化粧品の限界突破を目指す研究者、開発者に支えられ、不可能が可能になるスキンケア。肌悩みも、エイジングも、隠すのではなく根本解決へ向かい、コストパフォーマンスも上がり、より自分にフィットするケアをカスタマイズできそうな2024年。スキンケアは肌に何をしてくれる? この先はどこへ向かう?
TOPIC1:UVケア新世紀。太陽を味方につける!
2024年、日焼け止めの概念が大きく変わろうとしている。今や紫外線やブルーライト、空気中の大気汚染物質など肌に悪いものを徹底的にブロックするのは当たり前。使いたくなるテクスチャーや香りもコンプリートした。次なる狙いは、日中の光を肌の味方に変換するポジティブなUVケア。
環境と肌の関係にいち早く着目し、深堀りするポーラからは、新発想の製品が。
「研究により、太陽光の中の赤色光に、線維芽細胞が生み出すハリ肌因子・レプチンを増加させる力があることがわかりました。新B.A ライト セレクターでは、紫外線などの有害な光をカットし、赤色光を取り込む技術を採用。守るだけだった日中を、ハリを育む前向きな時間に変えます」(ポーラ 研究員・中西類子さん)
新たに登場するオバジの日焼け止めもイノベイティブ。日焼け止めに、カプセルに閉じ込めたビタミンCを配合。ここまでは珍しくないが、紫外線を浴びるとカプセルが弾けて肌に放出されるという。しかもこの処方は、植物の機能を研究して生まれたもの。
これからは朝のスキンケアで化粧水の後に1品で保湿とプロテクトとベースメイク効果をコンプリートするアイテムの選択肢も増え、タイパ派の満足度もあがりそう。
2024年最先端の日焼け止め
TOPIC2:デパコスに追いつけ追い越せ。ドラコスの勢いが加速
2023年はベストコスメ企画で、数万円の美容液と1000円台のクレンジングが並ぶという現象が起きるくらい、ドラッグストアのプチプラコスメが勢力を拡大中。
「特にドラッグストアの市場として拡大しているのが美白カテゴリーです。ドラッグストアコスメの売上が伸びている大きな背景に、消費者のコスメリテラシーが上がったことが挙げられます。医師や研究者が美容成分を解説するYouTube人気もあり、若い世代を中心に、ブランドではなく成分文脈で商品を選ぶ人が増加。自前情報を持っているので、パパッと選んでさっと買うスタイルです。価格にシビアで、スキンケアにかけるお金は抑えたいけれど、効果は妥協したくない、というニーズは増えているので、各社が中身の充実とコストの削減に注力しています」(ロート製薬 PR・宮下侑子さん)
とはいいつつ、ハイブランドも負けてはいない。
「エビデンスベースの機能性を持つエイジングケアは、デパートコスメで展開された後に、ドラッグストアのブランドに展開される、という流れが当社にはあります。最近は新成分の開発も行いながら、昔からある成分の基礎研究にも時間とお金を費やし、あらたな効果を見出したり、どう届けてどう効かせるかを深掘りする傾向が。感度の高い人ほど、デパコスもプチプラも自由にチョイスし、賢く組み合わせています」(宮下さん)
お手頃で頼れる! 絶対「買い」の最新ドラコス
TOPIC3:美容医療とスキンケアのシームレス化
皮膚のもっと先、血流やリンパ、脂肪、筋肉まで研究のターゲットになってきたスキンケア。“防ぐ”“守る”を超え、“変える”“戻す”アプローチはますます加速。例えば、百貨店で展開するロート製薬のエピステーム クリニサイエンスシリーズは、美容医療を応用する、というコンセプトで誕生したシリーズ。
「提携クリニックと共同研究し、これまでも光治療やプラズマ治療のメカニズムから着想し、ホームケアでも実感がいただけるよう、スキンケア製品に応用しています。また美容医療発想のカウンセリングコスメ、ダーマセプトRXでは、アゼライン酸などクリニックでも扱う成分を安心してお使いいただけるよう専任のカウンセラーが対応を行うロート製薬ECでの販売方法をとっています。今後も、肌悩みを解決できるような製品展開をしていく予定です」(宮下さん)
2024年には、レーザーで消えない根深いシミをターゲットにしたブライトニングコスメや、「自宅でヒアルロン酸注入」をコンセプトにした製品など、各社から続々と発売される美容医療発想の製品に着目したい。
化粧品だからこそ、できることは?
