まとう人の“雰囲気”となって、個性を表現する香り。おしゃれな人は、どうやって香りを選んでいる? 愛用香水から、自分に合う香りの選び方について紐解いていく本連載。第一回は、多くのモデルやデザイナーが髪を委ねる『Sraw』ディレクターの柳 亜矢子さんに話を聞いた。フレグランスの原体験や失敗を通して、たどり着いた珠玉の香りとは?

おしゃれな人はなぜ“いい香り”? 柳 亜矢子さんの愛用香水と香りの遍歴をチェック

まとう人の“雰囲気”となって、個性を表現する香り。おしゃれな人は、どうやって香りを選んでいる? 愛用香水から、自分に合う香りの選び方について紐解いていく本連載。第一回は、多くのモデルやデザイナーが髪を委ねる『Sraw』ディレクターの柳 亜矢子さんに話を聞いた。フレグランスの原体験や失敗を通して、たどり着いた珠玉の香りとは?

柳 亜矢子さんプロフィール画像
ヘアスタイリスト柳 亜矢子さん

神奈川県出身。都内ヘアサロン、『broocH』を経て『Sraw』ディレクターに就任。2026年6月には独立し、自身のサロン『TWO』を鎌倉に開店予定。精油を用いたマルチケアオイル『TAU』のディレクションも手掛ける。

柳さんの「香り」の秘密|“トンカビーン”に魅せられて

『Sraw』ディレクターの柳 亜矢子さんのおしゃれな全身コーディネート

柳さんが作るヘアスタイルはもちろん、ファッション感度の高さも定評がある。この日はムカサのトップスとジェーン スミスのスカート、ヨー ビオトープのパンツでコーディネート

柳さんは4~5年、同じ香りをリピートしている。愛してやまないのは、トンカビーンの香り。トンカビーンとは、クマルというマメ科植物の黒い種子だ。アーモンドのようなクリーミーな甘さとスモーキーさを併せ持ち、フランスではお酒やデザートの風味付けとしても使われている。

柳亜矢子さんの愛用香水はバイレードの『イレブンス アワー』

「ジェンダーレスな中に、少しだけ甘さのある香りが好きなんです。上品でしつこくない甘さって何だろう? と、好きな香水に入っている共通の原料を探ったときに、トンカビーンの存在を知りました。それからは、理想のトンカを探す日々。そして、友人に勧められたバイレードの『イレヴンス アワー』に行き着きました」

トンカビーンを主役に据えた、バイレードの『イレヴンス アワー』

トンカビーンを主役に据えた、バイレードの『イレヴンス アワー』

フレッシュなベルガモットとスパイシーなペッパーが弾け、次第にイチジクとラムの柔らかな余韻が残る、バイレード『イレヴンス アワー』。首筋、手首、服にそれぞれ1プッシュが柳さん流のまとい方

バイレードの創設者は、元バスケットボールプレーヤーのベン・ゴーラム氏。洗練された香りが多く、モードラバーの間でも人気のブランドだ。柳さんは香りはもちろん、バイレードが描く独特な香りのストーリーにも、強く惹かれたという。

「 『イレヴンス アワー』は“世界の終焉”という意味の名を持つ香水。ネパールの山岳風景に着想を得て、創られた香りだそうです。ストーリーを聞くと壮大ですが、香りを嗅ぐと“世界のはじまり”を思わせるような甘美さもあるんです」ラストは柳さんの好きなトンカビーンと、カシミアウッドが包み込むように漂う。

旅に出るときはトンカビーンがキーとなる、ノンフィクションの「THE BEIGE」を持参

旅に出るときはトンカビーンがキーとなる、ノンフィクションの「THE BEIGE」を持参

ノンフィクション 30mlの『THE BEIGE』。パウダリーなホワイトムスクにゼラニウムが溶け合う

柳さんにとって、旅は唯一のリラックス法。どんなに忙しくても、毎年長めの休みをとって旅に出かけているそう。

「旅先にも必ず香りを持っていきます。ただし、大きなバイレードのボトルは不向きなので、ノンフィクション『THE BEIGE』の30mlサイズを。韓国の空港で何気なく嗅いで、一瞬で恋に落ちました。後からトンカビーンが入っていると知って、やはりトンカが好きなんだと再確認しましたね」

