藤田理麻の高次元アート #58

会場に足を踏み入れた瞬間、波動の高さをビンビン感じました。伊勢丹新宿店のアートギャラリーにて開催された、画家・藤田理麻の新作個展『Karuna』(11月4日~10日※現在終了)。NYで活動している藤田氏は、ダライ・ラマ法王にインタビューし、彼の生涯を絵本に描くという大役も担っています。また、長年、チベット難民の子どもたちに、絵本を作って贈るという素晴らしい活動を続けていて、その人徳やポジティブなカルマが、作品から放たれているようでした。ちなみに「Karuna」はサンスクリット語で「思いやりの心」を意味しているそうです。

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『ナンディ神 Nandi Goddess』何も要求せず、ただ座っている聖なる牛、ナンディ神。見ているとかなり癒されます。

黒いキャンバスに美しい色彩で描かれた作品は、暗闇を照らす光のよう。今、不安の中にいる世の人々に向けて、救いの光がともされているようです。宇宙や観音菩薩、インドの神様、自然や動物といったモチーフが描かれ、啓示的なメッセージが添えられていました。例えば「私は宇宙」という作品には「私たちは宇宙そのものです。この世に存在するすべては、一つのコンシャスネスから生まれているのです」、「手放します」は、「ネガティブな感情を箱につめて観音様に手渡す。感情は光のコンフェッティになり空を舞いながら消えていく」といった、心の指針が添えられていました。

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『私は宇宙 I Am The Universe』「私たちと宇宙は一つ」という真理がこめられている作品。恒星の光が神々しいです。

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『私は光 I Am The Light』90年代にニューヨークで出会ったオーラのエキスパートの人のもとで、オーラを見る体験をしたことがモチーフとなった作品。

「私は光」という作品には、自分の手から発せられるオーラを見た時の体験について「10本の指先から放たれる光を見た時は言葉では表現できない開放感を感じました」というスピリチュアルなエピソードも。作品を鑑賞しながら文章を読んでいたら、心が浄化されるのを感じました。象や鳥、猿、リスなど描かれている動物のかわいさにも癒されます。展示会場にいた他のお客さんも「かわいい~」と歓声を上げていました。描いた人の純粋性が反映されているのでしょう。ここが大都市新宿であることを忘れて、異次元にトリップしたかのような展示会場。作家ご本人がコロナ禍で来日できないのが残念ですが、分身のような作品からエネルギーが伝わります。さらにメールで質問を送ったら丁寧に答えてくださり、ここにも人徳が見え隠れしています。以下に、Q&Aをお送りさせていただきます。


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『手放します I Let It Go』ネガティブな感情を観音様に手渡すと、浄化してもらえるそうです。辛い時にこの絵を思い出したいです。

Q 啓示的で美しい絵ばかりですが、夢の中でメッセージを受け取られることが多いのでしょうか? もしエピソードなどありましたらお教えください

A 私が描く作品は、すべて夢(夜寝ている時にみる夢です)や瞑想の中で見えるビジョンです。不思議なのですが、夢の中で、自分がまだ描いていないのに完成した作品が見えるのです。ですので、私はそれを絵にする作業をしているだけなんです。でも、絵を描いている時は、あまり記憶がなく、時間が止まって、何かが私の中を通って描いているような感覚になります。後から自分が描いた絵を見ても、どうやって描いたのか覚えてないことがほとんどです。夢や瞑想で見るビジョンは、この世に存在しないような強烈で美しい色彩です。

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会場で撮影OKだった作品『観音さまはいつも貴女と一緒』 藤田氏が深い縁を感じている、「キロン・ジョオ(Kyiron Jowo)」と呼ばれるチベット国宝の観音様をモチーフにした作品。観音様は時々夢に出て来られるそうです。

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『ラプチャー Rapture』青いベールをかぶった女性が何度も藤田氏の夢に登場したそうです。至福の表情が印象的です。


Q 黒い背景も素敵ですが、闇から光が生まれるというイメージでしょうか?

A ニューヨークのパーソンズ美術大学に通ったのですが、3年生の頃から、黒い地に絵を描くようになりました。それまで線画ばかり描いていたのですが、何を描いても整ってしまうことがつまらなくなり、どうやったら線を描かずに絵を描けるか?と考えて、黒地に色を重ねて、「線を残す」(つまり、線は黒い表面の色)という画法をはじめました。私は不完全なものに美を感じますので(ワビサビのコンセプトに近いかも知れません)、自分で線をコントロールしない画法が、とても気に入りました。また、黒い表面に絵を描くと、実はもうすでに存在しているけれど、暗いので見えなかったものが、光をあてられることによって、生命感を発する……という感覚もあります。

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『ナーガ女神 Narga Goddess』海や川、湖に住んでいるパワフルなナーガ女神。かつて仏陀を嵐から守ったという逸話が。

Q (観音菩薩様の)瞑想というのはどういうやり方でやっていらっしゃるのでしょうか?

