食事のときにおすすめの香水ってありますか？

食事の場ではフレグランスは基本NG。これまではそう言われてきたが、果たして本当だろうか？　レストランでの食事は、友人や家族とのアニバーサリーだったり、特別なイベントであることも。そんな日こそ、おしゃれの仕上げとしてフレグランスをまといたいと思うのは、至極当然。今回は、香水のイベントやセミナーで講師としても活躍しているフレグランスアドバイザーのMAHOさんを招き、食事シーンでの香水の楽しみ方を聞く。

「繊細な香りを楽しむ老舗の和食以外なら、レストランという空間に合う香りをほのかに楽しむことはありだと思いますよ」とMAHOさん。晴れやかな食事の場とハーモナイズするフレグランスを纏い方と共にご紹介。

タイラ　昨年の取材でMAHOさんが料理別にその空間に似合うフレグランスを挙げていたのがすごく印象に残っていて。「香水つけている方、お断り！」というお店もあるにはありますが、もっとフレキシブルにつけられるシーンが増えるといいな、と思っています。

MAHO　本当にフレグランスって、香りのチョイスとまとい方を間違えなければ、むしろ食事の場を華やかに演出するアイテムなんですよ。繊細な和食やお寿司のお店は、いまだになかなかハードルが高いですけれど。

タイラ　中華にフレンチ、イタリアン、カフェでのアフタヌーンティーにアジアンなエスニックあたりですかね？　香りをつけて行っても許されそうなのは。

MAHO  そう思います。中華なら、鉄板なのは燻したお茶系のフレグランス！ 中華料理も花椒や八角などスパイスをよく使うので、スパイシーだったり、スモーキーな香りがハマるんです。【ミラー ハリス】のティー トニックは香ばしい紅茶の香りで、合うと思いますよ。

タイラ　本当だ。中国の紅茶、ラプサンスーチョン的ですね。でも重たくはないから、つけていてもさり気ない。

MAHO　スターターとして出されるスターアニス（八角）のお漬物なんかにも合いそうでしょ？

タイラ　今夜行くレストランのために香りを選ぶって、なんだかとっても素敵ですね。つけ方で注意することってありますか？

MAHO　食事に行く直前のメイク直しをするときに、耳もとや首にシュッシュッと吹きつけるのはやめてください。首から上につけるのはどんなとき、どんな場所でもNGです。食事に行くときは必ずウエストより下で。時間も、19時の食事なら15時くらい。休憩のときにつけ直すぐらいの残り香で十分です。

タイラ　それぐらいほのかに香らせるのが決め手なんですね。知らなかった～。

MAHO　お次は、タイ料理やベトナム料理みたいな、アジアンなエスニックね。これは【プラダ ビューティ】のジャンジャンブルがお勧め。「ジャンジャンブル」って「ジンジャー＝生姜」のことなんですが、甘さもあれば酸味や辛味もあるジンジャーがシンプルに表現されています。

タイラ　エナジャイジングな感じで元気が出ますね。以前あった【オリジンズ】のジンジャー センシャス セントが大好きだったのですが、これもすごく好み♡  たしかにジンジャーの香りに刺激されて、タイ料理やベトナム料理が食べたくなってきました。

MAHO  座席間にゆったりとスペースが設けられたレストランなら、華やかなフローラルノートという選択もあり。

タイラ　高級フレンチならドレスアップするから、フレグランスをちゃんとつけたい気もしますよね。華やかな場ですから、王道のローズフレグランスあたり？

MAHO  それなら10月16日から始まる伊勢丹新宿本店の「サロン ド パルファン2024」でお披露目されるランコム発のラグジュアリー・フレグランスコレクション「アプソリュ レ パルファン」11種の中から、「ル パルファン」なんてどうかしら？　

タイラ　ホワイトティーの温もりとバラの女王センティフォリアローズ、それを包み込むクリーミーなムスク……。得も言われぬ美しい香り立ちですね。華やかだけど、けして威圧的ではないのがいい。席を立ったときにふわっとほのかにこの香りが漂ってきたら、きっと好印象なはず。

MAHO　華はあるけど、濃すぎず、重たすぎないのがミソ。お茶の香りは優しいので、レストランに行くときにつけるのには向いていますね。

MAHO  あとはその料理に使われる素材を意識して選ぶといいですよ。例えばイタリアンなら、絶対にトマトは外せませんよね？ そこで【オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー】のトマト＆バジルの香りを選んでみるとか。

タイラ　これ、畑から穫れたての野菜をフレグランスにしたベジタブルシリーズのひとつですよね。わかりやすくトマト＆バジル！（笑）

MAHO　個性的だけど、水性香水なのでそこまで強く香りすぎない。安心してレストランにもつけて行けますね。

タイラ　つけた瞬間から、「今日はマルゲリータ、絶対食べよう」ってなる！

タイラ　あとはホテルでスイーツを目当てにアフタヌーンティーを楽しむときなんかも、フレグランスをつけて行きたいですね。

MAHO  それなら【イルプロフーモ】のショコラという名前の香りがありますよ。チョコレートの甘い香りにマンダリンを合わせているから、オレンジピールチョコレートみたい。紅茶にもコーヒーにもマッチします。

タイラ　美味しそう、まさにショコラですね。チョコレートを食べたい誘惑に駆られたら、これをクンクン嗅いで我慢しようかな。いや、余計に食欲をそそられちゃうか……。

MAHO  【イルプロフーモ】は、1997年に創業したイタリアのニッチラグジュアリーなブランド。アロマセラピストが、精油学に基づいてフレグランスを作っているんです。カウンセリングでご紹介するとハマる方、多いんですよ。

タイラ　料理の種類に合わせてフレグランスを選ぶという趣向、新しくて面白いですね。あとつけ方でほかに何かアドバイスがあれば教えてください。

MAHO　レストランではあくまでもさり気なく香らせていたフレグランス。レストランを出て2軒目に行くなら、そこで足首にリタッチをするといいですよ。

タイラ　バーのカウンターで足を組み変えたら、ふわっと香りが……。なんかドラマが始まりそうです。

フレグランスを料理とハーモナイズさせることは、新しい香りの楽しみ方としてぜひ知っておきたい方法。上半身で香らせるのではなく、足首や膝裏など歩いたときにふわっと香る程度がスマート。まとうシーンが広がれば、それだけ数多くのフレグランスを楽しむチャンスが増えるということ。わかる人だけわかる、料理×フレグランスのマッチング。ぜひ試してみて。