「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という美しい女性の立ち居振る舞いを花に例えた言葉もあるように、ふわふわとした花びらたっぷりの華やかな芍薬=ピオニー。春待ち花としても人気が高く、フレグランスのなかでも好まれる香調の一つだ。そんなピオニーフレグランスの魅力を、豊富な香水の知識と膨大な嗅覚リファレンスをもつフレグランスアドバイザー MAHOさんに語ってもらった。
ピオニーの香りの特徴
フレグランス界の女王の座に君臨するローズと同じように、芳しい香りと大輪の花を咲かせる花でありながら、ピオニーはよりさりげなく、親しみやすさがあるのが特徴。「ピオニーのほうが日常にそっと寄り添う花といった印象ですね。先ほどの“立てば芍薬~”も、美しい女性の例え以外に、それぞれの花の根が生薬に用いられることもあり、漢方で使うときの症状に照らし合わせた例えという説もあるそうです。そういう意味でもピオニーの花は女性の美と健康を象徴する花として古くから親しまれてきたということが伺えますね。
そんなピオニーですが、香りはあっても天然香料は採れないんです。香水界で俗にいうところの“サイレントフラワー”のひとつです。つまり調香師が思い描くピオニーの香りを、アコードで再現したものが『ピオニーフレグランス』となります。バラに通じる華やかさで相性もよいため、奥行きを補完する香りとしても使われます。どこか生薬を思わせるようなグリーンな清涼感や、品種によってはほのかにスパイシーなニュアンスがあり、女王然としたローズの香りとはまた違ったナチュラルな華やかさを特徴としていることが多いでしょう」(MAHOさん)
日本になじみやすい、王道のピオニーフレグランス3選
チュールのドレスをまとうように、華やかなピオニーフレグランス
バラほど香りが強くなく、ほどよく華やかなピオニー。ギリシャ神話の医神、パイエオーン(Paeon)に由来。根茎を使って神々の負傷を治療されたと言われている。薬用植物であるとともに神々から愛された花としても有名。花言葉は恥じらい。薄いピンクの花の色は頬赤らめる初々しい女性の姿にも似て。ときには素直で可愛げのある私でいたい、そんな時にピオニーの香りが、優しい雰囲気をまとわせてくれるはず。
幼少から香水に魅了され、フレグランス業界での経験を基に、セミナーやイベントで香りの豊かさや楽しみ方を発信。またブランドに属さない目線から、個々の魅力や可能性を引き立てる香り選びのアドバイスも人気。日本調香技術普及協会理事や日本フレグランス協会常任講師、大分香りの博物館香りのアンバサダーとして、香水文化普及に尽力。
ビューティエディターとして長年、数々のフレグランス企画を担当。一昨年よりフレグランス専門知識を学べる教育機関、サンキエムソンスが手がけるフレグランスの専門知識を学ぶレッスンを受講。2025年11月日本パフューマリー協会認定のパフューマリー アドバイザーの資格を取得した。




