「京都・醍醐寺 真言密教の宇宙」展で邪気を浄化 #35 #醍醐寺

 京都の山科に鎮座する醍醐寺は真言宗醍醐派の総本山。空海の実弟、真雅阿闍梨のもとで密教を学んだ僧、聖宝によって874年に開かれたお寺です。空海好きの1人としてぜひ伺わなければと思い、プレスデーに参じました。僧侶による法要や、仏像大使のみうらじゅんさん、いとうせいこうさんの囲み取材もあって盛りだくさんです。もちろん展示自体も重文や国宝だらけ、仏像のご利益も受けられそうなありがたい内容です。

まずは展示から。最初の部屋におわします「如意輪観音坐像」の、腕が6本もありながら優雅に座っているお姿に目を奪われました。リラックスしているように見えて助けを求められたら瞬時に動ける、ゾーンに入られているかのようです。お寺を開いた僧侶、聖宝の坐像もあり、下がった眉が素朴で良い人そうです(皇族の血を引いているそうです)。43歳の時、笠取山で不思議な老人に出会った聖宝。その老人は湧き水を飲んで「醍醐味なるかな」と言ったそうです。その言葉には「仏教で最上の教え」という意味もあり、やはり神様だったとか。道端でおじいさんが何かつぶやいたら注意した方が良いかもしれません。

優雅な「如意輪観音坐像」(平安時代)。昭和の山火事から助け出されたそうです。

このお寺にとって大切な師である空海の書も展示されていました。「大日経開題」は「大日経」にまつわる教えから要文を抜き書きしたもの。空海にしては、字が大きくなったり小さくなったり乱れている気がしますが、若き日のワイルドな筆跡が味わい深いです。ただ、最初の方に「婆罪」という言葉があるのがちょっと気になりました。

こちらが記憶力が良くなる「求聞持法根本尊図像」(ぐもんじほうこんぽんそんずぞう)(鎌倉時代)、虚空蔵菩薩の絵です。放射状の光が神がかっています。

曼荼羅や法具なども霊験を放っています。醍醐寺では願いを叶えるための加持祈祷の法がさかんに行われていました。気になったのは「求聞持法根本尊図像」(ぐもんじほうこんぽんそんずぞう)。蓮華座の虚空蔵菩薩の絵姿ですが、求聞持法というのは記憶力がアップする法だそうで、空海も入唐前にこの法をマスターし、実際の効果があったそうです。物忘れが激しいので、しばらくこの絵の前に立って霊力を吸収させていただきました。

「訶梨帝母倚像(かりていもぞう)」はもとは鬼子母神だった女神で、安産や子供の無事な成長などのご利益が。あまり怖くない「閻魔天像」も、安産や病気平癒などの霊験があるそうです。展示を鑑賞しながらさりげなく祈っても良いかもしれません。

ポースが素敵な金剛夜叉明王(平安時代)と、水牛がかわいい大威徳明王。ここで展示されている仏像はほんの一部だそうです。

快慶作の不動明王坐像(鎌倉時代)。下唇を噛んでいる表情が特徴的。ジェンカみたいな台もかっこいいです。

ところで音声ガイドには仏像大使のお二人による見どころについての解説が入っていました。そのうちの一つが「不動明王坐像」(快慶作)。

いとう氏「快慶ならではの美しさがある。荒々しいけど繊細」
みうら氏「はんなりしてるね。運慶とまた違うからね」
いとう氏「炎が火の鳥みたいになってる」といったコメントを聴きながら鑑賞すると、より仏像が身近に感じられます。明王が揃った「五大明王像」は迫力で、目力も強く、見ているだけで煩悩が消えそうです。

「降三世明王(ごうざんぜみょうおう)の伸ばした膝のところ、グルコサミンが心配になる」と、みうら氏。「五大明王は手足が長くてきれいでモデル体型」と、いとう氏も独自の見解を述べられてました。

五大明王像の前で、不動明王ライト「光仏」を試される仏像大使のいとうさんとみうらさん。

囲み取材では、そんな仏像大使の当意即妙な生トークを拝聴できました。
みうら氏「五大明王の独自性がすごいです」
いとう氏「普通の五大明王像とだいぶ違いますね」
みうら氏「東寺と比較するとおもしろいです」
などと語り合っていたら、ブオー!プオーー!と階下からほら貝の音が鳴り響いてきました。吹き抜けに鎮座する薬師如来像と両脇侍像の法要が始まったようです。魂をいったん抜いたのをまた入れる儀式だとか。これで六本木界隈の安全は保たれます。

魔を祓うアイテムとしてマストな不動明王の「光仏」(756円)。壁や天井に投影すると、怖い場所でも大丈夫だそうです。

質問タイムでは、お二人の最近の煩悩について尋ねる記者の方もいて、
いとう氏「今みうらさんと僕はシックスパックにハマってて無意味に筋肉付けてる。毎日やめられない。プロテインも飲んでるから」
みうら氏「中毒ですね。おかしいことをしたいという煩悩もあるから」
とのことでした。周りの人も楽しませる煩悩、素敵です。

不肖私も、醍醐寺の仏像のご利益について伺ってみました。
いとう氏「魔を祓う、でしょう」
みうら氏「六本木は悪いもの集まりやすいからね」
いとう氏「仏像を見ていただいて清らかになってください」
とのことでした。たしかに最初に比べて体が軽くなったような……。密教ヒーリングの真髄を実感できる展示です。

法要をされる醍醐寺の僧侶たち。力強い真言にクラクラします。法衣もおしゃれです。

法要後の薬師如来像と両侍像。見事な供物の果物を前にお喜びになっているような気が…、。

「京都・醍醐寺 真言密教の宇宙」

期間:~2018年11月11日(日)
時間:10:00~18:00(金・土および9月23日(日・祝)、10月7日(日)は20:00まで開館。入場は閉館30分前まで)
休館日:火曜 ※ただし11月6日は18:00まで開館
場所:サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
http://daigoji.exhn.jp/

国宝「薬師如来坐像および両脇侍像」の前で法要

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優雅な「如意輪観音坐像」(平安時代)。昭和の山火事から助け出されたそうです。
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こちらが記憶力が良くなる「求聞持法根本尊図像」(ぐもんじほうこんぽんそんずぞう)、虚空蔵菩薩の絵です。放射状の光が神がかっています。(鎌倉時代)
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ポースが素敵な金剛夜叉明王(平安時代)と、水牛がかわいい大威徳明王。ここで展示されている仏像はほんの一部だそうです。
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快慶作の不動明王坐像(鎌倉時代)。下唇を噛んでいる表情が特徴的。ジェンカみたいな台もかっこいいです。
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五大明王像の前で、不動明王ライト「光仏」を試される仏像大使のいとうさんとみうらさん。
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魔を祓うアイテムとしてマストな不動明王の「光仏」(756円)。壁や天井に投影すると、怖い場所でも大丈夫だそうです。
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法要をされる醍醐寺の僧侶たち。力強い真言にクラクラします。法衣もおしゃれです。
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法要後の薬師如来像と両侍像。見事な供物の果物を前にお喜びになっているような気が…、。