香りで失敗した経験も!? 柳さんの「香水遍歴」

香りに恋した10代から、自分を鼓舞するように香りをまとっていた20代、そして心委ねられる香りの傾向が見えてきた現在まで。失敗もあったから、感性が磨かれる。そんな柳さんの香水遍歴にフォーカス。

初めての香水はちょっぴり苦い思い出とともに

「中学生の頃にショッピングセンターで購入したパウダーコロン。その場でまとったら、すぐに酔ってしまい貧血症状に。友人たちに担がれてトイレに居座った、苦い経験があります(笑)」

全校生徒が夢中になった、カルバン クラインの『シーケーワン』

「高校時代は、『シーケーワン』が大ヒット。校内では至る所でその香りがしました。もちろん、私も波に乗りましたよ(笑)。爽やかな柑橘系の香りって、今でも永遠だと思います」

ジェニファー・ロペス 『スティル』の紅茶の香りが相棒だった20代

「周囲の男性スタッフと被らない香りを選ぼうとして見つけたのが、『スティル』。アールグレイの爽やかな香りで、清潔感もありました。当時から、爽やかな中に甘さをほのかに感じるものが好きだったんです」

心惹かれる香りを求めて探し歩いた20~30代

イソップの名香『マラケッシュ』や、サンタ・マリア・ノヴェッラの『トバッコ トスカーノ』など、ジェンダーレスな香りへシフト。「スモーキーやウッディなど、モダンでありながあら自然を感じるものが好き。香りの傾向が定まってきた頃ですね」と柳さん。一方で、精油にも興味を持ち、アロマテラピーの講座を受講するなど、香りの造詣を深めていった。

人生の新章へ。今、寄り添うのは“癒し”の香り

2019年、住まいを鎌倉に移した柳さん。刺激のある東京とオフの時間を過ごす鎌倉を行き来する中で、心の切り替えのために香りの習慣を取り入れていると話してくれた。

繊細でフレッシュ! サンタ・マリア・ノヴェッラの『オポポナックス』

繊細でフレッシュ! サンタ・マリア・ノヴェッラの『オポポナックス』

スパイシーで甘いソマリア原産の樹脂、オポポナックスがキーとなる、サンタ・マリア・ノヴェッラの『オポポナックス』

最近、友人へのギフトを探しに店に足を運んだところ、自然を求める今の気分にフィットする香りと出合えたそう。

「普段つけているバイレードは、“やさしい鎧”のような感じ。オンモードになるスイッチ代わりになっています。一方で、サンタ・マリア・ノヴェッラの『オポポナックス』は、素の自分に戻るような“癒し”の香り。ハーブを感じさせるシプレ系で、明るい気持ちになれるんです」

ネロリハーブの『オン&オフミスト』、心のスイッチを入れる新習慣に

心のスイッチを入れる新習慣はネロリハーブの『オン&オフミスト』

ONはグレープフルーツ、オレンジスイート、レモンなどの爽やかな柑橘系の精油13種をブレンド。OFFはイランイランやラベンダー、ネロリの精油で心身の緊張を解きほぐして

オンとオフの気持ちの切り替えは、香りのリチュアルで。「小田切ヒロさんがおすすめしていたネロリハーブの『オン&オフミスト』は、最近のお気に入り。寝る前は枕カバーとパジャマにオフミストを吹きかけ、朝はオンミストで目覚めるように。不思議と心が整うような気がしています」

イソップの『サラシナ アロマティック インセンス』で心を鎮めて

イソップの『サラシナ アロマティック インセンス』で心を鎮めて

イソップの『サラシナ アロマティック インセンス』。ドライでウッディなサンダルウッドと温もりのあるスパイスが、心地よく空間を満たす

家でもサロンでも、お香を欠かさないという柳さん。「イソップのお香は私の定番。サロンでもたまに焚いています。お香の香りはもともと好きで、サンダルウッドが香水でも好きなんです。気持ちが忙しないときや、呼吸が浅いときに焚いて、鎮めるようにしていますね」


柳さんにとって香りは、見えない鎧であり、心に寄り添う相棒。柳さんの香りのコレクションを参考に、あなたの“理想の香り”を見つけて。

FEATURE
HELLO...!