スケートボード金メダルの四十住さくらさんに半年ぶりに銀座のパークでインタビュー!「誰かに勝つというよりも自分のベストを出すことが一番」

スケートボードは東京2020オリンピックから正式採用された種目。アメリカ発祥のスポーツで、自由な雰囲気に加えスピードとトリックが織りなす刺激的な演技が観客を魅了する。五輪では「ストリート」と「パーク」の2種類で競技が行われ、どちらも日本選手が活躍したとあって注目度は高い。

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コンクリートで作られたお椀のようなくぼ地状のコースを滑る「パーク」の女子初代金メダリストとなったのが四十住さくらさんだ。SPURでは五輪開催がまだ不透明だった2021年2月に取材し、ポロ ラルフ ローレンに身を包みボードに乗る四十住さんの姿を捉えている。あれから半年、19歳になった四十住さんに会いに行った。無邪気にスケートボードを楽しむ姿が印象的だった彼女は五輪を経て凛とした顔つきに。次の目標は「パリ五輪での連覇」と語る彼女は、すでに次を見据えている。

アメリカでの練習中にトニー・ホークから出演依頼!

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――まずは金メダル獲得、おめでとうございました。前回、SPURで取材させていただいた時はまだ五輪に出場するかどうかも定かではないタイミングでした。あれからアメリカで遠征されていましたね。どんな練習をつんでいたのでしょうか?

「パーク」種目は大きなコンクリートのコースを使うのですが、オリンピック会場で使うような空間は海外に行かないとないので、アメリカで練習していました。五輪の選手村に入る日程の前に隔離期間があるので、そのぎりぎりまで。

――アメリカではレジェンド的なスケーター、トニー・ホークと滑る機会もあったとか?

そうですね。TikTokのイベントがあって「さくらがアメリカにいるなら、出て欲しい」とメッセージをもらって、デモンストレーションに参加しました。

試合への取り組み方

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――決勝戦の選手紹介では米国ブライス・ウェットスタイン選手がウクレレを弾きながら挨拶をしたり、みなさんも笑顔だったりと良い意味でリラックスした雰囲気に驚きました。

そうなんです。やっぱりオリンピックという特別な舞台で楽しく滑りたいという気持ちをみんな持っていたんじゃないかな。試合前は結構自分のことで精一杯だったので、何も話してないのですが……。競技中でも「おめでとう」と言いあったり、励ましあったりするんですよ。

――世界20名の代表選手の中から、決勝に進んだのは8名。予選の点数は持ち越さず、45秒以内の演技を3本行って、そのうちの最も良いスコアで争います。勝利に導いた戦略はあったのでしょうか?

予選を4位ぐらいで通過したいと狙っていて、そうなりました。決勝の滑走順も5番目でちょうどよかったんです。決勝の1本目でノーミスの演技を出すことで、後に滑る選手のプレッシャーになればという気持ちで挑みました。会場に入る前から、こうなるようにイメージを高めていたので、ぴたりと合ったという感覚です。

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――試合前のルーティンは決めていないとおっしゃってましたが、イメージトレーニングがうまくいったから、落ち着いて試合に臨むことができたんですね。ちなみに、ちょっと甘いものを食べるのも緊張を解く方法と教えてくれましたが、今回は何か食べましたか?

ラングドシャクッキーですね!

――競技中は英国スカイ・ブラウン選手とのやりとりが印象的でした。

直前のアメリカで練習していた時も彼女と一緒だったんです。ときどき通訳してくれることもあって、とても助けられました。彼女が頑張って練習している姿も見ていたので、一緒に表彰台に立ちたいという思いがありました。彼女が1本目を失敗した時には「あと2本あるよ!」と声をかけて、2本目の失敗後もかなり落ち込んでいたので、「あと1本ある、絶対に乗れるよ!」と伝えました。だから、彼女が3本目に成功したのが本当に嬉しくて。表彰台では、「早くアメリカに来て、一緒に練習しよう!」と言ってくれましたね。

――前回取材させていただいた際は、「金メダルをとって表彰台からの景色が見てみたい」とおっしゃっていましたね。実際に頂点に立って、どのような感覚でしたか?

