世界のおしゃれな集団、全把握。コミュニティ・スナップ

おしゃれな人の周りには、おしゃれな人が集まってくる。そんな法則に従って、ファッション感度の高い9のグループを、東京を中心に世界の都市からピックアップ。各々にとってそのコミュニティはどういう場所なのか? 装いのこだわりとともに聞いた

COMMUNITY SNAP No.1/TARPまわりの古着ラバー

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世田谷区、三宿のヴィンテージショップTARP。店内には1900年前後から現代までのアイテムがずらり。オーナーの田渕さんを中心に、古着店オーナーやファッション好きが集う。各々のスタイルについて語り合い、互いを鼓舞し合う仲間たちだ

(右から)[中澤沙織/verandah aoyamaバイヤー/Instagram(以下同): @saori.a.n小花模様の刺しゅうが施されたマキシ丈のドレスは、中目黒のヴィンテージショップUN CINQで購入。「ドレスアップして仲間と集うのは楽しみのひとつです」

[田渕千里/TARPオーナー/@tarp_objectsヴィンテージを語り合う場にしたいという想いからショップをオープンした。「Jean Varonの70年代のドレスを主役に、tahlia storeで購入したパールのネックレスで顔まわりにボリュームを。非日常なムードの服装が好きです」

[井手寛恵/ident オーナー/@ident_tokyo「足もとはミュールを履いて抜け感を演出しました」。KAYLEのジャケットにYOHEI OHNOのグローブ、フリルのスカートで華麗にドレスアップ

[鎗田美砂子/tahlia storeオーナー/@tahlia_storeアブストラクト柄のヴィンテージを大胆にレイヤード。MASUのパンツに足もとはアライアのシューズで。「夏の風景をイメージしてコーディネート。職場の後輩だった田渕さんと友人たち。よく食事に出かけて、同業者、友人として互いを助け合える仲です」

[小島紗希/PR・unevenディレクター/@kojimasaki_「このメンバーに会うときは、いつも柄ものを着たくなるんです」。セリーヌのドレスに、ジル サンダーのサンダルを合わせて、ゴージャスかつシックに 

[吉川和彦/EWERオーナー/@ewer____爽やかなTOGAのセットアップに同色のシャツをイン。ブローチでデコレーションしてパンチを出す。「みんなとヴィンテージを通して装う楽しさをシェアしています」

[伊藤 梓/432MARKETプロデューサー/@azusa0308オーラリーのレザーシャツとドリス ヴァン ノッテンのパンツでエッジをきかせて。「主催するヴィンテージのイベントの地方開催に賛同してくれるみんな。一緒に東京を飛び出せる仲間です」

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1 一枚でインパクトのある着こなしがかなうロングドレスをはじめ、アクセサリーや小物も、マニアの心をくすぐる稀少性の高いアイテムのセレクトがTARPの魅力。
東京都世田谷区太子堂1の1の13 佐々木ビル3F
2 ビーズやパール、クリスタルなどのブローチをランダムにつけて遊び心を出した吉川さん
3 「少しずつ集めているブローチ」(小島さん)。シルバーで統一するときは多様なデザインを組み合わせて
4 リングはビッグサイズとシンプルなものを装着して緩急をつけ、自分らしいバランスに。「黒いグローブが手もとを引き立てます」(井手さん)

COMMUNITY SNAP No.2 /MONEと服好きフレンズ

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アパレルブランドのPRを務めているMONEさんの周りには、地元・神戸の友人や古着店勤務時代の同僚、おしゃれな美容師など、好きな服を通じて出会った輪が広がっている。みんなでシェアするのは、ファッションの楽しみだ

(右から)[MISA/バイヤー/@mdmagw8744真っ白なEDIT.FOR LULUのドレスを気負わず着られるよう、足もとはドレス向けに作られたSanshaのスニーカーでハズす。「それぞれに独自のスタイルがあり、お互い影響を与え合っている素敵な関係です」

[Yuiko/会社員/@ouiws_ボリュームたっぷりのnoir kei ninomiyaのドレスも、ROKSANDAのフリンジバッグも、全部ピンク。Supremeの帽子でストリートミックス。「洋服への偏愛を話し合える唯一無二のメンバー」

