飲みやすくてヘルシー、シードルはうち飲み派の強〜い味方!【うち飲み向上委員会vol.18】

「個性派が揃う、“ショップのオリジナルワイン”に注目」に続き“うち飲みマイブーム”をひとりでお届けします。「うち飲み向上委員会」メンバー、ライター門前です。今回フォーカスするのは、ワインではなくシードル。はい、りんご果汁を原料とした醸造酒です。シードルを飲むようになったきっかけは、好きなワイナリーがシードルも造っていたこと。アルコール度数が低くて飲み疲れない、グルテンフリー、プリン体もほとんどゼロでポリフェノールやビタミン、ミネラルも含まれていてヘルシー、お値段も比較的手頃と、シードルっていいことだらけなんですよね。
「酔いたくはないけどちょっと飲みたい」、うち飲みにつきものの(?)そんな願いにぴったりなお酒なんです。調べてみると、最近では日本酒の酒蔵のなかにもシードルを造り始めたところがある模様。今回は私がシードルに興味をもつきっかけになったワイナリーのものから酒蔵が手がけたものまで、個性豊かなシードルたちをご紹介します。

もぎたてのおいしさが味わえる! りんごと西洋梨を使った「セイズファーム シードル 2019」

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セイズファーム シードル 2019(750ml) ¥2,500/セイズファーム

まずご紹介するのは、私がシードルに興味をもつきっかけになった1本。富山県のワイナリー、セイズファームのシードルです。実は上質なりんごの産地でもある富山県。セイズファームでは、2011年にワインと同時にシードルを造り始めたそう。こちらは自社栽培のりんご3種類(グラニースミス、ふじ、王実)に加え、同じく自家栽培の西洋梨(ル・レクチェ)を使用。

色はワインさながらの美しく澄んだ黄金色。飲んでみると……生のりんごをかじったときのような、ストレートで爽やかな果実感! 追って、後口に深みのあるコクや旨味が感じられます。 3種類のりんごと西洋梨の合わせ技がこの旨味に繋がっているのか、爽やかさと旨味が楽しめる、1本で2度おいしいシードル。

甘すぎずドライな、ザ・食中酒。上品で繊細な果実味は、お出汁のきいた料理(つまり和食やおうちごはん)にも合いそう。日本の食文化に寄り添うシードルといえるのではないでしょうか。
シンプルでモダンなエチケットもポイント。手土産や贈り物にもぴったりです。

人気の酒蔵が造る、きりっと酸味がきいた「ドメーヌ・パーラー ナチュール シードル」

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ドメーヌ・パーラー ナチュール シードル(750ml) ¥2,200/せんきん

ソムリエでもある蔵元が「テロワール」(風土、土地の個性)や「ドメーヌ」(葡萄の栽培から製造、瓶詰めまで一貫して行う造り手)など、フランスのワインに使われる概念を取り入れ、オーガニック、無添加にこだわった“超”ナチュラルな日本酒「仙禽」で知られる栃木県のせんきん。ワイン業界出身ということもあり、果実酒に興味があったという蔵元が昨年スタートしたのが果実酒部門、ドメーヌ・パーラー。その記念すべき第1弾がシードルです。

自然をテーマにしている日本酒と同様、 果汁に添加物を加えたり補糖したりせず、澱の濾過もなし。限りなくナチュラルに造ったといいます。少しにごり酒を思わせる黄みがかった色味ですが、飲むとものすごくすっきり……! 今回ご紹介するシードルのなかでもいちばん酸味が強く、さっぱりとした爽快感があります。2日目以降になると、深みがうまれて少し梅酒のようなニュアンスも。

蔵元のおすすめは、ビール代わりに最初の1杯にしたり、フルーツを使った前菜や蕎麦粉のガレットに合わせたり。確かに、このさっぱり感と心地よい炭酸はアペリティフに最適。食欲がわいちゃいますね~。しっかり酸味があるので柑橘を使ったサラダと相性抜群ではないかと。今後はりんごの有機栽培にも挑戦したいとのこと。ドメーヌ・パーラーの今後の展開が楽しみですね!

日本酒用の酵母を使った「CIDRE RonRon Prototype きょうかい酵母清酒用1801号」

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CIDRE RonRon Prototype きょうかい酵母清酒用1801号(360ml) ¥880/山陽盃酒造

こちらも酒蔵が造ったシードル。「播州一献」を醸す兵庫県の山陽盃酒造による、清酒酵母を使ったチャレンジングな1本です。創業185年の老舗がシードル造りを始めたのは、社屋の火災がきっかけだったのだとか。敷地の半分が焼失するなか、地域の人に支えられたことから、「地元に恩返しをしよう」「兵庫県の多様性を広めよう」と県産のりんごを使ったシードルを開発することになったそう。兵庫県にりんごのイメージがなかったので新鮮ですね。

シードル造り2年目となる昨年に、他県産のりんごを使い、かつ、日本酒造りに用いる酵母「きょうかい1801」を使って限定販売されたのが「CIDRE RonRon Prototype きょうかい酵母清酒用1801号」。清酒に使う際にはパイナップルのような香りと表現される酵母で、「どんな香りや味わいになるのだろう」という造り手の好奇心もあってうまれた実験的なシードルです。

飲んでみると……パイナップルのようではありませんが、明らかに華やかな香りがあります! 少し赤みがかったにごり酒のようで、色もチャーミング。粘性を感じるとろりとした飲み口で、まるでりんごや白桃をぎゅっと絞ったジュースのよう。炭酸があるのでベタっとした甘さではありませんが、 今回ご紹介する3本のなかでもいちばんしっかりした甘さがあります。お酒があまり得意でない人や、食中はもちろん食後のデザート代わりに飲むのもおすすめ。


今回は、アルコール度数が低く軽やか、ポリフェノールやビタミンも含まれていてヘルシー、お値段も比較的手頃と、うち飲みの強~い味方としかいいようがない(!?)シードルにフォーカスしました。ワインと同じく、産地や造り手の個性が感じられて、いろいろと試してみたくなりますね。

それぞれ個性があって魅力的なので選び難すぎますが、 今回の「ベストうち飲み賞」はピュアな果実味×旨味の二刀流が味わえる「セイズファーム シードル 2019」にしたいと思います。

りんごはもともと日本人に親しみのあるフルーツ。何より飲みやすいですし、デイリーに楽しむお酒としてのポテンシャルは充分。うち飲み派の皆さま、ぜひ今年はシードルに注目してみてはいかがでしょう?

【うち飲み向上委員会メンバー】

門前直子(もんぜん なおこ)
食べること&飲むことが大好きなフリーランスエディター/ライター。エンゲル係数がやたら高いものの、日々見て見ぬ振り。昨年セレクトショップ「ガリャルダガランテ」からスタートしたライフスタイルライン「カーサ ガリャルダガランテ」でも、月替りのお酒(ワインのほか、日本酒やシードルなども)とフードのセレクトを担当。https://www.instagram.com/gkgkmgmg/?hl=ja

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