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BOTTEGA VENETA
SCROLL
エシカルな物語に導かれて
ATELIER REPORT
ボッテガ・ヴェネタの聖地、ヴェネト州ヴィチェンツァのアトリエへ。
アイコンバッグが生まれた場所には、ポジティブで有機的な時間が流れている。
世にも美しいバッグは、
幸せな職人の手から生まれる
9月17日にスタートした2020年春夏ミラノコレクションにおいて、ストリートスナップの主役は新生ボッテガ・ヴェネタのバッグとシューズだった。マキシイントレチャートの「パデッド カセット」をメンズライクなスーツスタイルに合わせたジャーナリストや、「ザ・ポーチ」を脇に抱えて颯爽と歩くペンシルスカートのエディターたち。昨年クリエイティブ・ディレクターに就任したダニエル・リーがブランドに吹き込んだモダニティが、瞬く間にファッション・プロたちを虜にした証拠だ。
来春のコレクションが発表された翌日、取材班はボッテガ・ヴェネタの聖地、ヴェネト州ヴィチェンツァにあるアトリエを訪ねた。ミラノから車で3時間ほど。『ロミオとジュリエット』の舞台になったお城が遠くに見える優雅な田園地帯は、どこかロマンティックな気分を誘う。しかも、アトリエは18〜19世紀初めに建てられた貴族のヴィラ“シュローダー・ダ・ポルト”を増改築した建物というから、ため息ものだ。
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ルネサンス期に活躍したヴェネト州出身の建築家アンドレア・パッラーディオが生んだパッラーディオ様式による本館とバルケッサ(倉庫)は8割オリジナルのまま改装。
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アトリエでもっとも光が入るバルケッサ部分でプロトタイプの製作が行われている。
2013年から稼働しているこのアトリエは、大学キャンパスにヒントを得て改築された。広大な庭園エリアとオープンスペースがなんとも気持ちいい。その心地よさの背景にはしっかりとしたサステイナブル意識が根付いている。地熱、地下水を使ったエコシステムを完備し、発電はもちろん太陽光パネル。実はファッション企業として初めて、環境評価制度LEEDの最高レベルであるプラチナ認証を取得していると知り、驚いた。今声高に叫ばれている「サステイナブル」は、ボッテガ・ヴェネタにとって当たり前のこと。さらに、それは職人を含むそこに働くすべての人たちへも向けられていた。
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コーラのペットボトル100本で1脚作られる椅子など、アップサイクルなインテリアを採用。
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2階のテラスから望む広大な芝生とブドウ畑が絶景。さらに『ロミオとジュリエット』の舞台になった町も見える!
“LIKE AT HOME”をコンセプトに、社員福祉も充実。食堂では夕飯をテイクアウトできるし、EVの充電ステーションはあるし、すれ違うどのスタッフもおおらかでほのぼのしている。“良いクリエイションを生むためには、職人がストレスなく幸せに働けること”。このブランド哲学が、隅々まで行き届いていることを感じずにはいられない。その証拠に、アトリエで最も光が注ぐ美しい場所が職人の作業スペースに充てられていた。
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増築スペースは縦に長く作られ、さまざまなラボが並ぶ。
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品質チェックルームでは様々な実験が行われている。これはステッチ、留め金、各部位の耐久性を測るテスト。250〜400回ほど上下させ、クリアしたデザインのみが店頭に並ぶ。
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汗による退色、摩擦による変化など、およそ1,500回ほどの機械による実験が繰り返されている。
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プレシャススキンルームでは、熟練の職人が一枚ずつきめの細かさなどをチェックし、同レベルのレザーを精査。「ザ・ポーチ」には4枚のクロコダイルレザーを使用している。
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「ザ・ポーチ」のためのイントレチャートを施す職人。1.5cmのイントレチャート・インフィニートはダニエル・リーが導入した。ベテランでも1時間半かかる手作業だ。
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バッグ「ザ・ポーチ」<H18×W40×D18cm>¥333,000