[MONE/PR/@ahundred_sounds「出会いはバラバラですが、服を通じて集まった大切な居場所です」。クレージュのニットベストと古着のインナーとレザースカート、PUBLISHED BYのミニバッグを合わせて、60年代のフューチャリスティックなムードを自己解釈

[Yunn/ヘアスタイリスト/@i_am_yunn小花柄がプリントされたChopova Lowenaのリボンドレスは、インナーとタイツの色で遊んで。ポップなカラーパレットが華やかさを添える。「ファッションに敏感で、サロンワーク以外で新しい刺激を与えてくれる仲間たちです」

[胡桃/販売員/@kurumiyogini存在感のあるマルチカラーのドレスは、ヴィンテージのレザースカートを重ねてメリハリを。「MONEちゃんはジャンティークで働いた元同僚。今も定期的に会えば服の話ばかり」

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1 ヘリンボーン織のミニバッグから長いフリンジが垂れる。「動くたびにヒラヒラと揺れるのが可愛くてお気に入り。真鍮のハンドルを腕に通すと、ブレスレットのように見えますよね」(Yuikoさん)
2 MONEさんのマルニの厚底シューズはT字のストラップがさりげないアクセントに。ラメソックスと組み合わせて、きらめきを与えて 
3 武骨なチェーンに、おもちゃのようなトップを飾った人気のネックレス。「Chopova Lowenaはパンクさとキュートさを兼ね備えていて、不思議な魅力があります」(Yunnさん)
4 胡桃さん(手前)は、色鮮やかなドレスを引き立てるために、小物は潔く白で統一。「ヴィンテージのチェーンバッグは、タイルのような質感が上品。大きさもデザインも理想的なんです」

COMMUNITY SNAP No.3 /studiolab404.comとご近所さん

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NYでバイヤーとして活動していたMONETさんを筆頭に集まった4人は、昨年12月にセレクトショップstudiolab404.comをオープン。ご近所の美容室、michのオーナーAIさんたちとのベランダ集会をのぞき見

(右から)[小笠原吉恵/スタイリスト/@yoshieogasawara抜け感のあるCoperniのカットアウトトップスと、MAISON EUREKAのスラックスがエレガント。装いがミニマルな分、大ぶりのピアスとカルティエの腕時計に自然と目が行く。「友人のAIちゃんのサロンに通うのが、自分にとっての癒やし時間。落ち着いた店内が居心地よいんです」

[AI/mich オーナー/@ai_saka_iAcne Studiosのシースルートップスにモノトーンのデニムを合わせた柄on柄の着こなし。爽やかな配色で軽妙なムードを演出。「ご近所さんのお店、studiolab404.comから楽しそうな笑い声が聞こえてきて、いつもハッピーな気持ちを与えてくれます」

[Lei/studiolab404.comスタッフ/@leipooon「この店はホームのようであり刺激もある空間」。ウェアはすべてショップのオリジナルアイテム。スクールガール風にスタイリング

[MONET/studiolab404.comファウンダー・クリエイティブディレクター/@monet_express職人が一つひとつ、丁寧に手刺しゅうしたメキシカンジャケットは彼女の宝物。美しいターコイズブルーに映える赤いリンガーTシャツは、NYで見つけたデッドストックのボディに、オリジナルのパッチをつけ加えた。「ここは学校のように、休み時間や放課後に自然と人が集まる空間なんです」

[MARI/studiolab404.comグラフィックデザイナー/@mamo_mar日本ではこの店がエクスクルーシブで取り扱っているRUOHANのワイドパンツを愛用。「『家』のような存在なんです」

[MIDORI/studiolab404.com PR/@midori___06カジュアルなジャンプスーツは、深いネイビーを選んでシックにスタイリング。重ねづけしたNEFERTITIのネックレスを襟元からさりげなく見せて。「仕事に真剣に取り組みつつ楽しく発信していける場所です」