実は、その時は実感がほとんどなかったんです。夢の中にいるような気分でした。その後から取材や撮影でみなさんに「おめでとう」と声をかけられることも多くなり、周囲の反応が変わってきたのを見て、金メダルをとったんだなという自覚が出てきています。

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――金メダルを採ることよりも、自分がやってきたことを出し切るのが目標とおっしゃっていました。それはどのぐらい達成できたのでしょうか?

出し切れてないですね。まだまだ改良したいところがありますし、技についてというよりも、これをやっておいたら良かったな、という説明しにくい細かい部分で反省点があります。

――スケートボードは個人種目ではあるけれど、選手同士がお互いを支え合って、高い目標を目指しているところが印象的でした。四十住さんがこの競技を通して伝えたいことは何でしょうか?

そうですね、やはりみんな仲が良いところでしょうか。試合だから、もちろん自分が勝ちたいという気持ちはあるんですが、誰かに勝つというよりも自分のベストを出すことが一番。だから、本当はみんな何位でもいいと思ってるんじゃないかな。

兄への金メダル報告はLINEで

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――前回の取材時にスケートを始めたのはお兄さんの影響とおっしゃっていました。日頃の練習のサポートはお母様が帯同されています。おふたりに金メダルの報告はしましたか?

今回は人数制限があったので、母は選手のエリアに入れなかったのですが観客席から見守ってくれました。選手村に入る前には「とにかく夢の舞台を思い切り楽しんで!」と声をかけてくれましたね。試合が終わり、母と会った時に金メダルをかけてあげたんですが、泣いていましたね。まだ拠点の和歌山に帰れていないので(取材時)、兄に会えていないのですがLINEで報告しました。「最高の妹だ!」と返ってきたんです。8月は兄と姪の誕生日があり、「誕生日プレゼントに金メダルとってくるね」と約束をしていたので、早く金メダルをかけてお祝いしたいですね。

――今日の取材場所はラルフ ローレン 銀座にできたスケートボードランプです。実際に滑ってみて、感想を教えてください。

ポロ ラルフ ローレンのランプで滑れること自体がすごいこと! 可愛いデザインなのも好きです。銀座にこんなランプがあるなんて驚きました。隣の店内には、色々な洋服があって、ひとつずつ見たいのですが、ありすぎて全部は見きれないです(笑)。

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――ポロ ラルフ ローレンの最近のお気に入りアイテムはありますか?

ポロベアが大好きなんです。背中に“SAKURA”と名前をいれてくれたTシャツはめっちゃお気に入りです。

――決勝戦では赤いTシャツに変えてきましたね。髪色にピンクのメッシュを差し込んだり、ファッションも競技中のモチベーションになりますか?

なりますね。勝負服は赤と決めています。髪の色は、名前が「さくら」なので、桜満開になるようにピンクにしました。これまでは滑りやすい服ばかり選んでいたので、オリンピックも終わったし、もっと色々な服を着て、自分に合うスタイルを見つけられたらと思っています。

 



Sakura Yosozumi

2002年和歌山県生まれ。プロスケートボーダー。小学6年生でスケートボードを始める。2018年には日本選手権と世界選手権で優勝を果たす。2020オリンピックでは、スケートボード「パーク」で金メダルを獲得。次なるパリ五輪に向けて準備を進めている。https://www.instagram.com/sakura_yosozumi/

ラルフ ローレン 銀座
2021年7月2日(金)~1年間の期間限定
東京都中央区銀座2-6-3
03-6438-5872
時間:11:00~19:00  

photography:Wakaba Noda<TRON>  interview & text:Michino Ogura

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