この夏は一生の思い出になる、アートな絶景宿へ

こもりがちな梅雨時期は、夏の旅行計画を立てるのにベストなタイミング! 全国各地から厳選した7つの宿は、心身を癒してくれる自然の絶景と、感性を刺激するアートな出合いをくれる名宿揃い。ハネムーンや結婚を控えたカップルにもふさわしい、大人の上質な宿を訪ねてみては。

大切な人と見たい、モダン空間に際立つニセコの絶景【北海道/坐忘林】

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暖かな暖炉が象徴的なリビングルーム。北海道の美しいパノラマが訪れる者を魅了する

シックな陰影を帯びたモダンな空間の中、ふわっと光を放つように力強い北海道・ニセコの絶景が窓から現れる「坐忘林」。

薄暗いからこそ際立つ表情がある。日本の美意識に通ずる“陰翳礼讃”の考えをコンセプトに掲げる湯宿は、優しい暖炉の火に照らされるリビングルームをはじめ、木の格子が描く影のシルエットなど、陰影を意識したモノトーン基調の空間が自然美をより際立たせ、ダイレクトに五感に届けてくれる。

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日本の伝統的な囲炉裏と、光と影を生むモダンなデザインが融合する憩いの間
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ニセコの季節の移ろいにどっぷり浸れる、絶好のロケーションの露天風呂

中庭を囲むように長い回廊で繋がる15の独立した客室は、源泉かけ流しの内湯と露天風呂がすべての部屋に用意されているのも温泉ラバーにはたまらない。

また館内を歩くときは、随所にディスプレイされた北海道をテーマにしたアートも必見。インテリアを手掛けたニセコの魅力を知り尽くすショーヤ・グリッグらしい、地元愛にあふれた仕掛けだ。

ハネムーンで訪れたふたりはぜひ羊蹄山を一望できるバーカウンターで祝杯を。眼前に広がる北の大地に、変わらない想いを誓い合おう。

宿泊料金:¥78,000~/1名(1室2名利用時、サービス料込み)

坐忘林
北海道虻田郡倶知安町花園76-4
https://zaborin.com/
0136-23-0003

緑豊かな山庭で大切な“からっぽ”を取り戻す【石川/べにや 無何有】

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宿のビジュアルデザインを手がけた原 研哉の作品「蹲(つくばい)方寸」を展示。水滴が転がる様は無心になってずっと見ていたくなる

忙しない日々の中でついつい“余白”を忘れがちな人にすすめたいのが、石川・山代温泉にある「べにや 無何有」だ。

“部屋はからっぽなほど光が満ちる”。荘子の“虚室生白”という言葉を軸にデザインされた宿は、無駄をそぎ落としたシンプルな空間に、心をそっと解きほぐしてくれる穏やかなムードが流れる。

それは左官職人が丁寧に仕上げた風合いある珪藻土の壁や、山庭の風景と調和する草花だけが生けられた床の間など、肩ひじ張らずに自然と手を取り合う現代的な和の空間が、訪れる者を優しく受け止めてくれるから。

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踏みしめる感触も心地よい、竹の広縁から樹齢100年を超える大木が眺められる特別室「若紫」
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足を踏み入れたそのときから“からっぽ”の魅力に引き込む、木漏れ日の映る土間作りのロビー

滞在中は薬草を用いた「スパ 円庭施術院」で身体を整えたり、ヨーガンレールの美しい木の椅子が並ぶ図書室に立ち寄ってぼんやり本を眺めるのも、心の余白をつくる大切な時間の使い道。

宿を後にする前には、山庭の樹齢300年を超える赤松のご神木にふたりの未来を願うのも忘れずに。“また来られますように”と願わずにはいられない、リトリートにぴったりの名宿だ。

宿泊料金:¥45,980~/1名(1室2名利用時、サービス料込み、入湯税別)

べにや 無何有
石川県加賀市山代温泉55-1-3
http://www.mukayu.com/
0761-77-1340

美しいランドアートと美食との出合い【栃木/アートビオトープ那須】

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318本の樹木と160個の池をモザイクのように配したランドアート「水庭」

木々が織りなす一見手つかずに見える風景。実はこれは、かつて牧草地だった土地に建築家・石上純也が描いた壮大なアートピース。

踏み石を進んでランドスケープと一体になることで自然の生命力を体感するその作品は、二期倶楽部の思想を受け継ぐ「アートビオトープ那須」に存在する。

ゲストルームは緑豊かな渓流に面した1415室のヴィラ。木の温もりが気持ちいい空間では自然の音をBGMに、たまにはスマホの電源もオフにして、ふたりのこれからについてゆっくり語らい合うのもおすすめだ。