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1 AIさんが提案する姫バングは、黒髪でとことんモードに。小笠原さんが身につけているピアスはジョージアのジュエリーブランド、Le Chic Radical。「両耳をつなぐデザインって珍しいですよね。マスクの着脱時は不便ですが、身につけているとテンションが高まるのでお気に入りです」
2 LeiさんはCHARLES & KEITHのローファーに、クシュッとたるませたリブソックスがお似合い
3 「ヴィンテージの時計とティファニーのチェーンブレスレット、NEFERTITIとstudiolab404.comのリングは欠かさず」(MONETさん)
4 セレクトとオリジナル、状態のよいデッドストック古着を取り扱うstudiolab404.com。コンサルティングやデザイン業務も行なっている。東京都目黒区祐天寺1の31の12

COMMUNITY SNAP No.4 /musubi magazineとガールズクリエイター

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musubi magazineは「結びつくことで力を生み出す」をモットーとする、東京発のオンラインマガジン。編集長のeucari率いるこの媒体の周辺には若きクリエイターが集結。プライベートもともに過ごす、仲よし5人組の正体は?

(後列右から)[Marisa/フォトグラファー/@marisa.uDKNYのブラウスにカナダ発のサステイナブルブランドLafailleのコルセットでトレンドカラーのラベンダーを重ねて。ボトムスはEckhaus Latta。「音楽イベントなどでも自然と集まります」

[Mayuko/映像プロデューサー、デザイナー/@mayu.koko.dama「グループのグルーブ感が出る服装は、お互いの気分も上がります」。G.V.G.V. の水玉トップスにYohji Yamamotoのドレスを合わせて大好きなブラックコーディネート

(前列右から)[Yukika/グラフィックデザイナー、ライター、映像プロデューサー/@yukika_88Acne Studiosのトップスを主役に、Telfarのショルダーバッグとデニム、サロモンのスニーカーまでホワイトに。「大ぶりのネックレスはヴィンテージ風なところがお気に入り。4人は頼れる仕事仲間であり、恋愛相談もできるベストフレンド!」

[Steph/映像プロデューサー]「シースルーのストライプのトップスでロックな気分」。Jean Paul GaultierのトップスにAcne Studiosのインナーがマッチ。足もとはクールにTOGAのサンダルを

[eucari/musubi magazine編集長、フォトグラファー/@euca_riヘアカラーに合わせたアースカラーのスタイリングが気分。「周囲を巻き込んでものづくりするみんなの姿はインスピレーションそのもの。ともに世界へ新しいエネルギーを生み出していきたい同志です」

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1 ハイトーンカラーのヘアがこのコミュニティの目印。「私たちの行きつけのヘアサロンは、ヴィーガンビューティサロンのwhyte、クールなスタイルが得意のOOO YYなど」(eucariさん)
2 アクセサリーはシルバー派が多数。「着こなしにメリハリのつくコインモチーフのネックレスはAcne Studios」(Yukikaさん)
3 (右)「カラフルなネイルはハズせない」(Stephさん) (左)「新宿のネイルサロンatelier SucreによるY2K風なネイルに夢中」(Mayukoさん)

COMMUNITY SNAP No.5 /Pillow–Cat Booksファミリー

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NYに店を構える、動物がテーマの本を扱うブックストア「ピロー・キャット・ブックス」。オーナーは、著名なアーティスト一家で育ったクレオ・ル・タンだ。可愛らしい店内にはレアな書籍やセンスのよい絵本が揃う。常にクリエイティブな人々や家族が集まるスペースだ

(後列右から)[Olympia Le-Tan/デザイナー/@thehotelolympiaクレオさんの姉で、人気デザイナー。HORROR VACUIのワンピースに、Supremeのジャケット、Peggy Guggenheim のサングラス。「今日はカジュアルにまとめました。近所に住んでいるので、妹と一緒にランチをよく食べています。お店のロゴも私がデザインしました」

[Alpha Detrick]3歳でおしゃべりが大好きなクレオさんの娘。愛用のリュックサックはトトロのもの。オランピアさんが幼稚園のお迎えに行ってくれたときは、ここでクレオさんと合流