とはいえ、シミ治療やたるみの引き締め、肌のボリュームアップなど、やはり医療にしかできないことは山ほどある。
「人に会うことが減り、マスクで顔を隠すことが増え、美容医療のハードルは下がったようです。SNSの影響もあってクリニックが身近になり、年齢に関わらず、悩みを改善するための選択肢も広がりました」(中西さん)。
そんな時代だからこそ、化粧品が担うことは何だろう?
「肌への効果を出すだけではなく、心地よさや豊かな時間を提供することではないか、と。例えば、2023年秋に発売したB.A グランラグゼ Ⅳは、ラグジュアリーカテゴリーの美容液には珍しく“大自然の土の香り”を採用。これもヒトの潜在的な心地よさを研究し生まれたものです」(中西さん)
化粧品だからこそ可能な癒し効果の研究と可視化も、さらに進んでいきそうだ。
TOPIC4:DNAからRNAへ! 個肌対応がさらに深く細かく
水分量や皮脂量、角層状態を分析し、肌に合うスキンケアを提案する「個肌対応」は以前からある。今注目されているのは、さらに踏み込んだDNA、RNA解析。
資生堂が昨年から提供しているのはDNA検査。シワやシミのできやすさ、できにくさなど、生まれた時から備わる肌の特徴や各種ビタミンの調整能力などをチェック。その結果に基づいて、化粧品はもちろん、食事、睡眠、運動まで総合的なアドバイスをするのが、Beauty DNA Program(¥12000)だ。肌のトラブルになり得る先天的な要因を知ることで、理想の肌を保つために最適な方法を知ることができる。
また、新たに花王が始めたのはRNAモニタリングだ。DNAは、一生変わらない、生まれ持った特徴を決める設計図。それに対し、DNAの情報をもとに作られるRNAは日々変動するもの。
「RNAは今の肌状態がわかるので、定期的なチェックで肌がどんな方向に進んでいるかも把握できます。そのRNAは非常に壊れやすく皮膚を傷つけずに採取するのが難しかったのですが、2019年に皮脂の中にRNAが安定的に存在しているのを発見。非侵襲的に採取し、網羅的に解析する“皮脂RNAモニタリング技術”を構築しました。これにより、たとえば肌が乾燥している場合、その人特有の乾燥の原因を推測することが可能に。また同時に角層も分析し、セラミドの質や角層細胞の質、重層化レベル、肌の酸化しやすさなど12の項目で、同年代と比較して、肌状態を判定。体験した方のアンケートでは肌の改善実感度94%、解析魅力度94%という非常に高い結果になりました」(花王 エストブランド PR ・浅利葉子さん)
これをどうスキンケアに活かすのか。
「エストでは、2024年春から、この皮脂RNAモニタリングを含む花王最新の肌解析スキン ポテンシャル アナリシスが付帯サービスとして体験できる『エスト スキンアスリートジム』(1年間コース/半年コース/トライアルコース)を本格始動します。科学的根拠に基づいたスキンケアアドバイスやレッスン、贅沢気分を味わえるトリートメント体験、食事や運動などのアドバイスもする、美容に特化したサブスクリプションプログラムです」(浅利さん)
その先には、カウンターで気軽にRNA検査が受けられるという未来も見えてきそう。
生まれ持った肌の性格や、変動する「今」の肌に合わせたパーソナルケアは、より正確に、より身近になっていくだろう。
TOPIC4:DNAからRNAへ! 個肌対応がさらに深く細かく
水分量や皮脂量、角層状態を分析し、肌に合うスキンケアを提案する「個肌対応」は以前からある。今注目されているのは、さらに踏み込んだDNA、RNA解析。
資生堂が昨年から提供しているのはDNA検査。シワやシミのできやすさ、できにくさなど、生まれた時から備わる肌の特徴や各種ビタミンの調整能力などをチェック。その結果に基づいて、化粧品はもちろん、食事、睡眠、運動まで総合的なアドバイスをするのが、Beauty DNA Program(¥12,000)。肌のトラブルになり得る先天的な要因を知ることで、理想の肌を保つために最適な方法を知ることができる。
また、新たに花王が始めたのはRNAモニタリングだ。DNAは、一生変わらない、生まれ持った特徴を決める設計図。それに対し、DNAの情報をもとに作られるRNAは日々変動するもの。
