2019.02.08

キャラメルみたいにとろけるハイトーン、NAOにインタビュー

interview&text:Hiroko Shintani  photography:Tomoaki Shimoyama
SOURCE:SPUR 2019年3月号「SPUR FINDS...」

 
Profile
英国ノッティンガム生まれ、ロンドン在住。本名はネオ・ジョシュア。セッション・シンガー
を経てソロ・デビューし、ファースト『For All We Know』(’16年)でBRIT賞最優秀女性ソロアーティスト賞の候補に挙がる。2018年12月には初来日公演を成功させた。

 

「自分の声って、特別なのかもしれない」

7 歳の頃だったかな、友達に歌を聴かせたらみんなの表情がさっと変わって、"これって特別なことなのかも" と思ったのを覚えているわ」。自分の歌声が持ち得る力を最初に自覚したときをそう振り返るNAO。耳に触れるとキャラメルみたいにとろける彼女のハイトーン・ボイスを聴けば、納得できる話だ。ロンドン育ちの英国人、音楽と演劇の名門校ギルドホールでジャズ・ボーカルを専攻したNAOは、卒業後セッション・シンガーとして活躍。「当初は大好きな歌で生計を立てられるだけで幸せだった。でも人生経験を積むと"こんなことを歌いたい" という欲求が芽生えるものなのよ」

歪んだファンク

 そこで4 年前にソロ活動を始め、"歪んだファンク" と自ら名付けた実験的スタイルとその歌唱力で、英国発のR&Bに新風を吹き込むことになる。「私の曲にはさまざまなサウンドが融合されているけど、ジャズからは多大な影響を受けている。即興性を特徴とするジャズの、型にはめられることを拒む自由なスピリットを体現しようと常に意識しているの」 そんな彼女の2 枚目のアルバムのタイトルは『SATURN』。土星(サターン)の公転周期が29年であることから、占星術では30歳になる前に人生の転機が訪れるとされ、NAOにも、20代後半になってアーティストとして成功する一方、長く交際した恋人と破局するなど、大きな変化が起きたのだとか。「アルバムには一連の体験を率直に投影しているの。これがウワサの土星の帰還なのかと思い知らされたけど(笑)、30代に突入して、やっと本当の意味で大人になれた気がするわ」



INFORMATION

『SATURN』
NAO

(SONY MUSIC)

人生の過渡期を描いたNAOの新作は、10月に登場。ジャズ、ソウル、エレクトロニック・ミュージック、アフロビートなどのサウンドが、彼女の美声からさまざまな表情を引き出し、ダークからライトへ聴き手を導いていく。

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