YVES SAINT LAURENT
トム・ぺシューが生み出す、
新たな“YSL WOMAN”
新たな“YSL WOMAN”
2017年にイヴ・サンローラン・ボーテのグローバル ビューティ ディレクターに就任したトム・ぺシュー氏が、
自らが手がけた初のリッププロダクト“ルージュ ピュールクチュール ザ スリム”を携えて来日。
YSLならではの女性像を体現するルックを提案するとともに、YSLへの、そしてメイクアップへの思いを語る。
STYLE
“LOOK COUTURE. FEEL CASUAL.”。YSLのスタイルそのままの新リップスティックから、
インテンスなレッドとクールなヌードカラーという対極的な2色を使い、
トム・ぺシュー氏が“YSL WOMAN”を象徴するふたつの顔を提案。
INTERVIEW
トム・ぺシュー氏が女性たちの個性を存分に引き出し、より美しく見せられるのはなぜなのか。
スタイリッシュで、感覚にまで響くプロダクツを創り出せるのは?
その理由が明らかになる、スペシャルインタビュー。
- Q
- 今回のふたつのメイクアップは、それぞれどんな女性像を表現したものなのでしょうか。
- A
- 基本的にメイクアップは、女性に美しさと自信をもたらすものだと僕は思っている。今日のルックは、ひとりの女性の中に潜む、2つの違う表情を引き出したもの。ヌードカラーのリップスティックをつけたStyle 02は、その女性本来のあり方を際立たせているし、赤のリップスティックのStyle 01は、その女性の一部分を表現したものといえる。自分自身に強いパワーとフェミニニティが秘められていることに、気づいてもらうためのメイクアップでもあるということ。メイクアップとはそのときに何を求め、どんなメッセージを発し、どう見せたいかを表すためのツールであってほしいと思うんだよね。
どんな女性にもいろんな顔があり、多面的な人格が潜んでいる。リップスティックはいわばシューズやランジェリーみたいなもので、実は似たようなツールといえるんじゃないかな。ナチュラルなカラー、シンプルで心地いいスタイルを選びたい日もあれば、鮮やかな赤やプッシュアップブラでキメたい日もある。どちらも女性らしさのレベルを決める、大事なツールだと思う。
- Q
- マットなリップカラーが今トレンドになっています。そんな中で、この新しいリップスティックにしかない魅力とは?
- A
- 最初に伝えておきたいのは、これはリップスティックをこよなく愛する女性のためのものだということ。鮮やかな色からヌードカラーまで、どれもインテンスな発色で、ハイカバレッジで、とてもパワフルだから。でもテクスチャーはとてもセンシュアルで、バラの花びらのようにやわらかく、まったく新しいものになっている。マットなリップスティックは乾燥するから苦手、という声をよく聞くけれど、これにはそんな心配はいらないんだ。ほかのリップスティックとは違うものだとひと目でわかってもらうためには、パッケージも大切。エッジの効いたスリムなパッケージは、きっと女性たちの目を引くと思う。
僕はメイクアップアーティストとして、これまで年齢もスキントーンもメンタリティもまったく違うさまざまな女性たちに、毎日のようにメイクアップしてきた。そんな30年以上のルーティンの中で、あらゆる女性のニーズに応えるには?と考えた結果生まれたのが、このリップスティック。この製品はきっと気に入ってもらえると、自信を持っているよ。
- Q
- これまでさまざまなブランドのために仕事をされてきた中で、「YSLでしか表現できないこと」とは?
- A
- YSLはファッションのメゾンで、トータルに女性のスタイルを創り出している。しかもムッシュ イヴ・サンローランは、美を見抜く目をもつ、天才的なデザイナーのひとり。さらに唯一無二なのは、彼がとてもオープンマインドなデザイナーだったことだと思う。彼は女性をリスペクトして、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカ……、あらゆる国籍の女性をランウェイに立たせた、はじめてのデザイナー。様々な国からインスパイアを受け、それぞれのいちばん美しいところをデザインに取り入れていた。“YSL WOMAN”はさまざまな顔をもつ女性であり、だからこそ僕は完全に自由に、何にも捉われることなくクリエイションができる。これ以上素晴らしいことはほかにないよ!