[Cleo Le-Tan/Pillow–Cat Booksオーナー/@pillowcatbooksお店のオリジナルのTシャツと、アライアのスカート。ベルトはヴィンテージのアライア。「カラフルでエキセントリックな要素をプラスするファッションが好き。私の友人はもちろん、美大生やローカルの家族連れが本を探しにきてくれます」

(前列右から)[Otto Detrick]元気いっぱいのクレオさんの7歳の息子。VANSのチェック柄のスリッポンがポイント

[Xan Aird/ミュージシャン/@xan_airdPublic Access T.V.やThe Virginsなどの大人気バンドで活躍するギタリスト。ヘインズのTシャツにSupremeのパンツを。「Spring Courtのスニーカーが気に入ってます」。オランピアさんが娘のゴッドマザーで姉妹と交流が深く、この書店を手伝うことも。

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1 クレオさんが執筆した、ニューヨークの書店や図書館のガイド、『A Booklover’s Guide to New York』
2 クレオさんがつけているのは、Olympia Le-TanとMaison Kitsunéのコラボのリボンクリップ
3 Pillow–Cat Booksの看板猫、その名もPillow-Catは、近所でも大人気。328 E 9th St, New York

COMMUNITY SNAP No.6 /タチアナ焙煎所とフローリスト

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2021年に上北沢に誕生したコーヒーショップ。近くに花市場があるため仕入れに来たフローリストたちの憩いの場に。店主の山下さんの妻、柴田さんが営むセレクトショップ、THE MOTT HOUSE TOKYOの仲間も立ち寄る

(右から)[田口 麗/THE MOTT HOUSE TOKYOスタッフ/@urrmht「ブラウスで意外性のある着こなしをしたいと思い、ジャカード織りとフリンジがユニークなSeireのパンツにsodukのデニムベストを合わせました」

[柴田麻莉/THE MOTT HOUSE TOKYO オーナー/@themotthousetokyoフランスのハンドメイドブランドAZURのくしゅっとしたトップスにヴィンテージのリーバイス®でキュートに。「ランチは目玉焼きをのせたナポリタンがオススメ」

[山下輝彦/タチアナ焙煎所 店主/@tatjanabuysenjo「クラシックな喫茶店をイメージしたメニューの中で、黒糖コーヒーと1日限定3食のコーヒーゼリーが人気です」。オーラリーのトップスにヘッドウェアブランドnorollと制作したオリジナルのキャップを合わせて

[山口香織/VEINフローリスト/@veintokyo光沢感のあるギンガムチェックのパンツとLa Maison de Lyllisの帽子がポイント。「一見シンプルでも、変わった素材や柄などハッと目にとまるアイテムを取り入れる人が多いコミュニティだと思います」

[三嶋春菜/fiore soffittaフローリスト/@fiore_soffittakotohayokozawaのシースルー素材のトップスとポップな色のTシャツで絶妙なニュアンスを演出。「透ける素材はコーディネートしやすいので収集中」

[渡邊 咲/CONTE-NU ディレクター/@conte_nu「屋外でも涼しいリネンを着てきました。集まる人たちの枠にとらわれないクリエイティビティが最高」。CONTE-NUとBE PREPAREDによるセットアップに、シノワズリなバッグを

[上野智枝子/Forager tokyoフローリスト/@forager_nishihara_tokyoCecilie BahnsenのドレスはTシャツを合わせカジュアルダウン。「ここに来れば誰かしらに会える。テンポよい会話が心地よい」

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1 「THE MOTT HOUSE TOKYOで購入したSciusciàのシューズとSuryoのバッグで、フェミニンなパステルカラーのスタイリングをポップに変化させました」(三嶋さん)
2 「スマートフォンが入るポケットつきのエプロンは、コーヒーを入れる際の必需品。オリジナルのエプロンは普段使いできる可愛さ」(渡邊さん)
3 タチアナ焙煎所の店内にはカウンター席が5つ。東京都杉並区下高井戸4の8の2