ミラノに暮らすダニエル・リーは頻繁にこのアトリエを訪れている。創業から続く職人技の歴史を学び、アトリエの仕事を分析。イントレチャートやノットなど、シグネチャーのモチーフを再解釈し、新しいデザインを生み出すなど、今までにない発想で描かれたデザイン画やモックアップは、職人たちにかなりの衝撃を与えたそう。「それまで細かさに目を向けがちだったイントレチャートですが、まだまだ無限の可能性があると気付かせてくれました。できる限り、彼の期待に応えたい」と勤続40年の職人を奮い立たせている。
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ミラノのArco della Pace(平和の門)に着想し、ダニエル・リーがファーストシーズンで発表した「ザ・アルコ」。イントレチャート自体がバッグの構造になっており、なんと100個のパーツを立体パズルのように組み立てて作られる。
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バッグ「ザ・アルコ 56」<H55×W56×D14cm>¥540,000
ミラノコレクションの最終日、偶然路上でダニエル・リーと出会った。「先日ヴィチェンツァのアトリエを訪問したんですよ」と伝えると、「どう思いましたか!?」と前のめりに、しかもパッと興奮した表情で尋ねてきた。「それはもう最高に素敵な場所ですね」と答えると、「そうですよね!!」と、うれしそうに笑った。
幸せな職人たちと、才能豊かな33歳のクリエイティブ・ディレクター。両者が有機的なコラボレーションをしていることを実感し、こちらまでハッピーな気分に包まれた。
STYLE
2020年春夏コレクションのランウェイ直送!
ますます進化するボッテガ・ヴェネタの最新スタイルをご紹介
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STYLE 01
2020年春夏コレクションで登場するのは、紙のように薄く軽やかなペーパーカーフ素材で仕立てられたビッグサイズの「ザ・アルコ」。エクストリームなアーチ状のハンドルによって、クロスボディバッグとしてデイリーに使える。構築的なシルエットはそのままに、しなやかな素材がボディにフィットする。ナチュラルなトーンのウェアにパンチを添える、ビビッドなグリーンが目に鮮やか。
バッグ「ザ・アルコ 75」¥750,000(予定価格、2020年2月中旬以降発売予定)
STYLE 02
“緊張感の中にある柔らかなストラクチャー”にフォーカスした春夏コレクションの中で、「ザ・ポーチ」の新作は、ナッパレザーが描く丸みを帯びたフォルムと太くハードなチェーンストラップのコントラストが印象的。ボディのカラーによって、チェーンの色がゴールドまたはシルバーと異なる。ますます進化する新アイコンバッグを店頭で手にする日が今から待ち遠しい。
バッグ「チェーン ポーチ」¥385,000(予定価格、2020年2月中旬以降発売予定)
COLLECTION
ファッション・プロたちを夢中にさせる、新生ボッテガ・ヴェネタのバッグ&シューズ。
スタイリングにモダニティを添える8点をピックアップ!
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モダニティが宿る、熟練の職人技
バッグ「ザ・アルコ 33」<H38×W33×D6cm>¥360,000
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ウィッシュリストNo.1はこのバッグ
「ザ・ポーチ」<H18×W40×D18cm>¥275,000
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クラシックとモダンのちょうどいいバランス
バッグ「パデッド マリー」<H28×W30×D7.5cm>¥526,000
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シガレットケースのような色香を漂わせて
バッグ「デイジー」<H19×W18×D5cm>¥255,000
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初ランウェイで目を引いたニュー・アイコン
バッグ「パデッド カセット」<H18×W26×D8cm>¥270,000
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1970年代のラグジュアリーカーへの憧憬
バッグ「パデッド カセット」<H18×W26×D8cm>¥270,000
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足元にも、ニュー・アイコンを
パンプス「パデッド ブロック」<ヒール9cm>¥107,000
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モードなバランスは重厚なブーツから
ブーツ¥112,000