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室内にはアーティスティックなオブジェとそれにまつわる本をキュレーション
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レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ』にも2年連続掲載される絶品フレンチ

旅の醍醐味のひとつである料理は「水庭」を眺められるレストランで、地産地消を意識した栃木の魅力を物語る芸術的なフレンチを。2020年のオープン以来、早くもリピーター続出の五感を刺激するメニューを、アートと共に心行くまで味わおう。

宿泊料金:¥62,920~/1名(1室2名でスイートヴィラ利用時、サービス料込み)

アートビオトープ那須(スイートヴィラ)
栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-5
https://www.artbiotop.jp/
0287-74-3300

モダンな日本家屋で、心と身体を浄化する【三重/アマネム】

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雄大な英虞湾の景色に触れる、インフィニティプールの朝焼け

ここ最近、耳にする“浄化”というキーワード。古くから巡礼と浄化の目的地として知られる三重・伊勢志摩地方に存在する「アマネム」は、インフィニティプールから見える朝焼けやサーマルスプリングからの一面の夕空など、心洗われる絶景でマインドフルネスへと導いてくれる絶好のスポットだ。

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アマンリゾートで初となる温泉を有する「アマネム」。各ゲストルームで楽しめる温泉も魅力的

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平屋建ての日本の伝統家屋のスタイルを踏襲したモダンなウェルカムスペース

「アマン東京」に次ぐ国内2軒目となるアマンアライバルパヴィリオンである同宿。訪れたら必ず体験したいアマン・スパは、古くより人々を癒やしてきたミネラル分豊富な天然温泉と、四季折々の和漢植物を用いたトリートメントプログラム「シーズナル ジャーニー」を展開。

日本民家のスタイルを現代的に解釈した建物では、日本ならではの原風景がそっと顔を覗かせて、初めて訪れる人々もどこか居心地のよい感覚に魅了される。

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全4タイプあるヴィラには、家族2世帯や仲間たちともゆったり過ごせる2つのベッドルームを完備

また381㎡の広々とした空間にみんなで集えるリビングルームや緑豊かなガーデンを有する「ツキヴィラ」では、プライベートウェディングを行えるのも嬉しい。まずは結婚式の下見も兼ねて、次に訪れるときは家族そろって。そんな幸福な未来予想図を描いてみては。

宿泊料金:¥139,150~/1部屋(1室2名利用時、サービス料込み)

アマネム
三重県志摩市浜島町迫子2165
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/amanemu
0599-52-5000

冒険心が目覚める! 隠岐ユネスコ世界ジオパークでの宿泊【島根/エントウ】

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ベッドに横たわると外界とシームレスな感覚になる、大きく縁どられた窓が圧巻の別館「ネスト」。 Photo by Kentauros Yasunaga

“世界ジオパークの拠点に泊まる”。

非日常でユニークなロケーションに誰もが興味を掻き立てられる「エントウ」は、島根半島から北へ約80km、都市から遠く離れた小さな島に2021年に誕生。

6タイプの客室がある別館「ネスト」は一般的な奥行きのある間取りとは異なり、横に広い空間づくりで部屋のどこにいてもジオパークの雄大な風景がすぐ隣に。室内にいながらにして地球と対峙できるような、ここだけでしか味わえない不思議な絶景が記憶に刻まれる。

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館内には宿泊施設以外にも展示室やジオラウンジを併設 Photo by Kentauros Yasunaga
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「赤壁」という名の通り、赤く色づく断崖絶壁はぜひ訪れてほしい絶景ポイント Photo by エントウ

またジオパークの魅力を存分に満喫できるようにと、施設内には予習の場として、地球と隠岐の成り立ちを学べる展示室を設けているのも粋な計らい。

さりげなく置かれた家具や道しるべになるサイン、館内にあるどれもが窓の外に広がるジオパークと繋がるピースになっているというから、散策していると興味は募るばかり。

明日には姿を変えるかもしれない、数十億年前から変化し続ける島のフィールドで大自然との一期一会を堪能したら、地産地消ならぬ“島産島消”をテーマにしたコース料理と天然温泉に癒される。大人のアドベンチャーは一生忘れない夏の想い出に。

