脳科学を応用したメイクアップで、なりたい自分に近づく

脳科学者 黒川伊保子 & メイクアップアーティスト 東風上尚江が教えます

黒川伊保子 / くろかわ いほこ

脳科学者
1980年代から先駆けて人工知能の研究開発に携わる。性別や年代によって異なる脳の性質を研究し、実質的な脳科学論を展開。近著に『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書)。

東風上尚江 / こちがみ たかえ

メイクアップアーティスト
日本とLAでメイクアップの基礎を学ぶ。外資系ブランドで活躍後、独立。撮影やバックステージでの活動や、豊かな感性を生かして化粧品のコンセプト立案やコンサルティングも行う。

●男性の好みはミニカーに学べ
●女性は100点からの減点法でものを見る

東風上 メイクアップは女性の気持ちを上げる、自分のスイッチをオンにするための行為ですよね。そして選ぶ色や入れ方によって、まわりからこう見られたいなどイメージを操ることもできます。
黒川 ただ同じメイクアップでも、男性と女性とでは受け取り方が違いますよね。それは、脳の構造のせい。脳の中央には右脳と左脳を連携させる脳梁という器官があるのですが、女性と男性ではここの太さが異なるため、右脳と左脳の連携の仕方に差があるんです。その結果、ものの感じ方や見方に違いが出てきます。
東風上 今までも経験として女性が気持ちいいと感じるメイクと、男性が好むメイクは違うと思っていましたが、それは脳の構造の違いが一因だったんですね。
黒川 そうなんです。男性脳は空間認識に長けていて、無意識に立体的にものを見ているんです。中でもツヤがあって立体的なマテリアルは、構造が想像しやすいのでつい惹かれてしまう。たとえば、男の子が夢中になるミニカーがまさにそう。
東風上 ツヤと立体感、メイクアップにも応用できますね。以前「男性は残像でものを見る」とおっしゃっていたのも印象的でした。実際、目を伏せたときにチラッと主張する目尻のアイラインやメーテル風のまつ毛を好む男性は多いです。

●メイクアップは、女性にとっての背広である

黒川 一方で女性は半径 3m以内を面でつぶすように見る。自分が興味があるものなら、わずかな変化も見逃しません。さらに女性は100点から減点法でものごとを考えるんです。同僚の女性を見て「私は彼女に比べると口紅の印象が薄いから、もっと濃くしよう」とか。
東風上 確かに。ただ、ファッション好きの人はメイクアップが薄い人が多く、むしろ素顔に見える人もいますよね。
黒川 人と対面するときは、完全なスッピンはダメですよ。営業の男性が背広にネクタイを締めて顧客の話を聞くポーズを作るように、女性もどこか一カ所だけでもいいので、きちんとメイクアップをしていることで相手の反応が変わるはず。
東風上 メイクアップをする過程でも、外の世界に出ていく意識が高まりますね。

●目だけでなく、肌も色を感じている
●口紅を買うべきタイミングは月2回

黒川 興味深いことに、肌自体にも色を感じる力があるんですよ。赤い下着で体温が上がったり、メイクアップでもやさしい色をのせるとやさしい気分になるのは科学的にも立証されています。
東風上 コスメティックの色が自分の内面に影響するって、感覚的によくわかります。私の経験上、口紅は直感で選ぶといいと思うんです。その色こそが自分らしくて、意外と肌にも似合ったり。
黒川 口紅を選ぶなら、脳へのエストロゲン効果が最高潮になる排卵日と、エストロゲン効果が下火になる生理が終わってから3日目くらいに一本ずつどうぞ。前者の時期は攻めの色、後者では穏やかな色を選ぶ傾向が。さらに不思議なことにすべての人の脳は一定の周期で求めるものが変化するんです。たとえば唇なら輪郭がにじんだようなリップメイクのあとには、輪郭がくっきりした強めの色やマットな質感がカッコよく見えてくるんです。
東風上 今がその移行期かも。トレンドと脳は、実はつながっているんですね!

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着たい服はどこにある?
トレンドも買い物のチャンネルも無限にある今。ファッション好きの「着たい服はどこにある?」という疑問に、SPURが全力で答えます。うっとりする可愛さと力強さをあわせ持つスタイル「POWER ROMANCE」。大人の女性にこそ必要な「包容力のある服」。ファッションプロの口コミにより、知られざるヴィンテージ店やオンラインショップを網羅した「欲しい服は、ここにある」。大ボリュームでお届けする「“まんぷく”春靴ジャーナル」。さらにファッショナブルにお届けするのが「中島健人は甘くない」。一方、甘い誘惑を仕掛けるなら「口説けるチョコレート」は必読。はじまりから終わりまで、華やぐ気持ちで満たされるSPUR3月号です!

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