「RNAは今の肌状態がわかるので、定期的なチェックで肌がどんな方向に進んでいるかも把握できます。そのRNAは非常に壊れやすく皮膚を傷つけずに採取するのが難しかったのですが、2019年に皮脂の中にRNAが安定的に存在しているのを発見。非侵襲的に採取し、網羅的に解析する“皮脂RNAモニタリング技術”を構築しました。これにより、たとえば肌が乾燥している場合、その人特有の乾燥の原因を推測することが可能に。また同時に角層も分析し、セラミドの質や角層細胞の質、重層化レベル、肌の酸化しやすさなど12の項目で、同年代と比較して、肌状態を判定。体験した方のアンケートでは肌の改善実感度94%、解析魅力度94%という非常に高い結果になりました」(花王 エストブランド PR ・浅利葉子さん)
これをどうスキンケアに活かすのか。
「エストでは、2024年春から、この皮脂RNAモニタリングを含む花王最新の肌解析スキン ポテンシャル アナリシスが付帯サービスとして体験できる『エスト スキンアスリートジム』(1年間コース/半年コース/トライアルコース)を本格始動します。科学的根拠に基づいたスキンケアアドバイスやレッスン、贅沢気分を味わえるトリートメント体験、食事や運動などのアドバイスもする、美容に特化したサブスクリプションプログラムです」(浅利さん)
その先には、カウンターで気軽にRNA検査が受けられるという未来も見えてきそう。
生まれ持った肌の性格や、変動する「今」の肌に合わせたパーソナルケアは、より正確に、より身近になっていくだろう。
宇宙発想の未来派スキンケアに夢が膨らむ!
日本を含め世界的に、何が起こるかわからない、というより、何が起きても不思議じゃない時代。温暖化、強い紫外線、未知の感染症、震災、そして紛争に戦争…。コントロール不能な状況に陥る可能性はいつ誰にだってある。そんなタイミングで、“過酷な環境下でも、自分らしく健やかに過ごしたい”をテーマに、開発されたスキンケアが、ポーラの『コスモロジー』。
「ANA様と共同開発した、宇宙で快適に使えるスキンケアです。宇宙を起点に地上を考え、宇宙という過酷な環境で快適に使えるよう設計することで、地球のどんな状況でも快適に使えることに繋がるのでは、と」(ポーラ 研究員・小方隆史さん)
「極限の環境でスキンケアの意義を考えると、清潔に、健やかに、が基本。でも、宇宙飛行士たちのヒアリングで、毎日お風呂に入れなくても髪をとかしたり口紅を塗るだけで気分が明るくなった、という話を聞きました。シンプルであることをベースに、過酷な環境だからこそ、自分らしく調和のとれた状態を叶えるスキンケアで肌も心も満たすことが大切だと考えたのです。アイテムは、水を使わずに汚れを落とすクレンジングウォッシュと、ローションのようにみずみずしくクリームのような潤いを与えるローションクリームの2品。ストレス環境下でも心地よさを感じられるように、エビデンスベースで癒し効果のある香りを研究し、使うたびに安らぎを与えるパッケージも意識しました」(ポーラ 研究員・木内里美さん)
誰もがワクワクする、宇宙生活を想定したスキンケアの登場。しかも、それが遠い世界のことではなく、私たちの日常に寄り添っている。疲れた時やアウトドアにも便利だし、災害時や介護にも活用できそう。そしていつか、私たちが宇宙旅行に飛び立つときにも、あってよかった、とニンマリするはず。
●お話をうかがったのは……
エイジングケア、美白、シワなど幅広い製品の研究開発に従事。ヒトでの心理効果、肌効果のエビデンス取得が専門。
コスモロジー ローションクリームの処方開発担当。ウォッシュ、クリーム等のスキンケア製品を中心とした処方開発に従事。
コスモロジー 肌メカニズムの研究を担当。皮膚に関する基礎研究、およびそれを応用したスキンケア製品の開発に従事。
2006年の入社以来、PR部門一筋。ロート製薬のスキンケア、アイケア、フェムケアを担当。自社製品への愛に溢れ、研究開発やマーケティングの知識も豊富。
メディア向けの新製品発表会や、Instagramライブ等の企画・運営・出演など、エストブランド全般のPRを担当。