4 ボリュームのあるシルエットのパフスリーブが流行中。エレガントな服はボーイッシュなアイテムでハズすのが、タチアナ焙煎所の仲間ならではのアレンジ

COMMUNITY SNAP No.7 /FLEURIに集う人々

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オーナーのSAKIEさんと、Takeruさん、アシスタント2人が働く代官山のヘアサロン、FLEURIはおしゃれな人が続々と訪れる話題の場所。常連のお客さんとのコミュニケーションも大切なひととき

(右から)[シエル/アシスタント、モデル/@ciel_isonoComme des Garçons Homme Plusのカットソーとリーバイス®のデニム、コンバースのチャックテイラー。「Y2Kを意識してコーディネートを組んでみました。FLEURIに来てまだ2カ月、もっと成長したいです」

[新井彩香/アシスタント/@saiyakaaaaaaa「ここは夢と希望がつまった、最高に輝いているスポット!」。髪色にマッチしたSt.JOHNのニットトップスとZARAのミニスカートがポップな印象

[Evangeline Yan/ファッションコンサルタント/@evangelineyanTotêmeのタンクトップに重ねたAriesのベストと、NAMACHEKOのデニムでスパイスを。90年代をイメージ。「SAKIEさんは理想以上のヘアをつくってくれる」

[水谷優里/JASMINE VINTAGEオーナー、Allege.デザイナー/@yuri_mizutani落ち着いた服のトーンに映えるAllege.のトートバッグがポイント。「ここで髪を切るとパワーチャージされて、気分が前向きに」

[甲賀加純/KOWGA デザイナー/@kasumi.kougaメゾン マルジェラのフリルシャツとLeeのデニムで軽やかに。「感度の高い人たちが集まるサロンです」

[Takeru Urushibara/ヘアスタイリスト、ヘア&メイクアップ/@umeboooy「切りっぱなしの古着のスウェットや穴が開いたWranglerのデニムみたいに、夏はボロボロのファッションが気分。だけど小物は上品に。FLEURIはHome Sweet Homeという感じ」

[SAKIE MIURA/FLEURIオーナー、ヘアスタイリスト/@sakiemiuraモノトーンの着こなしに、インタビューマガジンのTシャツとボッテガ・ヴェネタのミニバッグのショッキングピンクで差し色を。「クリエイティブなアイデアが生まれる一番大切な場所」

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1 水谷さんのブレスレットはエルメスのシェーヌダンクル、左手につけたリングはSaskia Diez、その他はヴィンテージ
2「MAGIC STICK×RAMIDUSのショルダーバッグは意外となんでも入る。友人のクリエイティブクルー、YouthQuakeの缶バッジでプチカスタマイズ」(甲賀さん)
3 エッジのきいたカット技術とハイトーンを得意とするヘアサロンFLEURI。
東京都渋谷区鶯谷町2の9 クレセール代官山1F
4 Takeruさんのお気に入りはバレンシアガのLE CAGOLEバッグ。FAFのブレスレットでキュートに

COMMUNITY SNAP No.8/タイのHONEST周辺コミュニティ

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タイのおしゃれ番長ミンキーは、ブランディングとイメージコンサルタントの顔を持つインフルエンサー。昨年には自身のデジタルプラットフォーム、HONEST (@honest.digit)をローンチ。そんなミンキーの周りにはタイのファッションシーンをリードする仲間が集まる

よく集まる友達のレストランで集合。
(後列右から)[Ployhem Saengkhae/デザイナー/@ployhem_saengkhae自身が手がけるブランド、Saengkhaeのシャツに、Y/Projectのハイウエストジーンズでエッジがありながらも大人な装いに 

[Kachapond/メイクアップアーティスト/@rawessissy.p デジタルプラットフォーム、HONESTでメイクアップを手がける通称Issyは、トランスウーマン。フェミニンとマスキュリンをミックスした。「服に合わせて化粧も楽しんでいます」

[JB Pornrachadakul/デザイナー/@jbveryjb 自身がデザインを手がけるThey Scream Your Nameのカーゴパンツに、ソウルで購入したレザータンクトップを合わせ、Y2Kムードをハイエンドに。「対照的なアイテムを合わせることで、ウィットを利かせました」