- Q
- レディ ダイアナ、マドンナ、レディー・ガガ……。たくさんのパワフルな女性たちのメイクアップを手がけ、いつもとは違う彼女たちの表情を引き出すことができた理由、秘訣とは?
- A
- うーん……。僕は“女性をもっとも美しく見せるメイクアップアーティスト”、なんて言ってもらえたりもするんだけど、その理由は正直、自分ではわからない。でも、一緒に仕事をした多くの女性たちが、仕事のときにはいつもの自分とは違うキャラクター、あるいは「ティピカルな自分自身」を演じなくちゃいけない、と語っていたのを思い出す。僕はいつも、そんな彼女たちに“Be yourself”って言うんだけど……。
レディ ダイアナをメイクアップしたのは、ちょうど彼女が王室を離れてすぐのときで、彼女はもう自由だったけど、まだ王室の束縛を断ち切れてはいなかった。でも、王室のお決まりのスタイルとは違うものにしたいね、と話し合ったのを覚えている。あるいはマドンナには、「今までの私の中で、いちばんきれいにして」とリクエストされ、「あなたといると自信がもてる。本当の私自身でいられるの」と言ってもらえて、とても嬉しかった。
これまでたくさんの女性たちをメイクアップしてきたけど、いちばん嬉しいのは、仕事が終わったときに「今日、このメイクアップのまま帰ってもいい?」と言われること。だってそれは、僕のしたメイクアップが彼女にとって異質な、居心地の悪いものじゃなく、彼女の一部になった、ということだから。最大の賛辞だよ!
- Q
- 来日は10年ぶりとのことですが、10年前と比べ、日本の女性は変わったと感じますか?
- A
- 日本の女性たちってこんなにセクシーだったっけ⁉ とびっくりしたよ! 以前はとにかくパーフェクトなメイクアップを目指している印象だったけど、今回は街でも仕事で訪れた場所でも、ただきれいなだけじゃなくて、みんな個性を感じさせるメイクアップをしている様子が印象的だった。その立ち居振る舞いも含め、より自由になって、自信もあるように見えたよ。
- Q
- ではそんな日本の女性たちに向けて、メイクアップとどう向き合えばいいのか、メッセージをお願いします。
- A
- 僕からのメッセージはいつもすごくシンプル。「メイクアップはあなたをハッピーにするものじゃなくては意味がない」。好きじゃない、苦手なアイテムは使わなくたっていい。とにかくエンジョイして。そして、自信をもって! だってメイクアップは、女性への贈り物なんだと僕は思っているから。僕自身はメイクアップをしないけれど、メイクアップをして幸せになる女性たちを見て、自分もハッピーになれた。ましてやそれを自分でできるんだから、楽しまなくちゃ!
そういえば昨日、生まれてはじめて男性――(X JAPANの)YOSHIKIに、YSL BEAUTY HOTELのイベントでメイクアップしたよ。最初にメイクルームに入ってきたときは、ステージの上で、トップレスで野獣のようにドラムを叩く姿とはまるで別人の、シャイで静かな男性で驚いたのだけれど。メイクアップするにつれ、彼の中のワイルドなパーソナリティが目覚めていったんだ。目の周りを「もっともっと」とどんどんダークにして、最後に「口紅もつける?」と聞いたらOKしてくれて。すごくフェミニンなラズベリー色を提案したら、「いいね」と言うので「ワオ!! まさか⁉」と驚いたよ(笑)。でも、最後に「自分のことをわかってくれている気がした」と言ってくれたので、とても嬉しかった。友達になれそうな人だと感じたよ。
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- PROFILE
- トム・ペシュー●フランス生まれ。2017年より、イヴ・サンローラン・ボーテのグローバル ビューティ ディレクターに就任。数々の巨匠フォトグラファーたちの撮影でコラボレーションを重ね、数多くのトップ クチュールメゾンの広告キャンペーンや、ランウェイでのメイクアップを手がけてきた。