2025年、人気ブランドで最も“売れた”香水は?

早いもので2025年もラスト1カ月。月2回配信の本連載では、往年の名香から最旬の香りまで、さまざまなフレグランスを紹介してきた。今回はいつもと趣向を変えて、人気ブランド別に2025年のヒット香水を振り返る。

10年ぶりに登場した5つ目のチャンス!

【シャネル】チャンス オー スプランディド

CHANEL チャンス オー スプランディド オードゥ パルファム

CHANEL チャンス オー スプランディド オードゥ パルファム 100ml ¥24,200/シャネル

幸運を手に入れるチャンスを味方にする香りのお守り

チャンスを逃さず、自らの手で運命を切り開いてきたガブルエル シャネルの生き方を香りで表現。2003年に最初のチャンスが誕生してから、シリーズ5作目として登場したヴァイオレットカラーのチャンス オー スプランディド。カラフルで、フローラルで、まばゆいほどに明るいトーンというチャンス共通のスタイルを踏襲しつつ、ラズベリーを主役にひと味違うフローラルフルーティに。運が向いてきそうなきらきらとした輝きを放つ、ポジティブで多幸感にあふれる香りだ。

シャネル カスタマー ケア センター
chanel.com

0120-525-519

チャンスはもともとファンの多い人気製品でしたが、「チャンス オー スプランディド」は10年ぶりの新作ということもあって、発売前から日本をはじめとする世界中で、大きな注目が集まりました。チャンスの中でこれまで人気だったオー タンドゥルに匹敵するほど、多くのお客様から愛される香りに成長しました。
── シャネル香水・化粧品本部PR鷲尾ありささん

【SPUR的考察】
4月のローンチ時のイベントでサンプルを手にしたという複数の友人・知人から、「シャネルの新しい香り、すごくいい香り」「紫色のチャンス、大人っぽくて欲しくなった」などの声が続々届き、その時点でヒットを確信。甘酸っぱいラズベリーを主役に、チャンスの中でも最もフルーティな印象だ。後に続くローズ ゼラニウムやセダーやホワイトムスクによる、ウッディでパウダリーなノートへと変化していく過程がユニークかつミステリアス。今、ネクストトレンドとして注目されるベリーの香りをいち早く取り入れているのも、さすがシャネル。

SNSや口コミで人気急上昇のオルフェオン

【ディプティック】オルフェオン

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DIPTYQUE オードパルファン オルフェオン 75ml ¥29,700/ディプティック

1960年代のサン⁼ジェルマンにあった伝説のバーへのオマージュ

「オルフェオン」はディプティックが創業されたサン₌ジェルマン大通り34番地の隣にあったジャズクラブ。“リップスティック”や“おしろい”、“カクテル”を取り入れることで、当時の雰囲気を彷彿とさせる香りに。調香師オリヴィエ・ペシューは、「この香りには常にアクシデントや驚きが潜んでいる」と語る。お酒とタバコ、花と女性たちのおしろいの匂いが夜の社交場の色気を感じさせながらも、驚くほど軽やかで洗練されたフレッシュフローラルウッディだ。

ディプティック
diptyqueparis.com

03-6450-5735

「友人からあまりにもいい香りがしたので、どの香水を使っているのか聞いて購入しに来ました」というお客様がブティックに数多くいらっしゃるほど、口コミ人気を実感。現在ではオンラインストアとブティック共に常に売り上げ上位にランクインする香りになっています。
── PR & コミュニケーション シニアマネージャー 高田志保さん

【SPUR的考察】 
フレッシュなフローラル「ド ソン」やホワイトムスクの「フルール ドゥ ポー」、爽やかなウッディ調の「フィロシコス」などの定番的人気の香りかと思いきや、“この香りを知っていたらかなり通でしょ?”な「オルフェオン」とは! タバコの煙の渦とおしろいの残り香。温もりと甘さのあるトンカビーンにシダーの深み。スモーキー、パウダリー、グルマン、爽やかで軽やかなウッディ……流行の香りの要素をふんだんに含みながら、それらが混然一体となって見事に調和している。ディプティックの顧客の香り経験値の高さにびっくり。

新作売上で、過去最高を更新したネバーエンディングサマー

【メゾン マルジェラ フレグランス】ネバーエンディング サマー

【メゾン マルジェラ フレグランス】ネバーエンディング サマー

Maison Margiela Fragrance レプリカ オードトワレ ネバーエンディング サマー 100ml ¥24,640/メゾン マルジェラ フレグランス 

夏のヴァカンスに連れていきたい自由で開放感あふれる香り

甘酸っぱいビターオレンジとシュワッと弾けるスプリッツァアコードで始まり、アールグレイとカルダモンやジンジャーのアクセントのある香りに。ラストにかけてシダーやベチバー、樹脂香の落ち着きのある深みをもたらす。海辺で過ごす夏の日に太陽を浴びた肌の温もりと、アペリティーヴォの甘さが溶け合って。自由で開放感あふれるノートに仕上がっている。

メゾン マルジェラ フレグランス

maisonmargiela.com

03-6911-8413 

風光明媚なイタリアの観光名所として知られるアマルフィ海岸で過ごす夏のひと時、“ラ・ドルチェ・ヴィータ”を描いた香りです。新作売上として過去最高を更新し、現在、圧倒的な知名度を誇る「レイジーサンデーモーニング」に次ぐ売上を記録。ブランド成長の約8割を担う貢献ぶり!
── メゾン マルジェラ フレグランス コミュニケーション  マネージャー 太田麻衣さん