(前列右から)[Minkie/HONEST編集長/@minkie_mkタイ発の人気サステイナブルブランド、Dry Clean Onlyとのコラボで始めた、Casa Dry Clean Onlyのスウェットパンツをはいて。バッグとサンダルは、友人のブランド、BOYYから

[Kae Pornnapa/起業家/@monokaeアップルサイダーを使ったデトックスドリンクを販売するサービスを始めた彼女。ダイナミックなディテールが施されたシャツはローカルブランド PENNYYPINCHERより

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1 PornnapaのパンツはFILAとY/Projectのコラボ
2 Ployhemのストライプの表情豊かなシャツとバッグは、自身のブランド「Saengkhae」
3 Kachapondが携えるチェーンバッグは、ブラジル発のアップサイクルブランドEscama Studio

COMMUNITY SNAP No.9/Marine Serreとクリエイター

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サステイナブル・ファッションの若きリーダー、マリーン・セル。その取り組みを支えるのが、定期的にプロジェクトをともにするコラボレーターたちだ。マリーン・セルのオフィスで、価値観をシェアする6人が語り合う様子をスナップ!

(右から)[Sacha Barbin/フィルムディレクター/@sachabarbinマリーン・セルのビデオ「Amor Fati」(’21SS)と「Ostal 24」(’22SS)を彼女と共同ディレクション。「常に限界に挑戦しようとする、仕事への情熱をシェアしています」

[Justine Serre/マリーン・セル 財務・総務・人事部長/@justineserre]マリーンの3歳年下の妹。「幼い頃姉妹で"学校ごっこ"をしたとき、姉は絵や読書の先生を演じてくれました。昔から面倒見がよくて、常に守ってくれるんです」

[Marine Serre & Soma/マリーン・セル ファウンダー・デザイナー&愛犬ソマ/@marineserre_official「このメンバーとは互いを豊かにし合っています」

[Pierre Rousseau/ミュージシャン/@prsseauマリーン・セルのフィルムやショーの音楽を担当。「マリーンとは、率直な意見交換ができます。仕事上のハードルは高いけど、人間関係はシンプル。そのバランスが好きです」

[Benoît Bethume/アートスクール、ラ・カンブル教師/@benoitbethume学校ではマリーンの師で、現在はマリーン・セルのショーやキャンペーン写真のスタイリングを担当。「ワークショップのあと、コレクションを見てほしいと言われて、彼女の大胆さと信念、志の高い強さに惹かれました。連帯感がある彼女の活動は、学生をはじめ、多くの若者たちに希望を与えています」

[Sofya Chalag/アーティスト、モデル/@phiasquoラ・カンブル在学中のマリーンの作品をまとった最初のモデル。「そのとき彼女がブーツに見立ててガムテープで私の脚をぐるぐる巻きにするのに要したのは1時間。その間におしゃべりをして親しくなったんです。彼女の両親宅でのロケでは、スタッフみんなでマットを床に敷いて雑魚寝。オープンな関係で一緒に成長しています」

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思い思いにマリーン・セルのアイテムとヴィンテージを組み合わせたスタイルで集合。
1 Sachaは定番のエンボス加工を施したレザーのセットアップで
2 異なる色調のグリーンのレザーを組み合わせたジャケットをまとうJustine
3 マリーンの耳飾りは、キッチン器具などを再生させたジュエリーシリーズ「Fichu Pour Fichu」より 
4 Pierreの刺しゅうシャツはアップサイクル
5 スカーフをパッチワークしたフーディジャケットをまとうBenoît
6 三日月マークのセカンドスキントップスをまとうSofya。胸元には自身で集めたチャームを飾ったネックレスを

 

Interview with Marine Serre
マリーンが目指すコミュニティとは?

