GUCCIのリップスティックで「美」を考える

改めて惚れ惚れしている一品があります。GUCCIから9月にやっと日本に上陸しました、アレッサンドロ・ミケーレによるリップスティック コレクション! 以前訪れたローマで購入して以降愛用しており、そろそろなくなりそうな不安と闘いながら日本上陸を待ち望んていました。

こちらは「203 ミルドレッド ローズウッド グッチ ルージュ ア レーヴル ヴォワル」。一度の保湿なしの直塗りでしっかり潤います。といいつつ、ぷるんとしすぎないマット感が絶妙です。シアーな発色なので、気分によって何度か重ねづけして調整するのもおすすめ。秋らしいバーガンディを基調に、ほのかに黄みのエッセンスも感じます。言わずもがな、ゴールドトーンのケースと古いヨーロッパの家の壁紙を彷彿とさせるフラワープリントは眺めているだけで愛しく、尊いですね……。凝縮されたロマンティック魂。そしてなんとこのカラーはチークとしても使えます。指先でとんとんと頬に軽く載せると、一気に肌の血色が良くなる。疲れが出てきた午後に“追いチーク”すると元気がリブートされますね。

さて、本国でこのリップスティックを含めてローンチされたGUCCI Beautyのキャンペーンを見たときの衝撃といったら。現在開催中のエキシビジョン「グッチ ガーデン アーキタイプ」にて展示されていて、記憶が蘇りました。これまでの広告キャンペーンが没入型のインスタレーションとして表現されており、改めてミケーレが創造してきた世界の壮大さやビジョンに圧倒されます。

写真は壁一面をモニターがジャックした一室。マーティン・パーによって撮影された人種や年齢もさまざまな人たちが、鮮やかなリップスティックを塗った笑顔が次々と映し出されます。真っ赤なルージュで装った口もとは、今までのエレガンスや美醜の基準を軽やかに刷新してくもの。私ごとですが、実は口内に乳歯が6本残っており(4本かと思っていたら、歯科医で「もっとありますね」と言われて愕然)、その関係で前歯がいわゆる「すきっ歯」です。以前はそれが本当に気になってしょうがなかった。のですが、年を経るにつれてララ・ストーンだってヴァネッサ・パラディだって……と挙げられる人の名前が増えていき、このキャンペーンも自分の中に大きく存在します。プロダクトとして素晴らしいのはもちろんのこと、ステートメントも大好きなGUCCI Beauty、ベースメイクや他の色もコツコツ買い集めていきたいです。

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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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