Kiko Arai
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CHANEL

新井貴子 × シャネル
Vice Versa —もうひとりの私—

その輝きはガブリエル シャネルから生まれた。マドモアゼルのスタイル、人生がそのままメゾンのコードとなり、デザインへと刻まれたシャネルのファインジュエリー。
「輝くものには目がない自分自身のセンスを生かし、エレガンスとモードを兼ねそなえたジュエリーを作りたかった」。そう語った彼女の言葉通り、輝きのひとつひとつにモードなステートメントが宿るジュエリーは、身に着ける女性を映し変貌する。時にいつもの私らしく、そして時にはドラマティックに。
SPUR.JPのアニバーサリーを記念する連載ストーリー第2弾のヒロインは、世界を舞台に活躍するモデルの新井貴子。クチュールメゾンのジュエリーが教えてくれるもう1人の私の煌めき。マドモアゼルのエスプリを、その手に。

STYLE

キルティングやコメットのモチーフを取り入れたデイリースタイルか、あるいはカメリアの美しい花をまとったドレスアップスタイルか。シャネルが彩る女性たちのミステリアスな魅力を、2つのスタイリングで。

HERITAGES

クチュールメゾンが誇る先進的なデザイン性とサヴォアフェール。1932年にマドモアゼルがデザインしてセンセーションを巻き起こし、その後もオリジナルの美学を貫いてきたシャネルのファインジュエリー。それは創業者であるガブリエル シャネルの生き方そのものであり、いくつかの胸焦がす恋愛ロマンスであり、そして彼女の美意識の結晶と言える。「輝くものには目がない自分のセンスを生かして、エレガンスとモードを兼ね備えたジュエリーを作りたかった」。そう語ったマドモアゼルの意志がコレクションに受け継がれている。

  • ジュエルの輝きを愛したマドモアゼル シャネル

    デコラティブなコスチュームジュエリーで、モードの伝統を覆したガブリエル。一方でプライベートでは、ウェストミンスター公爵をはじめ、華やかな交友関係の中で、プレシャスストーンへの造詣を深めていた。一説には、公爵から贈られたエメラルドを海に投げ入れたという驚きのエピソードも残されている。

    ガブリエル シャネル、1937年。© Condé Nast / Corbis

  • ファッションメゾンによる初のジュエリー展

    大恐慌最中の1932年、ガブリエルはついに自身初となるファインジュエリーコレクション「ダイヤモンド ジュエリー」を発表する。クチュールメゾンとしても当然ながら初の試みで、私邸で披露された展示は時代に逆行した挑発性も相まって一大センセーションを呼んだ。伝統のコードは、再び彼女の革新的なアイデアで鮮やかに破られた。

    ガブリエルのアパルトマンで開催されたジュエリー展 ©︎ CHANEL Fine Jewelry

  • まばゆいダイヤモンドが象徴するもの

    「最小のボリュームで最大の価値が表現できる」。ガブリエルは絶対的な美の象徴としてダイヤモンドを選んだ理由をそう明かしている。彼女のジュエリーは、造形美を追求した古典的なスタイルとは異質の「女性と女性が着るドレスから切り離された存在ではない」もの。当時のスタンダードとは完全に一線を画していた。

    1932年にマドモアゼルが発表した「ダイヤモンド ジュエリー」のプレスキット ©︎ Chanel

  • 星が照らす「コメット コレクション」の誕生

    1932年の展示会「ダイヤモンド ジュエリー」コレクションで、アイコンのひとつとして用いられたのが「コメット(彗星)」だ。作家のアルベール・フラマンが「星と彗星の雨。マドモアゼルは輝かしい夜に浸るパリを眺めた」と称したこのモチーフには、幼きガブリエルが、預けられた修道院の床に敷き詰められていたモザイクの柄でもある。

