皆川明さんディレクションの宿、豊島の「ウミトタ」が素敵だった!

宿の名前は「ウミトタ」。ミナ ペルホネンのデザイナー皆川明さんがディレションした一棟貸しの宿泊施設が、新しく瀬戸内の豊島にできました。設計はシンプリシティの緒方慎一郎さん。早耳な友人から誘われて、オープン間もない5月の連休に泊まってきました。

立派な瓦屋根の民家を改装した宿は、入ってみると思いのほか天井が高く、気持ちのいい空間が広がります。白い壁と明るい木材とファブリック、北欧デザインに通じる温かく洗練された室内を見上げると、続けて日本家屋の力強い梁が現れます。

リビングは床を一段掘り下げて、ソファに。

内装に使われている豊島石とミナ ペルホネンのファブリックとの組み合わせは、この場所でしか生まれなったであろう出会い。

ソファから首を回すと、玄関越しに瀬戸内海、反対のテラス側に棚田が見える。海と田…「ウミトタ」。なるほど、と気がついた時には、絶景に挟まれたソファから腰が上げられなくなります。

屋外で棚田を眺めるなら、特等席はデッキテラス。田植えは翌週というタイミングでしたが、さわさわと揺れる稲を想像するだけで気持ちがいい。ここに座ってのんびりしたい!と思ったら、ちゃんとチェアが置いてありました。

ちょっとだけ奥まって作られた読書スペース。モダンな暖炉があります。

ウミトタは、「居心地がいい空間」をいくつも、押し付けがましくなく、用意してくれる。ここから海が見たいなと思う場所に窓があり、田が見たい場所に椅子があり、本が読みたい場所に暖炉がある。その気配りに感動します。

1人〜6人まで宿泊可能です。 

私たちは夫婦2組だったので、この寝ながらにして海が見える至福の畳部屋と2階をそれぞれの寝室にしました。ちなみに2階は秘密基地のような屋根裏風のロフト。階段をのぼって視界が開けた時に、わっと喜びが広がるので、あえて写真は載せずにおきたい。屋根裏って、大人になってもやっぱり秘密の空間なんですよね。

ウミトタから豊島美術館をはじめとする島内のアート作品へは、宿に備え付けの電動自転車で。アップダウンはあれど小さな島なので、電動自転車が便利。

夕食は宿から歩いて数分の「海のレストラン」で。天気とタイミングがよければテラス席から海に沈む夕日を見ながら、瀬戸内の食材をいかしたお料理を楽しめます。

朝食は宿に届けられ、キッチンにある食器に自分たちでよそっていただきます。

調理用具が揃っているので、料理もできそう。コーヒーも豆を挽いてセルフで。ここでも食器や家電、細部にまで気配りが行き届いていて感動します。アメニティがTHREEだったのも、個人的に嬉しかった。化粧水に乳液、シャンプー類、必要なものは一通りそろっています。 

ウミトタの夜に布団のなかで思い出したのは、自分だけのお気に入りの場所。子供の頃、白いカーテンが膨らんだりしぼんだりするのを、陽の当たる床に寝っ転がって眺めるのが好きでした。自転車に乗って田んぼに風が渡るのを見に行くのが好きでした。そんな穏やかで気持ちいい体験を、大人ならではの贅沢な形で思い出す宿だと思います。

 

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エディターIWAHANA

日々、モード修行中。メンズとレディースを行ったり来たりしています。書籍担当。どうぞよろしくお願いします。