革新的なヘアデザインを生み出すチーム、そして道具へのこだわり

加茂さんが手がけた帽子をはじめ、スカーフやハンチングなどにジャズを連想させるモチーフが躍ったアンダーカバーのコレクション。ヘアはフロントをサイドパートにし、後ろはきゅっとタイトにまとめたスタイルが基本。一見シンプルに見えるが、実は、後頭部を細かくブロッキングして小さな三つ編みをつくり、そこからまとめる、という手の込んだもの。帽子やスカーフとのコーディネートもあり、ショー直前のヘアチームは切迫した状況が続いていた。その中でも加茂さん自身がムードメーカーとなり、率先してフィッターやコーディネーターとの連携を計っていたことが印象的だった。「コレクションの場合は必ず一人ではなくチームで動くことになるので、その難しさは常にありますね。技術は確かでも、これはアリだけどこっちは許せない…みたいな感覚を共有していかないといけないので」。バックステージでは、2人のヘアさんがトップからドライヤーを当て、それを加茂さんがタイトにまとめていくという光景を何度も目にした。「バックをいかにまとめるかがこのヘアのキー。このとき風圧の強いdysonのスーパーソニックを当てて、上質な質感に仕上げていく、というのがひとつのポイント。私の場合ドライヤーは常に2つ持っていて、いわゆる“NICE”なヘアのときはdyson、“BAD”な雰囲気に仕上げたいときは昔から使っている70年代デザインのもの、と使い分けています」。いつもヴィンテージのシャツを身につけ、アンティークのアイテムを好む加茂さん。そんな加茂さんが、dysonという未来的なデザインのものを手にしたきっかけについて質問してみると、「このフューチャリスティックなデザインは最高。私がなぜ古着を選ぶかということ、それはデザインがちゃんと構築的だから。それと同じスピリットをこのデザインを見たときに感じました」

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