    1932年にマドモアゼルが発表したジュエリー。 © Photo UNIVERSAL / All Rights Reserved

  • 「女性たちの指に自由なリボンを」

    「ダイヤモンド ジュエリー」コレクションで、もう一つの重要なモチーフとして用いられたのが、リュバン(リボン)。「人生がジュエリーの形を変え、必要に応じて変化させる」と彼女が語るように、様々なパーツで構成されたジュエリーは、シーンに合わせて取り外して付け替えができる画期的なデザインでも高い評価を得た。

    1932年にマドモアゼルが発表したネックレス © Photo UNIVERSAL / All Rights Reserved

  • マドモアゼルの美学を伝えるパールの光沢

    マドモアゼル シャネルと言えば、誰もが真っ先に思い浮かべるのがあの幾重にも連なったロングパール姿だろう。生涯を通じ、一貫して愛用した真珠は彼女自身のスタイルの象徴。「私のパールを探しにいってらっしゃい。パールを首に纏わないうちは、アトリエには行きませんから」と心に決めていたそう。

    マン レイが撮影したガブリエル シャネル、1937年 ©Man Ray Trust/ADAGP Paris 2016

  • 自由の象徴として受け継がれる、プリュム(羽根)

    「翼を持たずに生まれてきたとしても、自分の翼が育つのを妨げてはならない」。マドモアゼル シャネルの作品として初めて雑誌の表紙を飾ったのは、大きな羽根飾りのついた帽子。優雅でフェミニンなプリュム(羽根)はマドモアゼルにとってインスピレーションの源であった。1932年、マドモアゼルが自身初のハイジュエリー コレクションを発表した際、そのテーマの一つとして羽根を選び、今でもシャネルのジュエリーのモチーフとして愛されている。

    自らデザインした羽根飾りが付いた帽子をかぶって雑誌に登場したマドモアゼル シャネル © Comoedia Illustré 1910 Photo Félix / All Rights Reserved

  • 獅子と太陽が綴るロマンティシズム

    独自の宇宙観を持つロマンティシストでもあったマドモアゼル。獅子座生まれの彼女にとってライオンモチーフは自身のエンブレムであった。その後、ヴェネチアでサン・マルコ大聖堂をはじめとした数々のライオン像との運命的な出会いを果たした彼女は、その後自身のクリエイションの中で獅子をモチーフとして繰り返し用いた。

    ガブリエル シャネルのアパルトマンに飾られたライオン像 © CHANEL / Photo O.S.

  • 一生涯愛し続けたカメリアの花

    最愛の恋人、ボーイ・カペルから贈られた花でもあるカメリア。クリエイションの様々なシーンで登場するこの花はジュエリーでも代表的なデザインのひとつ。ヨーロッパの花言葉では「報われた、もしくは認められた才能」。彼女のシグネチャーとしてその遺志が強く込められたコレクションとなっている。

    マドモアゼルのアパルトマンを彩るコロマンデル屏風にもカメリアが描かれている © CHANEL / Photo O.S.

  • ヴァンドーム広場を模した八角形の名作

    不朽の名作として今なお人気を誇る「プルミエール」が誕生したのは1987年。メゾンが初めて発表したタイムピースは、後にジュエリーの旗艦店を構えたパリのヴァンドーム広場からインスパイアされた八角形のケースデザイン。ガブリエルが30年以上暮らしたホテル、リッツ パリの窓から毎日見下ろしていた景色だったのかもしれない。

    プルミエールのインスピレーション源となったパリ・ヴァンドーム広場。© CHANEL Watches

10 ESSENTIALS

オートクチュールメゾンのエスプリ溢れるシャネルのファインジュエリーから、リアルプライスの10点をセレクト。あなただけのマイ・エッセンシャルを見つけてみて。

SPECIAL MOVIE

シャネルのジュエリーと現代を生きる女性の多面的な魅力をとらえたスペシャルムービー。デイリーにもドレスアップにも、着け替えてもなおパーフェクトに似合うモードなデザイン性を発見して。