宿泊料金:¥60,600~/1部屋(1室2名利用時、2食付き、サービス料込み、入湯税別) 

エントウ
島根県隠岐郡海士町福井1375-1
https://ento-oki.jp/
08514-2-1000

暮らすように滞在する、皆川 明が描く瀬戸内の宿【香川/ウミトタ】

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外壁に飾られた貝殻のピース。豊島でアワビが採れることから皆川氏が発案

海に夕陽が沈むころキラッと外壁に輝くのは、皆川 明の発案で飾られた1万枚以上におよぶ無数のアワビの貝殻のピース。

今年開催の瀬戸内国際芸術祭2022でも注目される、豊島の「ウミトタ」には、ディレクションを担う皆川 氏のこだわりがたくさん詰まっている。

よく晴れた日は点在するアート施設に足を延ばしたり、雨の日は皆川氏がセレクトしたライブラリースペースで本の世界に浸るのもよし。天気や気分の赴くまま、自由気ままに過ごせるのも一棟貸しならではのよさだ。

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ソファには経年変化が楽しめる「ミナ ペルホネン」の“dop”を使用
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移ろう海の風景を堪能できる寝室は、琉球畳のい草の香りも心地よさを誘う

ごろんと寝そべった視線の先に海が見える寝室など、部屋ごとに形の異なる窓で瀬戸内の風景をさまざまな切り取り方で楽しめるのも粋な演出。

ついつい「ミナ ペルホネン」のファブリックに目がいきがちのソファも、座ったときに棚田の一段目と視線が合うよう一段下げた高さで設計され、“ここの景色もいいんだよ”とささやかれるように気づけば外の風景に夢中に。

宿の名前の由来は“海”と“田”の間に位置することから。田植えを行う5月中旬頃から稲刈りを行う9月初旬までの棚田の美しい素朴な風景は、ぜひその目で確かめて!

宿泊料金:室料¥77,000(1棟貸し)+大人1名につき¥8,600+夕朝食¥11,000/1名

ウミトタ
香川県小豆郡土庄町豊島家浦423-2
https://umitota.jp/
0879-68-3386

切り拓かれた大自然を独占する非日常の楽園【鹿児島/天空の森】

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ヴィラのひとつ「花散る里」。霧島連山が180°広がる眺望はこのヴィラだけの特等席

東京ドーム13個分におよぶ広大な敷地に、建てられたのはわずか5棟の温泉付きヴィラのみ。隣のヴィラの気配すらも感じない、見渡す限りすべての自然を文字通り独り占めできるのが、鹿児島の山にひっそりと存在する「天空の森」だ。

都内にいたら決して叶うことのない非日常のラグジュアリー体験ができる同宿のはじまりが、宿の主である田島健夫が山々を自ら切り拓き、温泉を汲み上げたことからというのも驚きの事実。

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開墾時に出た木材をインテリアに使用して、風景との調和を意識

宿の人々は壮大な敷地全体を”大宇宙(おおぞら)の無人島”と呼び、ひとつのアートのようにとらえているのも素敵な発想で興味をそそる。

広大なアートに彩りを添える個性豊かなヴィラに共通するのは、外と中の境界線を感じさせない大胆な空間づくりにある。“外に出るときは靴を履く”そんな当たり前と思っていた常識さえも意味をなさない、今までの価値観や物差しをがらっと変えてくれる体験は、どうしたって頭が固くなりがちな大人にとって最高のリトリートに!

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九州の霧島連峰を見渡せる絶景パノラマ。童心に返って頂上のブランコをひとこぎ
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大空の下で豊かな自然の恵みを全身に取り入れて、心身のエナジャイズを

“静かな非常識をつくりたい”と語る田島氏は、滞在中のスタイルも宿泊者それぞれの希望を叶えるオーダーメイドスタイルを貫く。その日に収穫できる野菜をベースに作り出される料理は、一本木のある丘の頂上で食べることも、天降川の支流沿いで味わうことだってできる。普段ではできないと思うことも、ここでは叶うことがたくさんある。

2004年の誕生から今なお未完だという「天空の森」。訪れるたびに違う顔を見せてくれるから、きっと誰もが何度も来たくなる“沼落ち”確定の究極のリゾートだ。

宿泊料金:¥300,000~/1部屋(1室2名利用時、サービス料&税別)

天空の森
鹿児島県霧島市牧園町宿窪田市来迫3389
https://tenku-jp.com/
0995-76-0777

text:Aya Isobe

FEATURE
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