見たことのないキアヌが、いた!

キアヌ・リーヴスのファンなら、今年は『ジョン・ウィック:パラベラム』も公開されるし、『ビル&テッド』シリーズの何十年かぶりの新作が動きだすしで、心忙しいはず。でもこれも見逃せないのが、Netflixのロマコメ『いつかはマイ・ベイビー』です。本当はこれ、ちょっとネタバレ。「全然知らないままキアヌが出てきた!」というシチュエーションが最高なのですが、オフィシャル予告編にも顔出ししているので、許してください。それに「お金や名声に執着しない」、「普段着るのはくたびれた愛着品ばかり」という彼の素顔を知っている人ほど、とんでもない登場シーンにびっくりできるはず。

主人公を演じるのはアジア系アメリカ人のコメディアン、アリ・ウォンとランドール・パーク。そう、これは『クレイジー・リッチ!』や『好きだった君へのラブレター』と同様、アジア人がメイン・キャストのロマンティック・コメディ。これまで恋愛キャラにはなかなかキャスティングされなかったアジア系の俳優たちが、笑いだけでなくいろんなエモーションを演じています。幼馴染のサシャとマーカスは一度は恋人寸前になった仲、でも大人になり疎遠に。けれど再会後は気まずさや懐かしさとともに、忘れていた感情も思いだしていきます。

二人の問題は、サシャはセレブ・シェフとして成功する一方、マーカスはいまだに父親と同居し、十代の頃とあまり変わらない生活を送っていること。ストーリーは王道のロマコメ、でもそこにいまっぽい男女の意識のギャップやアジアのカルチャーネタ(食べものの話も多い!)を加えることで、新鮮に楽しめる一作になっています。ちなみにキアヌは、女性監督のナーナチカ・カーンやアリ・ウォンにとっての「ドリーム・ガイ」だそう。で、あんな役に当てるとは! ナーナチカ・カーンは人気ドラマ『フアン家のアメリカ開拓記』のショーランナーで、ランドールはその主役。アメリカでのアジア人クリエイターの活躍にも、今後ますます注目です。

Netflixオリジナル映画『いつかはマイ・ベイビー』
独占配信中
監督/ナーナチカ・カーン
出演/アリ・ウォン、ランドール・パーク
映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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