春を感じる“ミモザの香り”って? 今選びたい名品ガイド

可憐な姿とはうらはらに、厳しい冬を超え、早春にいち早く花を咲かせるたくましい花・ミモザ。女性のエンパワメントフラワー、ミモザの香りとはどんなもの? フレグランスアドバイザー MAHOさんに話を伺った。

Q. ミモザの香りの特徴とは?

ヨーロッパでは春を告げる花として親しまれているミモザ。
「1900年台から、香水の原料として使われるようになりました。もともとフレグランスはありましたが、日本でミモザの香水が注目されるようになったのは、3月8日の国際女性デーの花に選ばれたことが大きいですね。ミモザの花を贈るだけでなく、ミモザのモチーフを使ったアイテムも選択肢として増え、ミモザフレグランスにも注目が集まりました。生花で芳香豊かな花でも、天然香料が取れないものもあるなかで、ミモザは主にフサアカシアという品種からアブソリュートが採られます。その香りは、パウダリー感や、ハニーのような甘さを中心に、グリーンっぽさやウッディ感、そしてスパイシーさなどをかすかに持ち合わせています。明るいイエローも元気が出る花色ですし、爽やかで軽やかに香るライトなフローラルノートとして、特に春には人気がありますね」(MAHOさん)

Q. ミモザの香りを堪能できる、シングルノートの香水は?

【ゲラン】シャンゼリゼ

ゲランの香水シャンゼリゼ

シャンゼリゼ 75ml ¥21,010/ゲラン

シャンゼリゼ通り68番地。ゲランの伝説的なブティックへのオマージュとして生まれた香り。ゲランがグローバルなブランドとしてさらなる飛躍を目指し、変革を試みていた1996年、ゲラン3代目専属調香師ジャック・ゲランによって生み出された。

「シャンゼリゼという名前の香りは、実は1904年に発売されていて、本店ブティックがある通りを再びタイトルにして、別の調香で登場させました。当時、世界的に知名度の高い俳優、ソフィー・マルソーがシャンゼリゼ通りを楽しそうに闊歩する広告で、ゲランというフレグランスメゾンのグローバルな認知度も一気に高まりました。タイトルには謳っていませんがミモザを主役に据え、(カシスによる)フルーティさによって、弾むような華やかさとなめらかさが共存するポジティブなエレガンスを体現しています」(MAHOさん)。

パリのカフェでお茶をして、シャンゼリゼ通りをそぞろ歩きする、そんな華やかなパリの日常を謳歌する溌剌としたパリジェンヌの姿を彷彿させる。

【クロエ】 アトリエ デ フルール オードパルファム ハーバミモザ

【クロエ】 アトリエ デ フルール オードパルファム ハーバミモザ

クロエ アトリエ デ フルール オードパルファム ハーバミモザ 50ml ¥18,700/コティジャパン

“クロエの花のアトリエ”という名を冠したコレクション名の通り、ボタニカルなシングルノートを中心に展開し、お気に入りの花を集めたブーケを作るように自由に香りをレイヤードすることが可能。

「ハーバミモザは咲き誇る満開のミモザから通り抜けてくる風のように、かすかに感じる干し草やグリーンの苦みのナチュラル感とパウダリックな印象を持ち合わせていて、男女どちらにも使えるジェンダレスな香りです。どこか懐かしさを覚えるこの香りは、季節の節目による別れや新しい出会いなど、春の日の思い出が呼び覚まされるよう。懐かしい記憶と共に前向きな気持ちに導いてくれます」(MAHOさん)。

調香師はアマンディーヌ・クレール・マリー。ハーバミモザは彼女が20歳のころ、グラッセの丘一面に咲き誇るミモザを見つけたときの、驚きと胸に湧き上がる感動を表現。パウダリーでウッディなミモザの明るいノートがフレグランスに奥行きを与えている。

Q. 自然の息遣いを感じるミモザフレグランスは?

【ペリス モンテカルロ】  ミモザ タヌロン オードパルファム

【ペリス モンテカルロ】  ミモザ タヌロン オードパルファム

ペリス モンテカルロ ミモザ タヌロン オードパルファム 100ml ¥36,300/NOSESHOP

ニッチラグジュアリーなフレグランスブランドを手掛けるNOSESHOPが発掘した、2012年にモナコ公国モンテカルロで創設されたフレグランスブランド。伝統的な調香の技法と最新の研究結果を用いて、天然香料が主役となる香水を創造している。

