丘の上のレストラン「ひつじや」

自家飼育の美味しい羊を供するレストラン。行ってみたいと思っていました。

山形県村山市にあるその名も「ひつじや」。この地出身の親戚によると、もともと羊を飼っているところが多かったそうです。こちらのお店も先代が創業しました。

牧歌的な風景のなかを進むと、小高い丘の上に三角のグリーンの屋根が見えてきます。このロッジのまわりには、それこそ「メリーさんのひつじ」の世界に出てきそうな緑生い茂る木々や菜園、そして羊舎が。ふわふわの白い毛に黒い顔のツートーンが特徴の、サフォーク種の羊さんたちはご飯の真っ最中です(ご飯中ゆえ撮影は遠慮しました)。

人気店かつ限られた量の食材ゆえに、予約は必須です。この日は17時半からしか予約が取れませんでしたが、取れただけでも幸運でしたし、かえってよかったと思いました。なぜなら快適な山小屋風のレストランで、日が落ちるのを眺めながらゆっくりと早めの夕食をとるのは最高の時間だったからです。

ヨーロッパの山の上のリゾート地のような贅沢な空間と、親戚の家に来たようなちょっと懐かしくてくつろげるムードが同居しています。メニューはジンギスカンが主でありつつ、アテに羊のビオチーズやイタリアの親しい生産者から買い付けてきた生ハムなど東と西がナチュラルに混在。お酒もビオワインに日本酒にビールと、おそらく「料理に合うかどうか」という基準で選ばれたこれまた自然なレンジの広さが嬉しい。

主役のジンギスカンは肉が硬くならないよう、野菜をしいてその上で蒸し焼きにします。ルビーのように輝く赤い肉はしなやかで弾力があり、口の中にふんわりと優しく広がる味わいは、それこそ羊毛に包まれているかのような至福感をもたらします。マスターが「ほとんどリンゴでできているようなものです」と語るみずみずしく甘いタレとも相性抜群。

ホームページによると、一週間に一頭の羊を供しています。ここでいただくお肉は、全く知らないどこかからどんどん運ばれてくるわけではありません。いのちをしっかりと感じながら、ありがたくいただいた夜でした。

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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