2018.05.07

【LICAXXXのTalk Room vol.2】ゲスト:tofubeatsさん

GUEST
tofubeatsさん
トーフビーツ●神戸在住の音楽プロデューサー/DJ。10代からネットで音源を発表。アーティストへの楽曲提供も手がけるミレニアル世代の気鋭。


Licaxxx/リカックス
リカックス●DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」主宰。J-WAVE「SONAR MUSIC」でパーソナリティを務める。

オタクとおしゃれが共存する音楽とは

Licaxxx tofuくんと初めてちゃんと共演したのは、tofuくんの「poolside feat. PES(RIP SLYME)」のPVだったよね。
tofubeats 走ってたらRIP SLYMEのPESさんにナンパされる役と、高校時代の俺にタバコの味を教える役のダブルキャストで出てくれた(笑)。
Licaxxx 周囲の近いスタンスにいる人で最初にメジャーデビューしたのがtofuくんだから、ある種オタク的に音楽に向き合っていても、メジャーにいけるんだな、いよいよ波が来たぞ、とざわついたのを覚えてる。
tofubeats Seihoさんもソニーにいったし、それまでインターネットでこぢんまりやってた人たちが、「デビューできるんや」っていう道筋ができた感じはあったかもね。僕自身、自分の音楽をいろんな人に聞いてもらいたい気持ちはあったけど、人前に出たいかと聞かれたら今でも微妙ではある。
Licaxxx 私もそういう葛藤、あるある(笑)。
tofubeats たとえば僕の場合、モー娘。や森高千里さんの曲をいいと思うオタクな部分と、12インチとかで聴く音楽をいいと思う部分にさして変わりはなくて。むしろそこによし悪しをつけるほうが両方に失礼というか。オシャレな音楽か否かで格をつけがちだけど、そういう偏見とどう闘うかっていうことは、曲を作る上での僕のテーマでもあるんだよね。
Licaxxx そういう意味では、アイドルに曲を書いたりするのも……。
tofubeats 僕の中ではつながってることかな。売れ線の曲の中にも好きな部分はあるからそれを抽出していけば、自分が噓なく好きで、かつ世間にも認めてもらえる曲が作れる。そういうことを研究してきたし、今も研究中。新曲「ふめつのこころ」は、ドラマ「電影少女-VIDEO GIRL AI 2018-」の主題歌なんだけど、ここでもオタク的な音楽への向き合い方が役に立っていて。ドラマで天野アイ役の西野七瀬(乃木坂46)さんもこの曲を歌うから、乃木坂のすべての楽曲を調べたところ、このグループでは一番上の音域が「シ」までか、とわかった。だから西野さんver.はそのキーで作ったり。
Licaxxx 制限の中で作るのも面白いよね。今回はドラマの劇伴曲もtofuくんが監修してて、そのリミックスは次の世代のトラックメイカーが手がけていたりするから、周辺を巻き込んでるなって感じた。
tofubeats いよいよ後輩に仕事を回せるようになってきた(笑)。でもメジャーデビュー当初から意識的にそういうことをやってきたんだよね。若手にお金が入るようにするだけでなく、テレビに自分のクレジットが出ることで続けようって思えたり、責任感を持てたりすることもあって、そういうモチベーションを持ってもらうためでもあるんだよね。でないとみんな音楽をやめちゃうし、そうなったら新しくて面白い曲を自分が聴けなくなってしまうからね。だから若手に食われない程度に(笑)、みんなの肩はたたいていきたいと思ってる。

PICK UP

「ふめつのこころ」
tofubeats
デジタル配信中/The Deep Land of Gray and Red

「めっちゃ歌いたくなるいい曲!」とLicaxxxも絶賛の新曲。インストのほか、劇伴にも参加している新鋭、パソコン音楽クラブによるリミックスも。

SOURCE:SPUR 2017年6月号「LICAXXXのTalk Room」
interview & text:Kanako Hayakawa photography:Takahiro Idenoshita