仕込みの時間:きのこのオイル漬け 【長尾智子の保存食レシピ 第7回】

作って楽しく、食べておいしい。あると心強くて安心するもの。単なる時短や効率ではなく、季節を感じながら健やかな自分を持続させるための保存食、今月は秋の味覚、きのこのオイル漬け。

「きのこは油を吸いやすいので、あらかじめオイルを全体にまぶしてから、強火で焼き色がつくように炒めるのがポイント。にんにくは皮つきのまま加えると、ほのかな香りが楽しめます。クミンシードは必ずから煎りして、香りを引き出して使うこと。好みでコリアンダーシードやクローブにしても」。

オムレツやスクランブルエッグ、鶏肉のソテー、スープなどにも使える。「玉ねぎやじゃがいもと一緒に炒めてミキサーにかけ、牛乳や生クリームを加えてポタージュにしてもおいしい。冬場は冷蔵するとオリーブオイルが白濁して固まるので、使う分だけ早めに冷蔵庫から出しておくといいですよ」。数種類のきのこをふんだんに使ったこのオイル漬けを仕込んでおけば、しばらくは幸せな秋の食卓が続きそう。


材料(作りやすい分量)

しいたけ
6本
マッシュルーム
約15個
しめじ
1パック
にんにく
小1片
まいたけ
小1パック
エリンギ
大小各2本
ローリエ
2枚
にんにく
小2片
少々
クミンシード
小さじ1
オリーブオイル
大さじ4
グレープシードオイル
大さじ2
レモン(スライス)
2枚

作り方

❶きのこは根元の固い部分を切り落とし、大きさを揃えて切り分ける。しいたけは縦に2~4等分、マッシュルームは大きければ2等分、しめじ、まいたけは粗くほぐす。エリンギは2等分し、縦に裂く。

 

❷①のきのこをすべてボウルに入れ、ローリエ、皮つきのにんにくも加えて塩をふり、全体にまぶす。オイル2種類を大さじ2ずつ合わせて回しかけ、手早く混ぜ合わせる。

 

❸フライパンを中火にかけ、②を約半量入れて、強火であまり動かさず、ところどころ焼き色がつくまで水分を飛ばすように焼く。残りも同様に焼き、バットに移す。

 

❹フライパンを温めてクミンシードをから煎りする。香りが立ってきたらきのこに加え、ざっと混ぜて保存容器に移す。途中でレモンのスライスも加え、残りのオリーブオイルを回しかけて蓋をする。冷めたら冷蔵庫へ。涼しい季節なら、冷蔵で1週間ほど保存可。気温が高いと発酵しやすいので、2〜3日で食べきるのがおすすめ。使うたびに軽く混ぜること。

 

「きのこのオイル漬けを仕込んだら、まず作りたいのはオムレツ。きちんと包まなくても、軽く折りたたむだけでOK」。卵2個を溶き、塩少々を加えてフライパンに流し入れる。きのこのオイル漬けをのせ、少しずらして折りたためば完成。「こしょうをたっぷりひきかけて、ワインのお供に」

PROFILE

ながお ともこ●フードコーディネーター。雑誌等で活躍するかたわら、スープをテーマにしたオンラインストア(soup-s.shop)を展開。雑誌連載をまとめた新刊『料理の時間』(朝日新聞出版)も好評発売中。「サラダ、パスタから煮込み料理まで範囲が幅広く、楽しんで作ってもらえる内容です」。vegemania.com

SOURCE:SPUR 2021年10月号「長尾智子の保存食レシピ」
photography: Masahiro Sambe text: Kaori Okuda

FEATURE