい繰り返し観てしまいます。

【MISSONI】若者世代に向けて、ヒッピー×Y2Kエッセンス?

©︎IMAXtree/AFLO

会場となったのは郊外の鋳造場。高い天井から射す自然光が気持ちいいムード。新クリエイティブディレクター、カルロ・カリーリのデビューショーでした! ヒッピーなムードと、パワフルなセンシュアルさを兼ね備えたウェアに釘付け。ミニマルでインダストリアルな会場とのバランスも絶妙です。スパンコールやラメが織り交ぜられていたりするシャイニーな質感やローライズデニム、ビーズを繋いだビスチェなど、これはまさしくY2Kなのでは! 馴染みのあるタペストリー柄もカットアウト&パッチワークし、2000年代的なエッセンスを加えることで新たなイメージへと刷新。ランジェリーのようなトップスも、自分のために肌を出すことを選んだ女性像だと感じました。今季、大胆な肌の露出も気になる要素のひとつです。ミッソーニ・ガールズが集まったファッションフォトは絶対可愛いだろうな〜、と夢と妄想も広がりました。

今密かに真似したいな、と狙っているベルトチェーンもポップなデザインにときめきます
©︎IMAXtree/AFLO 密かに真似したいと狙っているベルトチェーンもポップなデザインが可愛い。ハイパーローライズなシルエットも今のムード

【DOLCE&GABBANA】こちらもY2K賛歌! あの時がカムバック

©DOLCE&GABBANA
©DOLCE&GABBANA

眩しいきらめきと、ディスコティックな音楽を纏って。DOLCE&GABBANAのショーで炸裂したパーティバイブスにも胸が躍りました。アッパーなBGM(Black Legendの「You See The Trouble With Me」!)を率いて、レーザーライトが明滅するステージからモデルたちが力強く闊歩します。テーマは「DG LIGHT」。JLOことジェニファー・ロペスのプリントTシャツ(さらに襟もとには懐かしの大振りなラインストーンが……!)が現れたかと思えば、“2000 FASHION moment”とのロゴが印字された服も! まさしく、Y2Kを謳歌する女性のファッションを再解釈したシーズンです。カラフルなビジューがあしらわれたデニムのセットアップに、カムフラージュ柄やレオパード柄がクラッシュ。ブロケードのジャケットや、裾や襟もとにダメージ加工が施されたタイダイTシャツのフロントにも、スパンコールの刺しゅうが施されていたり。パンツはもちろんローウェストで、あの時代への賛歌を強く感じます。一段と目を引いたのは、ボレロジャケットの誇張されたショルダーのデザイン(上写真)。様々な要素が掛け合わさった華やかな服たちに魅了されつつ、クラブパーティに紛れ込んだような心持ちになりました。

【MARNI】会場が一体となったエモーショナルなショー

©︎IMAXtree/AFLO
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最後はマルニ。1年に渡るデジタルファッションショーではデザイナーのフランチェスコ・リッソの仲の良い友人たちがモデルとして着用したルックが印象的でした。今回掲げたメッセージは「WEAR WE ARE」。円形に据えられたメインステージを囲むように観客が座る設計です。その客席には、スタート前からマルニのジャケットを着てゆらゆら揺れるパフォーマーたちが着席。アカペラ合唱団とともに入場し、ショーがスタートしました。デイジーなどのフラワーモチーフや色使いがウィメンズとメンズで共鳴しています。パンキッシュなテイストを織り交ぜながら(モヒカンヘア、パンチが効いてます!)、ドレスやオーバージャケットなどがラインナップ。服と着る人の間に余白があり、体が少し泳ぐようなシルエットが印象的です。ストライプもキーモチーフのひとつ。手描きらしいラインから斜めに流れるデザイン、ピッチの異なる線の組み合わせなど様々。ここにも多様性や自由というデザイナーのメッセージが込められているように感じます。

ショーの重要なファクターとなったのは音楽。ディレクションを手掛けたのはBlood OrangeのDev Hynes、中盤で詩の朗読を披露したのはMykki Blanco、ブルーのフラワーパーツのドレスで歌ったのは、ブルックリン出身のシンガー、Zsela。彼女は以前のショーでもモデルとして出演していました! さらに、ショーのクリエイティブディレクションを手がけるのはBabak Radboy。Telferを手がけているクリエイティブディレクター兼アーティストとしてシーンを築く存在です。コラボレーターたちの面々にもすごく「今」を感じます。

劇場型のパフォーマンスは会場を一体に包み込み、フィナーレは大きな拍手に包まれました。フィジカルでショーを開催することの意味と向き合って生まれたショーなのだと強く感じました。

©︎IMAXtree/AFLO 歌手のZselaはアップカミングな存在!
©︎IMAXtree/AFLO 歌手のZselaはフラワーモチーフをつなげたドレスで装って
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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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