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6カ月のスタッフィ犬、ソマは毎日マリーンとともに出勤し、スタッフの一員と見なされる、オフィスのマスコット

パリ19区、オベールヴィリエ。移民が行き来し、小さな異国料理の食堂が軒を連ね、その先では大規模な現代アートセンターがブロック全体を占める。まさに”多様性”を重視するマリーンのエスプリを象徴するような街並みだ。この地区にある彼女のオフィスのドアを開けると、まずスカーフを縫い合わせたカーテンと、三日月柄で覆ったソファ、そして一連の観葉植物が目に入る。グリーンの鉢を載せたのは、アップサイクルしたドラム缶。しばらくするとドアベルが鳴り、マリーンがチョイスしたデジレ・フルールによる花束が届いた。農薬はもちろん温室や冷蔵車も使わない、エコなフローリストだ。そうこうするうちに、マリーンが撮影やショーで仕事をともにする、クリエイティブ・チームの面面が到着した。

価値観をシェアする人々の集まり。それがコミュニティ
「皆、私にとって大切な人たちです」。息を弾ませた愛犬ソマとともに現れたマリーンは、全員に挨拶のキスをしたあと、こう切り出した。
「スタイリストのBenoîtとモデルのSofyaは『マリーン・セル』ブランドの”冒険”が始まる前から支えてくれています。特にBenoîtは、私のすることを信じてくれた最初の人。フィルムディレクターのSacha、ミュージシャンのPierreと初めて一緒に仕事したのはほんの1年半ほど前だけど、とても意味のある出会いでした。彼らとは、世界観をシェアできるから」。
こう語るマリーンに5人はうなずき、やさしいまなざしを向ける。

「コミュニティというのは、同じ価値観をシェアする人々が集まってでき上がっていくものです。自分たちの活動や人生に意味を与えてくれる人々、自問自答し、目的を達成できるまで考え続ける人々に囲まれるのは、とても刺激的。お互いを豊かにし、意味を与え合うんです」。何ごとにおいても明確な意見を持っている彼女は、さらに続けた。「別分野のプロの人々とコラボレートし、新しい発見をするのを楽しんでいます。私たちは一人ではなく、グループでクリエーションをするから。特にフィルムなど大掛かりなプロジェクトでは、すべてが調和の上に成り立っていないといけません。私は、それぞれの役割を持つ彼らをつなげる役です」

一方彼女が考える、ブランド、マリーン・セルの広義でのコミュニティは、ファンやSNSでのフォロワー、サポーター、そしてアップサイクルに興味を持つすべての人々だ。去る3月に開催されたイベント『ハード・ドライブ』では、マリーンに共感するソーシャル・コミュニティの輪が大きく広がった。ファッションウイーク中の週末、現代アート美術館ラファイエット・アンティシパシオンで開かれた展覧会だ。グロスで入荷した廃品のマフラーやTシャツ、デニムの山が仕分けられ、カッティングを経て、熟練した職人の手によってマリーン・セルの服になるまでのアップサイクルの工程が、実演を交えて紹介された。別の階では、モワレ、ジャカードなど、マリーンが好む素材のインスタレーションも展示。

「『ハード・ドライブ』会期中にはカンファレンスも開き、スペースを歩き回って訪れた方々と言葉を交わしたんです。たくさんの人とつながって、いいエネルギーを感じました」と、満足気に振り返る。

また美術館は、同名のコレクションのショー会場にもなった。マリーンらしく、モデルに選んだのは、サイズも肌の色も年齢層も異なる、多種多様な人々だ。

「『マリーン・セル』は、バス停に似ています。バスを待っていると、いろんな人が通り過ぎる。だから私のショーを見ることは、リアルライフに入ることを意味します」と語る。ここでも、Benoît、PierreとSofyaがスタッフクレジットに名を連ねた。

「この展覧会は入場無料で、来場者はのべ5000人。アップサイクルにかかる手間を見て、私のブランドを知らなかった人にもその価値をわかってもらえたと思います」

彼女がデビュー当時からたゆみなく掲げてきたマニフェスト、アップサイクル。これは、フランス南西部の田舎コレーズに生まれ育ったことに由来すると、自身で分析する。17歳まで暮らした田舎で芽生えた自然への愛は、地球へのケアに直接つながる。また、祖父が古道具商だったことから、のみの市やアンティーク店でセカンドハンドを探すのは当然のことだった。しかも小柄な彼女は、古着を買っても自分のサイズに作り直すことには慣れていたという。

