大英自然史博物館展でアカデミックセンスを吸収 #16

国立科学博物館で始まった大英自然史博物館展。始祖鳥の化石や隕石、美しい標本など自然界の至宝370点が集まっています。

大英自然史博物館といえばセレブにも人気のスポットで、先日、ハリー王子が彼女のメーガン・マークルと、閉館後の大英自然史博物館で貸切デートしたことが話題になりました。でも、そんなロイヤル充カップルでも、ふだんあまり見られない、ロンドンでも常設展示されていないものがほとんどの希少なコレクションが、今回のラインナップ。

日本の博物館も素晴らしいですが、会場に足を踏み入れて、展示物のおしゃれ感に目を奪われました。英字の筆記体の表記と、いい感じにセピア色になった紙、そしてアンティークっぽいケース、地図や古書のデザイン、動植物の絵など……。博物系のデザインが素敵すぎて、オブジェとしての存在価値も。

関わった人々もアッパー感が漂い、大英博物館の礎を築いたスローン卿は上流階級専門の医者。火山について研究したウィリアム・ハミルトンはイギリスの外交官で、化石を収集したグスターバス・ブランダーはイングランド銀行の取締役。財閥ロスチャイルド家の動物標本もコレクションとなっています。博物学はセレブのたしなみだったのでしょうか? 自然史研究で有名なウォルター・ロスチャイルドは、鳥類の剥製を収納するための博物館を、20歳の時に父親からプレゼントされたそうです。ウォルター・ロスチャイルドは蛾も研究し、弟のチャールズ・ロスチャイルドはノミやハエを研究。人間に嫌われている虫をあえて研究するなんて、ノーブレス・オブリージュ……。

いっぽうで、研究に命を捧げた尊い学者たちの存在も。当時は航海で動植物の標本を採取するので危険と隣り合わせでした。スコットランドの博物学者、シドニー・パーキンソンは船上で赤痢にかかって没し、南極探検したロバート・スコット卿は遭難して死亡。ここに展示されている一品一品に、映画や朝ドラになりそうなストーリーがあると思うとありがたみが増します。

そんな中、気になった展示物は……。まず、心の準備ができていない状態で見てしまった、最初の方に展示されていた「呪いのアメジスト」。関わった人々が病気になったり死んだりして、捨てたのになぜか戻ってきたといういわくつきのアメジストです。深い紫色であやしい光を放っていました。撮影OKの展示ですが、さすがにシャッターを押す勇気はありませんでした。

今回の目玉は、ジュラ紀後期の始祖鳥の化石。世界最古の鳥類の化石とされていますが、恐竜に分類されるという説も。もし実際に動いていたら、というCG動画もモニターで上映されていました。博物館の理系男子っぽいスタッフが「始祖鳥は後ろ足にも羽毛があったんです」などと解説。想像するとかわいいです。

コウテイペンギンやニホンアシカ、セキセイインコにハチドリ、フクロオオカミなど、かわいい剥製も数多く展示されています。呪いのアメジストのショックも次第に和らいできます。

そしてパワースポット的な磁場を感じたのが、石と鉱物の展示。世界一大きいコ・イ・ヌールダイヤモンドがあり、もしかしてこれも訳あり系の石? と身構えましたが複製で安心しました。美しいピンク色のモルガナイト、燦然と輝くラトローブ金塊、環境によって色が変わるアレキサンドライトなど、パワーストーン好きとしては興奮させられました。でも最も運気が上がりそうだったのは巨大な隕石です。1886年に落下してきたという薩摩隕石は25.5キロという大きさ。同じく明治時代に落下した小城隕石、東公園隕石も結構ボリュームありました。宇宙のエネルギーを放出している巨大隕石の前でしばらく充電。手をかざしたりして、少し元気になりました。多分大人気で混雑必至の展示ですが、おすすめは隕石コーナーでチャージすることです。ショップで素敵な大英自然史博物館グッズを買いまくる体力は残しておきたいところです。


明治時代の鹿児島県に大量に落ちてきた隕石の一つ「薩摩隕石」。横浜の商人などを経て大英自然史博物館へ……。

大英自然史博物館展
期間:~2017年6月11日(日)※休館日 4月10日(月)、17日(月)、24日(月)、5月8日(月)、15日(月)、22日(月)、29日(月)
時間:9:00〜17:00(金曜日と土曜日は20:00まで・入場は閉館の30分前まで)
場所:国立科学博物館
   東京都台東区上野公園7-20
【GW特別開館時間延長】
4月28日(金)~30日(日)および5月3日(水・祝)~7日(日)は21:00まで。
5月1日(月)、2日(火)は18:00まで。
http://treasures2017.jp/

辛酸なめ子プロフィール画像
辛酸なめ子

漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。アイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。新刊は『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社文庫)『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか 』(PHP研究所)『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(光文社新書)『妙齢美容修業』(講談社文庫)『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)。Twitterは@godblessnamekoです。

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