英王室を越えて世界を変えたプリンセス・ダイアナがもらたした「10の革命」

没後23年を迎えた現在も、多くの人々から愛され続けているダイアナ元妃(享年36)。スタイルアイコンとして名高いが、王室での役割を「社会的弱者と向き合い、助けること」と掲げ、その生涯を慈善活動に捧げた英王室きっての活動家としても知られている。

そんなダイアナ元妃が英王室にもたらした変化のひとつが、人々と直接触れ合うために、グローブを着用しない公務スタイル。エイズやハンセン病患者と素手で握手をする写真は、これらの病気に対する偏見が根強くあった当時、世界中に大きな衝撃と感動を与えた。

Photo:Press Association/アフロ
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また、チャールズ皇太子(71)との間に授かったウィリアム王子(38)とヘンリー王子(36)への掟破りで熱心な教育方針は、現代のロイヤルファミリーの指標に。

格式高いロイヤルファミリーの一員でありながら、ダイアナ元妃が望んだのは、あくまでも「普通の生活」。一般人の感覚を身につけさせるため、わずか2歳の息子たちを保育園に入園させ、テーマパークやファストフード店に連れていったというエピソードも。

今回は、そんな彼女が英王室と世界にもたらした「10の革命」を、貴重な写真とともにプレイバック! 知れば知るほど、ダイアナ元妃のその情熱と人間的魅力に憑りつかれずにはいられない。

1.手袋を拒否! 民衆と言葉を交わし、素手で触れ合う

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Photo:Press Association/アフロ

エリザベス女王(94)が現在も守り続けているように、手袋は英王室の女性の公務スタイルに欠かせないアイテムのひとつ。しかしダイアナ元妃は、これを拒否! その背景には、人々と素手で触れ合い、距離を縮めたいという想いがあったそう。

じつは、英王室のメンバーが民衆と握手をしたり、会話を交わしたりするのも、ダイアナ元妃が広めた行為のひとつ。その遺志はウィリアム王子&ヘンリー王子へと受け継がれ、現在ではよく見る光景に。

Photo:代表撮影/ロイター/アフロ
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写真は、2020年8月にバリー島を訪問した際に撮影された1枚。ソーシャルディスタンスは保ちつつ、子どもたちの声にしっかりと耳を傾けるふたりの姿が印象的だ。

2.写真の影響力に着目し、偏見をなくすために活用

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Photo:SASSAKI ALEXANDRE/GAMMA/アフロ

1991年4月、ブラジルの施設を訪問したダイアナ元妃。AIDS患者と素手で握手をする写真が当時、世界中でセンセーショナルに報じられた。

当時はHIV感染者・AIDS患者に「触れると感染する」と信じ誤解する人が多く、差別が社会問題に。そんな世間の誤解を正すべく、ダイアナ元妃は写真を通し世界に訴えかけた。

Photo:AP/アフロ
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そして忘れてはならないのが、地雷廃止運動のために活動するダイアナ元妃の雄姿を捉えた、こちらの写真。1997年1月、ダイアナ元妃はBBCの取材チームとともに、内戦の影響で多くの地雷が残っていたアンゴラを訪問。地雷原を歩く姿を撮影させ、世界の関心を集めることに成功した。

3.海外公務に子どもたちを同行

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Photo:Press Association/アフロ

子どもをロイヤルツアーへ連れ出すことは滅多になかったという英王室。そんな王室の慣例を変えたのもまた、ダイアナ元妃。

ダイアナ元妃とチャールズ皇太子が、生後9カ月のウィリアム王子を連れてオーストラリア&ニュージーランドを訪問すると、大ニュースに。その真意は明らかになっていないものの、育児と仕事を両立する新しい母親像を広めた、と讃える声も少なくない。

4.多くの慈善活動を支援し、情熱を注いだ

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Photo:代表撮影/ロイター/アフロ

生前のダイアナ元妃が関わった慈善活動は、100件をゆうに超えると言われている。なかでも精力的に支援していたのが、王立マースデン病院(がん治療センター)の設立&運営、ホームレスチャリティセンター、ハンセン病団体、国立エイズ病院。

王立マースデン病院設立前の現場にて。Photo:Getty Images
王立マースデン病院設立前の現場にて。Photo:Getty Images

そんな彼女の意志を受け継ぐのが、ふたりの王子とその妻たち。ウィリアム王子は2007年、王立マースデン病院の会長に就任し、主に小児がんの子どもたちをサポート。妻のキャサリン妃もまた精力的に活動しており、今では単身で現場を訪れるまでに。常に笑顔を絶やさず、親しみを持って人々と接する姿に、「ダイアナ元妃を彷彿する」という声も。

5.一般人の感覚を重んじた

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Photo:Bob Collier / Sunday Times/Camera Press/アフロ

ウィリアム王子とヘンリー王子を育てる上で、ダイアナ元妃が大切にしていたことのひとつが、「一般的な生活」を経験させること。ふたりに民衆と同じ感覚を身につけさせるためで、実際に、王子たちをディズニーランドやマクドナルドに連れて行ったことも!

こうした育児方針は、ふたりがそろって結婚相手に一般女性を選んだこと、ヘンリー王子が息子アーチーに王室の称号を使わないと判断したことなどに通じているのかも?

