大人がつけたい「ベリーの香り」はありますか?

松の内も終わり、すっかり日常のペースが復活してくる頃。この今の時期、冬から春にかけて一層美味しくなるといわれる“いちご”にちなみ、今回はレッドベリーやブラックベリーなどベリー系をフィーチャー。膨大な嗅覚リファレンスでセミナーやトレンド分析、カウンセリングなど香り分野で活躍するフレグランスアドバイザーMAHOさんに最新トレンド、ベリーの香りの傾向を伺った。

ベリー系で愛らしさをプラスし、既存の香りからバリエーションを増やす

タイラ ここ最近、ストロベリーやブラックベリーなどを使った香りが続々登場しています。2月に発売予定の【イヴ・サンローラン・ボーテ】の「リブレ オーデパルファム ベリークラッシュ」など、オリジナルのリブレの香りにベリーでアクセントを利かせたものが気になります。

MAHO そうですね。ベリーを始めとする芳醇なフルーティさというのは、愛らしさや女性らしさを表現するために特にレディースフレグランスにおいては欠かせない要素のひとつ。香りとしても一定数の人気があるわけで、昨今の流行りのグルマンフレグランスに起用されるのも必然と言えば必然。
オリジナルのオレンジブロッサムとラベンダーの衝突に、ラズベリーが愛らしく甘酸っぱい要素をプラス。そして、ココナッツがトロピカルなクリーミーさを加えています。鮮やかなコントラストで、よりフレッシュで溌剌とした印象に仕上げていますね。継続してトレンドの甘重グルマンの系譜にも入れられるでしょう。

タイラ YSLらしく、ピンクなのにトガッた印象もなくしていないのがかっこいい!

【イヴ・サンローラン・ボーテ】リブレ ベリークラッシュ

【イヴ・サンローラン・ボーテ】リブレ ベリークラッシュ

YVES SAINT LAURENT BEAUTEリブレ オーデパルファム ベリークラッシュ 50ml ¥20,460/イヴ・サンローラン・ボーテ

フローラルラベンダーの新たな一面を引き出す、ラズベリー ジュース アコード

自然香料では抽出が難しいラズベリー。そのジューシーさやフルーティさを最大限に表現するアコードを用い、リブレを“YUMMY LUXURY”な香りに変換。クリーミーな温もりをもたらす芳醇なココナッツが加わり、甘美な癒しへ。大胆で明るく、セダクティブな表情を見せる、赤のリブレだ。

イヴ・サンローラン・ボーテ
0120-526-333

 

タイラ 【シャネル】の「ガブリエル シャネル ロー オードゥ トワレット」も、ベリーの香りをプラスしていました。私は、ガブリエル シャネルのシリーズでは香水(パルファム)がいちばん好きなのですが、このローはパルファンとはまた違った印象ですね。パルファンよりもみずみずしく、躍動感にあふれる印象です。

MAHO パッと香った瞬間にはベリーのインパクトはそこまで強くないのですが、なじんでくると徐々に表れてきて、その塩梅がちょうどいい。魅惑的、かといって甘すぎず。上品な愛らしさがある。オリジナルとはまた違った、きらめきを感じさせる印象になっています。

タイラ ベリーがいいアクセントになっている! ということですね。

【シャネル】ガブリエル ロー オードゥ トワレット

【シャネル】ガブリエル ロー

CHANEL  ガブエリエル シャネル ロー オードゥ トワレット 50ml ¥20,020/シャネル

4種類の白い花々を際立たせるベリーアコードで、よりフレッシュに

ガブリエル シャネルの香りを構成するエキゾチックなジャスミン、フルーティなイランイラン、みずみずしいオレンジブロッサム、そしてフェミニンでなめらかなチュベローズ。香り高いチュベローズの、グリーンでボタニカルな一面を際立たせるのがベリーアコード。ベリーによってスパークリングな輝きが添えられた新感覚のフルーティフローラルフレグランスだ。

シャネル カスタマー ケア センター
chanel.com

ウードにカシスを効かせてナチュラル感を醸し出す

MAHO フルーティの香りといっても、天然香料が採られているものはカシスしかありません。フルーティ素材を天然香料で打ち出したい時に「カシス=ブラックカラント、黒すぐり」がよく使われる香料ですね。

タイラ フルーティな香料って、レモンやオレンジなどのシトラス系と違って、意外に天然香料は存在しないということなんですね⁉ 面白―い。でもフルーティな香りで、人工的で嫌だって思うものも、今どき、そんなに出合わない気がします。

MAHO 【ドルセー】の「ホーリーベリー」もストロベリーがミルクのヴェールに包まれる、をコンセプトにしていますが、キーとなる香料はIFF社のみが独占的に使用可能な、ブラックカラントバッド・アブソリュート=LMRです。ホワイトウードを使ったレザーを思わせる深みのある香りに、いきいきとしたレッドフルーツを思わせる高品質な天然ブラックカラント・アブソリュートを合わせて。柔らかな印象に変え、親しみやすさというか、敷居の高いウードフレグランスをその良さを失わせることなく、使いやすいものにしているという感じでしょうか。

タイラ ホーリーベリーは賦香率32%と濃密なエクストレ ドゥ パルファン(エクストレやインテンスは元の香りとどう違う?の回参照)。先ほど話していた甘く重たいグルマンですね、これも。

