昨年、創立25周年を迎えたUNDERCOVER。そのパリコレにおけるヘアを加茂さんが手がけるようになったのは、1997年から。UNDERCOVERというブランドに流れているそこはかとない反骨精神を常に具現化し、ランウェイに華を添え続けてきた。この秋に発表された17年の春夏コレクションにも、加茂さんのクリエイティビティはいかんなく発揮されている。一体、デザイナーである高橋さんとのコミュニケーションはどのようにして行われているのか。「彼との場合は、事前に段階を追って打合せをしていますね。東京でのミーティングのときに、今回のテーマは伝説のジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスと聞いて。そのとき、ココ・シャネルをイメージした帽子を作ったらいいと思いついたんです。帽子の仕立て屋さんからキャリアをスタートさせたココが作りそうなものを…と」。ランウェイに登場した後ろで結ぶタイプの帽子の数々。それは加茂さん自身が手がけたものだ。彼の創造力は「ヘア=髪」という概念をゆうに越え、ひとつのルックの中で、デザイナーとより濃密な“セッション”を繰り広げているといえる。「デザイナーとの進め方は本当に人それぞれですね。長年コレクションを担当しているハイダー(ハイダー・アッカーマン)とは、ほぼぶつけ本番って感じですし。じっくり話し合う人もいれば、そうじゃない人もいて、本当にいろいろ」。さまざまな予測不能な状況の中で、いつも期待以上のなにかを求められる。そんな世界で20年以上戦い続けている加茂さんは、まちがいなく唯一無二のアーティストである。
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