6.英王室の母親像を一新

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Photo:Press Association/アフロ

保母として働いていた経験からか、出産・育児に対してかなり現代的な考えを持っていたと言われるダイアナ元妃。

そんな彼女がお産の場所に選んだのは、民間のセント・メアリー病院。それまでは宮殿内でお産することが主流だったため、ダイアナ元妃の決断を不安視する人が続出した。ちなみに民間の病院を選んだ理由には、「宮殿内の人々やメディアからの過度なプレッシャーを避けたい」という願いもあったとか。

Photo:Glenn Harvey/Camera Press/アフロ
Photo:Glenn Harvey/Camera Press/アフロ

それだけでなく、病院の外で出産会見を行うというサプライズまで! 出産直後に自ら子どもを抱いて歩く姿が世間に与えた衝撃は相当に大きかったようで、それまでのプリンセス像を見事に覆した。

ウィリアム王子が誕生した約2年後、ダイアナ元妃は同じくセント・メアリー病院で次男のヘンリー王子を出産。それから約30年の時を経て、同病院で3人の子どもたちを出産したキャサリン妃。もちろん出産会見もしっかり行い、ダイアナ元妃の想いをつなぎ続けている。

7.教育を選択することの大切さを広めた

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Photo:Press Association/アフロ

王室の教育はナニーや家庭教師が行うものとされていたが、ここでも一般的であることを望んだダイアナ元妃。王子がそれぞれ2歳になると、モンテッソーリ教育を取り入れたウェストエーカー・モンテッソーリ保育園に通わせた。

モンテッソーリ教育とは「子どもの自発性を重視する教育法」で、イタリアの教育家マリア・モンテッソーリが開発したもの。チャールズ皇太子との婚前に、モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園で働いていた彼女らしい選択といえる。ちなみに保育園は1時間あたり5.5ポンド(約990円)だったそうで、庶民的な価格も話題に。

Photo:Shutterstock/アフロ
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その後、4歳からは私立のプレ・プレップスクール(幼稚園)に、8歳からは私立のウェザビー・スクール(小学校)へ進学した王子たち。公務と並行し、毎日欠かさず送迎をしていたダイアナ元妃に、多くの人々が感銘を受けたという。

8.王室メンバーの人間的魅力を強化

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Photo:Glenn Harvey/Camera Press/AFLO

ダイアナ元妃が育児や教育を通して子どもたちに伝えたことは、ロイヤルファミリーである前に「ひとりの人間」であるということ。誰に対しても素直に接し、感情を表現する大切さを教えていたそう。

現在ふたりの王子が世間から愛されているのは、王子やその家族が、メディアや民衆に裏表のない親しみやすい対応をしているからなのかも。

Photo:Getty Images
Photo:Getty Images

ウィリアム王子が感情的になった出来事に、こんなエピソードがある。2016年4月、インド訪問中にキャサリン妃と共にタージ・マハルを訪れたとき、生前にダイアナ元妃が撮影した同じ場所で写真撮影に応じたふたり。撮影後、感極まったウィリアム王子が涙を流す様子が目撃されたとか。

9.英国ブランドを世界にアピール

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デザイナーのキャサリン・ウォーカーとダイアナ元妃。Photo:Getty Images

スタイルアイコンとして語り継がれるダイアナ元妃だが、ただ高価なドレスやスーツを着用していた訳ではない。「英国のファッション界に貢献したい」と考えていたダイアナ元妃は、英国ブランドの服を積極的にチョイス。

とくにお気に入りだったというキャサリン・ウォーカーをはじめ、80年代の英国デザイナーたちが国際的な舞台で活躍できるようになった背景には、ダイアナ元妃の功績が少なくなかったと言われている。

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キャサリン・ウォーカーを着用したキャサリン妃。Photo:Getty Images

ダイアナ元妃の遺志を受け継ぎ、公務で積極的に英国ブランドを取り入れているのがキャサリン妃。ファストブランドを着用する庶民派な一面もあれば、ダイアナ元妃を彷彿とさせるようなドレスルックやワンピーススタイルを披露してきた。そんなキャサリン妃は、キャサリン・ウォーカーはもちろん、エミリア・ウィックステッドやアーデムなどを好む。

10.自らの知名度とブランドを寄付の源に

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Photo:Getty Images

クローゼットを整理していた母を見て、ウィリアム王子が「着ないならあげれば?」と提案したことがきっかけで、1997年6月にニューヨークでオークションを実現させたダイアナ元妃。このときに売却されたドレスは全部で79着にのぼるとか!

最も有名なのが「トラボルタドレス」と呼ばれるもので、ホワイトハウスで開催されたパーティでダイアナ元妃が俳優のジョン・トラボルタ(66)と踊ったときに着ていたブルーのベルベットドレス。ダイアナ元妃は、このオークションで400万ポンド(約5億円)を売り上げ、自身がチャリティに携わっていたエイズや癌の慈善団体に寄付した。

その後、「トラボルタドレス」は何度も競りにかけられたが、最近では、2019年12月にイギリスで行われたケリー・テイラー・オークションズに出品され、22万ポンド(約3,150万円)で落札されたそう!

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