ヴィンテージの大胆なリメイクはOK? 『ガールボス』



連休中はチェックするべき映画/ドラマ本に追われていました。でもその合間に観るうち、ついつい最終回まで一気見してしまったドラマが『ガールボス』。23歳で古着をオークション・サイトで売りはじめ、のちにオンライン・ストアのナスティ・ギャルを立ち上げたビジネスウーマン、ソフィア・アモルーソの自伝をもとにしたシリーズです。

とはいっても、半分フィクションに近い形でデフォルメされているよう。海外では「主人公が好きになれない」「フェミニズム的に問題がある」など厳しい評価も出ていて、確かにドラマのソフィアはキャラが強烈で常識はずれ。でも、「これって本当にあったんだろうな」としか思えないリアルな逸話も出てきて、そこに惹かれました。

たとえば、どうしても健康保険が必要で職に就かなきゃいけない、とか、事務所スペースを借りるときに若い女性だと保証人が必要だとか。独力で事業を起こそうとするような人には「しょうがない、世の中そういうものだから」と納得できないようなことが多々あって、ソフィアはそれにいちいち反抗するのです。

もう一つ興味深かったのは、「ヴィンテージのリメイクは是か非か」が問われている点。ソフィアは「いまの女の子が着たくなるものにしたい!」という考えなので、古着をどんどん作り直して売るのですが、当然、貴重なヴィンテージはそのままにしておくべき、という人たちの反感を買う。その二つの意見の対立がストーリーの転換点にもなっているのです。個人的には、案外自分が服に鋏を入れたくない「ヴィンテージ保存派」だということに気づきました。発見!

でも、ドラマでソフィアが着ているファッションは素敵で気に入りました。西海岸らしいカジュアルなスタイルとヴィンテージ好きがミックスされていて、アクセサリーの使い方が参考になります。クリエイターのケイ・キャノンは『ピッチ・パーフェクト』(2012)の脚本家。エグゼクティヴ・プロデューサーにはシャーリーズ・セロンが名前を連ねています。




『ガールボス』
クリエイター/ケイ・キャノン
出演/ブリット・ロバートソン、エリー・リード、ジョニー・シモンズ
Netflixで独占配信中

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。