「子どもの頃、田舎にはファストファッションは存在しなかったし」と笑う。

「私は活動家ではないんです。ただ信念に基づいて制作を続けているだけ。アップサイクルが私の内面に即したものでなかったら、ここまで固執しなかったかもしれません。今でこそ一般的になったけど、私がアップサイクルを始めた頃はセールスは難しかったんです。バイヤーたちからは一点ものは買いつけできない、しかも高すぎる、と言われて。でも説得を続けました」

また彼女にとってアップサイクルはエコだけでなく、人間的な表現でもあると言う。「服において大切なのは完成品そのものより、その工程を見て感じられることと、蘇生する廃品が呼び起こす記憶だからです」

マリーンが好むのは、高級で繊細な生地ではなく、シーツやタオルなど、日常的なアイテムに使用されていた素材だ。「たとえばキッチンタオルを見たら、『あ、おばあちゃんの家にこれと似たのがあったな』と思う人がいるかもしれない。しかも一点ものだから、私が特定のデザインを押しつけるのではなく、着る人に選択が委ねられるでしょう」

こうして、アップサイクルの服は買い手とのコミュニケーションの手段にもなり得る、とマリーンは考える。

「実はこの展覧会ではコピーされるリスクもあったし、もっと美しい過程を想像していたビジターは、がっかりしたかもしれません。それでもクリエーションの工程をすべて公開するのは、私の正直さの表現でもあります」。それはマリーンの、そして彼女のコミュニティの核となる大切な価値観だ。

作り手が正直でないと世界を変えることはできない
「私のショーやフィルムはディストピアン、ダークと評されることも多々あります。着たいと思わせるのは、デザイナーとしての仕事だとわかってはいますが、嘘はつきたくない。よくモードは現実逃避で夢を見せることとされるけど、私の見せ方は違います。コロナ禍で世界の雰囲気が悲惨だったときは、ブランドのフィルムにも自然とそれが反映されました。作り手側が正直に真っ向から取り組まないと、明日の世界をよくしていくことはできないでしょう。だから私はラディカルなんです。現状を変えるには、過激でないと」

思えば、彼女にLVMH賞をもたらしたファーストコレクションのタイトルは、「ラディカル・コール・フォー・ラブ」だった。

「今でも自分の考え方がこの表現に近いと感じています。それはすべての意味においてのラブ。人々、物事、あなた自身、あなたが行うこと、そして世界への愛」

オープンで寛大、公正でいて、よりよい明日のために世界を変えていきたいと考えるマリーン。でも一人では変えられない。彼女と価値観をシェアし、彼女が信念に向かって突き進むのをサポートするのは、言うまでもなくマリーン・セルのクリエイティブなコミュニティのメンバーたちなのである。

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クリエーションが生まれる場所

1 オフィスには、ゲーミングチェアやヴィンテージのソファを配して。廃材などを家具として利用することも多い
2 マリーンのオフィス。本棚の上部には、月の満ち欠けを示すイラストが。言わずと知れた、ブランドのロゴは回転させた半月。彼女は、女性らしさを象徴することから月を選んだとか。ちなみにマリーン・セル社では、60%以上が女性だ
3 両親が集めていたという、無数のキーホルダーが飾られて
4 ヴィンテージスカーフのパッチワークは、マリーンのシグネチャー

 

Marine Serre

フランス南西部出身。ブリュッセルのアートスクール「ラ・カンブル」のファッション部門でモードを学び、アレキサンダー・マックイーンでインターン。バレンシアガに在籍中の2017年にLVMH賞でグランプリを受賞し、独立。翌年パリにてランウェイ・デビュー。

SOURCE:SPUR 2022年8月号「世界のおしゃれな集団、全把握 コミュニティ・スナップ」
photography: Marisa Suda (No.1〜4,No.6,No.7), Naoko Maeda (No.5), John Tods (No.8), Kira Bunse 〈Bird Production〉 (No.9) text: Aika Kawada (No.1,No.4,No. 6), Minori Okajima (No.2,No.3,No.7) coordination & text: Yu Masui (No.8), Azumi Hasegawa (No.5), Minako Norimatsu (No.9)

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