【ドルセー】ホーリーベリー

【ドルセー】ホーリーベリー

D'ORSAY ホーリーベリー エクストレ ドゥ パルファン 50ml ¥41,800/ドルセージャパン

ストロベリーミルクとウードが溶け合う、濃密なパルファン

一瞬にして心を奪われてしまう、美味しそうないちごミルクの香り。青葉をクラッシュしたようなグリーン感と桃のような甘いフルーティさをもつラクトンと共に特別で貴重な香料、ブランクカラントバッド・アブソリュート(LMR)がこのストロベリーミルクアコードという唯一無二のオリジナルアコードを奏でています。フルーティでスパークリングなまるで果実そのものを味わうような香りで自然を感じて。

ドルセージャパン
dorsay.jp
03-6804-6017

レザーノート×ラズベリーで味わう香りの二面性

MAHO エクストレ ドゥ パルファンつながりで行くと、【メゾン クリヴェリ】の「キュイール インフラルージュ」があります。

タイラ ニッチラグジュアリーなフレグランスメゾンがプレステージ感のあるエクストレをメインに売り出すとMAHOさんがこの連載で教えてくれましたね。クリヴェリはエレクトロニックな音楽フェスで飲み干したラズベリーダイキリにインスパイアされて生まれた香りというのがなんとも今っぽいです。

MAHO  トップからしっかりとレザー調が香り立つ印象だったのですが、なじんでくるとベリーの甘酸っぱさで“いい女っぽい”雰囲気も出てくるんですよー。個人的にそれは、常に新しい体験を求める、遊び心と多面性を持つ都会の女性像!

タイラ 蛍光色のネオンライトが輝くクラブへ出かけるときなんかに似合いそう。

【メゾン クリヴェリ】 キュイール インフラルージュ

【メゾン クリヴェリ】 キュイール インフラルージュ

MAISON CRIVELLI キュイール インフラルージュ エキストレ ド パルファム 50ml ¥37,400/ブルーベル・ジャパン

意外性とエレガンスを兼ね備えたシヤージュが美しい

シトラスとラズベリーをブレンドした爽快なトップノートで幕を開け、拡散性の高いスエードレザーのアコードが広がるフルーティ ウッディ ノート。ドライダウンするにつれて、ウードにバニラ、トンカビーンアブソリュートが溶け合う深みと温もり感ある香りが肌を包み込む。ベアトップやオフショルダーなどのドレスで、この強力なシヤージュ(香りの航跡)を楽しんで。

ブルーベル・ジャパン
https://latelierdesparfums.jp/
0120-005-130

タイラ レザーの香りにラズベリーというのは相性がいいのかな? 【ラルチザン パフューマー】に「キュイール グレナ」がありますね。表参道のフラグシップショップを取材したときに、大ヒット中の「アビサエ」に次ぐ人気の香りと聞きました。クリヴェリと同じレザーとラズベリーの組み合わせですが、こちらは甘重グルマンというよりは、爽やかなレザーといった趣です。

MAHO そうですね、ラズベリーはフルーティさだけでなく、ローズを思わせる香りの側面を持っています。なので、レザーの香りとの相性が良いだけでなく、重厚でハードになりがちな印象に、フレッシュな柔らかさをもたらしてくれるという新しさがあります。キュイールグルナはミニマムな構成ですが、ラズベリーを合わせることでナチュラルさが引き出されていますよね。逆も言えて、可愛く、女っぽくなりがちなフルーティノートにハードな印象のレザーを合わせることで、可愛くなりすぎないのがよいんです。

タイラ たしかに。二面性があるおかげで性別を問わず、使えそうです。レザーの香りってフレグランス偏差値が高くないと難しそうだけど、これはラズベリーの甘酸っぱさが加わることでビギナーでもトライしやすいはず。それでいてレザーの香りの奥深い魅力にも開眼させてくれそう。

【ラルチザン パフューマー】キュイール グレナ

【ラルチザン パフューマー】キュイール グレナ

L’ARTIZAN PARFUMEUR キュイール グレナ オードパルファム 100ml ¥40,480/ラルチザン パフューマー

モロッコのレザー工房で触れた嗅覚の記憶

最高級の原材料のみを用いた、七角形のボトルでおなじみの「レ メルヴェイユ コレクション」のひとつ。調香師クリストフ・レイノーがモロッコへ旅行した際に訪れた革細工師の工房で触れた香りの再現。暗い屋内の工房と灼熱の太陽が広がる屋外がなす鮮やかな光と影のコントラストを温もりあるレザーとパウダリーなラズベリーで表現している。

ラルチザン パフューマー
https://www.artisanparfumeur.com/jp/ja/
03-6778-7477

ストロベリー、ラズベリー、カシス……。甘酸っぱいフルーティさが香りにきらめきをもたらすベリーフレグランス。それはグレーやブラックが多くりがちな真冬のコーディネートに明るい色の小物を効かせるようなイメージ? ウードやレザーといった重ための香りを試してみたいけど、なかなか難しそうと尻込みしている人の入門編にぜひ。

MAHOさんプロフィール画像
フレグランスアドバイザーMAHOさん

幼少から香水の世界に魅了され、フレグランス企業や調香師に師事した経験を基に、香りの豊かさや楽しみ方をセミナーやイベントで発信。またブランドに属さない中立的な目線で行う、個々の魅力や可能性を引き立てる香り選びのアドバイスも人気。日本調香技術普及協会理事や日本フレグランス協会常任講師として、国内の香水文化の普及と発展に尽力。

平 輝乃さんプロフィール画像
ビューティエディター・パフューマリーアドバイザー平 輝乃さん

ビューティエディターとして長年、数々のフレグランス企画を担当。一昨年よりフレグランス専門知識を学べる教育機関、サンキエムソンスが手がけるフレグランスの専門知識を学ぶレッスンを受講。2025年11月日本パフューマリー協会認定のパフューマリー アドバイザーの資格を取得した。