A 私はチベット仏教を以前からお勉強しているのですが、観音菩薩(チベット語では、Chenrezig/チェンレジと呼ばれています)に特にご縁を感じていて、今年色々とあって辛い思いをしている時に、インドはヒマラヤにいらっしゃる私の恩師が、「観音菩薩の瞑想をしてごらんなさい」とアドバイスを下さったのです。込み入った話になりますが、これは密教の瞑想方法で、「グルヨガ」とも呼ばれるヴィジュアリゼーションのメソッドになります。

簡単に説明しますと、ロータスポーズで座り、目を閉じ、まず自分の頭の上に美しい蓮の花を想像します。そして次に、その蓮の花の上に、美しいムーンディスク(月のような円形のディスク)が輝いているのを想像します。その次に、その上に観音菩薩が微笑んで座っているのを想像し、観音菩薩から溢れ出る光を浴びる自分を想像します。その光が、第三の目(サードアイ)を通って、自分のチャクラを通じて全身に流れていくのを感じます。

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『ユニオン Union』 木の前に座っている男女の絵を見ていると幸せな感覚が伝染します。ピンクの花が恋の楽しさを表現しているかのよう。


Q 『ラプチャー』の至福の表情が印象的でした。藤田様もそのような心の境地になられたりするのでしょうか?

 作品『ラプチャー』の女性の至福の表情のような空間に達することは、ごく稀ですが、時々あります。自然の中でメディテーションをしたり、静かに呼吸をしたりしている時に、「すべては完璧である」ということを感じる瞬間があります。これは、すべてがうまく行っているとか、苦しいことが無い、という意味ではなく、人生や世界で起こっていること全てを受け止めて、「昨日」や「明日」でなく、「今」に集中することによって、心の平和を育むことができるという意味です。容易なことではありませんので、毎日こんなモーメントがあるわけではありません。ごく普通の日は、雑用に追われ、真我を忘れ、エゴ/自我に振り回されている自分との葛藤です。
ゴールは、いつの日か、この女性の表情のような空間に達して、人生そのものが永遠のラプチャーとなることです!

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『心の掟 Anchor of My Heart』世の中で何が起ころうと、流されずに自分の中に平和を保つ……そうした力は誰もが持っている、というポジティブなメッセージがこめられている作品

Q チベットで素晴らしいご活動をされていますが、
子供の頃から自然と善行をされていたのでしょうか? チベットとは魂的なつながりがあったのでしょうか?

A  1990年代終わりに、夢の中で「チベットのためにできることをしなさい!」という命令の声を聞いたのです。それまでチベットのこともダライ・ラマ猊下のことも、何も知りませんでした。夢を重視している私は、これをお告げとしてとらえて、それ以来、チベット難民孤児たちのために、教育絵本を作って寄付を続けています。それまでは、ニューヨークでも超トップの画商たちからかわいがられ、絵も売れていましたが、ドロドロしたコマーシャルアートの世界が苦手だった私は、幸せではありませんでした。

でもこの啓示を受けてから、自分が画家として絵を描く意味がわかり、それまでゴールだった絵は、単なるツールに変わり、私はとても幸せになりました。

今、この世の中は、大きな変化の時であり、ものが崇拝された時代は終わり、物質主義ではなく、利他主義の時代へと変化しているのだと私は感じています。証拠も何もありませんので、それを証明はできませんが、今の地球の悲惨な状況を見てみても、これからは他者へ優しくすることが重視される、人道的で優しい社会になっていくと思うのです。少なくとも、それを望む人が増えて行くと思います。時間がかかるかも知れませんが……。
そういった意味でも、あの啓示は私に絵の才能を与えてくださった神さま(宇宙?大きな意識?)が、他者へ貢献するために才能を使いなさい!と言ってくださったのだと思っています。

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『青い芥子の花 Blue Poppy』標高が高いヒマラヤに咲いているという青い芥子の花。藤田氏が見てみたいと思っていたら夢に出てきたそうです。

この世に存在しないような鮮やかな色彩のビジョンを夢に見るという藤田氏。それはたぶん天国だと思います……。そして90年代終わりに、夢の中で「チベットのためにできることをしなさい!」というお告げがあったそうで、マザー・テレサが電車の中で啓示を受けたエピソードを連想させられます。アート界のマザー・テレサのような、崇高な使命をお持ちです。天からのお告げに従ったからこそ、夢で美しいビジョンをもたらされ、いつまでもインスピレーションが尽きないのでしょう……。

創作活動をしていてアイディアが枯渇してしまう人は、そもそもお金だったり名誉だったり別のものに意識がいっているのかもしれません。神仏に捧げ、人を救うという無私の精神で制作すれば、自然とポジティブな循環が起こって全てうまくいく……、そんな真理も教えてもらったようです。観音菩薩プロデュースの作品は、見る人の心を高次元に誘います。

藤田 理麻 新作絵画 展 『Karuna』

伊勢丹 新宿店 本館6階 アートギャラリー 会期終了
https://www.isetan.mistore.jp/shinjuku/shops/art/artgallery/shopnews_list/shopnews0145.html


https://rimafujita.com

辛酸なめ子プロフィール画像
辛酸なめ子

漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。アイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。新刊は『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社文庫)『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか 』(PHP研究所)『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(光文社新書)『妙齢美容修業』(講談社文庫)『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)。Twitterは@godblessnamekoです。

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