「タヌロンは南仏の山岳部にあるミモザの景勝地として知られる小さな村。ミモザは香水産業がさかんなフランスに持ち込まれ、鑑賞用の花ではなく天然香料のための栽培も盛んです。この香りが広がると、丘一面が黄色く彩られたタヌロンのミモザがまぶたに浮かぶよう。高揚感と穏やかさが同居する春の空気感みたいなものが、ミモザとムスクで美しく表現されています」( MAHOさん)。

ミモザのアブソリュートを主役にサンザシやローズ、ホワイトムスクを添えて。パフューマーはミニマムな調香で香料の魅力を最大限に引き出す名手、ジャン・クロード・エレナ。

エクストラクト パフュームオイル メモリアミモザ

エクストラクト パフュームオイル メモリアミモザ

エクストラクト パフュームオイル メモリアミモザ 50ml ¥22,000/パンピューリジャパン

タイ発祥の香りによる癒しとホリスティックケアを掲げ、スパなどでも扱われているウエルネスブランド、パンピューリ。香りはパフュームオイルという形で展開され、手首や肘の内側、膝の裏や首筋といったパルスポイントに塗ってなじませるタイプだ。

「このパフュームオイル、天然香料だけで構成されているんですよ。ミモザのアブソリュートをメインに、ベースとなるふくよかな甘さのあるバニラアブソリュート、2つの天然香料を20%以上の高濃度で配合。切れのあるカルダモンと、ミモザやバニラの香りをまろやかに溶け合わせるネロリが、ソフトに香りたつフローラルノート。冬から春へと移ろう喜びが湧き上がってくるような、明るい香りです」(MAHOさん)。

パフュームオイルのベースとなるのはオーガニック認証を得ているモリンガシードオイルで保湿ケアを兼ねながら香りを楽しめる。パルスポイントの熱により、ミモザとバニラの甘い香りが穏やかに優しく香る。

Q. インテリアのように自然なミモザフレグランスは?

【ジョー マローン ロンドン】ミモザ & カルダモン コロン

【ジョー マローン ロンドン】ミモザ & カルダモン コロン

ミモザ & カルダモン コロン 100ml ¥23,650/ジョー マローン ロンドン

相反する素材を組み合わせるユニークな調香で知られるロンドン発祥のフレグランスメゾン、ジョー マローン ロンドン。甘くパウダリックなミモザにフレッシュでスパイシーなスパイス、カルダモンを合わせた、開放感がありながらも優美さもたたえた香りだ。

「ミモザ & カルダモンはトンカビーンの甘さが添えられて。野に咲くミモザというよりはまるでイギリスの邸宅で、花瓶に生けられたたっぷりのミモザの花によって、空間全体に満たされた香りと例えればよいでしょうか。温もりが感じられることもあり、どことなく紅茶の香りが漂うような洗練された奥行きも感じられるのです」(MAHOさん)。

三寒四温の春を待つ今のシーズンにふんわり柔らかな薄手のカーデガンを羽織るような、穏やかな温もりある香り。

MAHOさんプロフィール画像
フレグランスアドバイザーMAHOさん

幼少から香水に魅了され、フレグランス業界での経験を基に、セミナーやイベントで香りの豊かさや楽しみ方を発信。またブランドに属さない目線から、個々の魅力や可能性を引き立てる香り選びのアドバイスも人気。日本調香技術普及協会理事や日本フレグランス協会常任講師、大分香りの博物館香りのアンバサダーとして、香水文化普及に尽力。

平 輝乃さんプロフィール画像
ビューティエディター・パフューマリーアドバイザー平 輝乃さん

ビューティエディターとして長年、数々のフレグランス企画を担当。一昨年よりフレグランス専門知識を学べる教育機関、サンキエムソンスが手がけるフレグランスの専門知識を学ぶレッスンを受講。2025年11月日本パフューマリー協会認定のパフューマリー アドバイザーの資格を取得した。