【SPUR的考察】 
4月末から9月末まで驚異的に暑かった今年の夏。6月発売の「ネバーエンディング サマー」の爽やかな香りに、癒しを求める人が多かったのも納得。レプリカは時間と場所からイメージされる記憶に付随する香りをコンセプトにした香りのコレクション。これはイタリアのアマルフィ海岸に潮風と共に運ばれてくる熟したオレンジの爽やかな香り……。誰もが「うーん、いい匂い」と香りを深く吸い込みたくなるシトラスノートだ。美しい海を眺めるリゾートで「時間よ、止まれ」と願った夏を思い出す。

ブランド全商品の中で売上1位のオードパルファム、アクア

【サンタ・マリア・ノヴェッラ】アクア

【サンタ・マリア・ノヴェッラ】アクア

SANTA MARIA NOVELLA オードパルファム アクア 50ml ¥28,600/サンタ・マリア・ノヴェッラ・ジャパン

メディチ家のヴィラに佇む噴水を思わせるきらめく水の香り

世界最古の薬局のひとつとされる、イタリア・フィレンツェ発祥のブランド。800年以上の歴史をもち、伝統的な製法と高品質な天然原料にこだわった香り作りを続けている。アクアは噴水の周りを歩いたときに感じるような、みずみずしいアクアティックフローラル。好感度の高い清らかな香りはまとう時間帯も季節も、シーンも選ばない。

サンタ・マリア・ノヴェッラ・ジャパン
smnovella.com
03-6384-5188

フィレンツェに現存するメディチ家の庭園の噴水に着想を得た、熟れた洋ナシとロータス(蓮)が表現する、清らかな水の香り。爽やかな香りで、日本でも本国イタリアでも売上1位を誇ります。サンプルを店頭で配布した場合のリターン率もダントツの1位! 従来からのブランドのファンのお客様はもちろん、新規のお客様にも手に取ってもらうきっかけに。老若男女問わず使いやすいのも、人気の秘密です。
── ステディ スタディ PR 谷口 こころさん

【SPUR的考察】
ほのかな甘さの清らかでみずみずしい香りは、フレグランスビギナーにも使いやすい柔らかな香り立ち。まとった人の肌になじんで悪目立ちすることがなく、美味しい水を飲んだようにリフレッシュできる、アクアティックフローラルだ。オーデコロンを主軸に長い歴史をもつサンタ・マリア・ノヴェッラが800周年記念に初めて発表した、オードパルファムコレクションのなかのひとつ。イタリアの古書のようなデザインの箱に収められた、目に鮮やかなブルーのボトルも人気の要因と見た。

ジャスミン好きの心を捉えた、ラ コレクシオン プリヴェのNo.1 人気

【ディオール】ラ コレクシオン プリヴェ ジャスミン デ ザンジュ

2025年、人気ブランドで最も“売れた”の画像_5

DIOR ラ コレクシオン プリヴェ ジャスミン デ ザンジュ 200ml ¥63,140/パルファン・クリスチャン・ディオール

王道のロマンチックフローラルにトレンドのグルマン要素をのせて

陽光をたっぷりと浴びた、白く可憐なジャスミンの爽やかな花の香りと、アプリコットやハチミツの甘いグルマンノートが重なる。やわらかく、ふんわりと香るのに香りの持続力も上々。ロマンチックなフローラルノートは刺繍を施したレースのドレスを着る日にまといたい。

パルファン・クリスチャン・ディオール

dior.com

03-3239-0613

すっきりとしたジャスミンの香りにアプリコットとハチミツが溶け合う甘美なグルマンフローラル。香水名のジャスミン デ ザンジュは、クリスチャン・ディオールが夏のヴァカンスを過ごしたニースの内陸地、「天使の入り江」に由来しています。この香りを数滴まとうと、そんな天使の入り江に誘われるようなうっとりした心持ちに。
──パルファン・クリスチャン・ディオール フレグランス PRチーム

SPUR的考察 
ジャスミンはストレートに品質の良し悪しがわかる素材のひとつ。微量なインドールを含むジャスミンは豊潤でセンシュアル。濃密でありつつ、すっきりと爽やかで甘すぎないバランスが素晴らしい。花の香りにアプリコットとハチミツ、バニラといったトレンドのグルマン要素が入っているのもきっと人気の秘密。甘重グルマンや爽軽ウッディなどがトレンドの主流であるなか、他人と被りたくない人ややっぱりフローラルが好きという人に愛されているのだろう。

2025年、本連載で紹介してきたフレグランスものべ116本。気になるフレグランスや新しい発見はあったでしょうか? 今年はラスト1回を残すのみ。来年もきっとますます盛り上がるフレグランス界隈から、今後も目が離せない!

平 輝乃さんプロフィール画像
ビューティエディター・パフューマリーアドバイザー平 輝乃さん

ビューティエディターとして長年、数々のフレグランス企画を担当。一昨年よりフランスの大手香料メーカー、サンキエムソンスが手がけるフレグランスの専門知識を学ぶレッスンを受講。2025年11月日本パフューマリー協会認定のパフューマリー アドバイザーの資格を取得した。

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