エクセルの「リアルクローズシャドウ」といえば、誰もが知っている大ヒットアイテム。トレンド感がありつつも、ベーシックで使いやすいカラーが揃い、常にワードローブにスタンバイさせておきたい定番ニットのような存在。まぶたにスッと溶け込み、粉飛びしないフィット感と、重ねても時間が経ってもくすまないクリアな発色で大人も満足させてくれるのに、価格はプチプラの域。そんな名品パレットをはじめ、工夫を凝らした色名を持つアイテムをご紹介。
言ってカワイイ、見てオシャレ♡ 色名に使えそうなワードを日々ストック
エクセルでは、ひとつの製品を一人のプランナーが担当。製品や色の名付けもそのプランナーが発案し、ブランドプランナー全員で相談して決定している。今回、お話を聞いたのは、エクセルプランナーのリーダーを務める、中村友梨香さん。
「日常生活で目にしたもの、情景など、あらゆるものが色名の着想源に。日頃から常にアンテナを張っておき、自分が心を動かされたものや気になるワードを見つけたら、スマホのメモ機能にストックしておきます。そしていざ名付け、となったら、その製品の色に合うワードをどんどん書き出していき、いくつかのワードを組み合わせたりして、名前を作っていきます」(中村さん)
SNSでは製品とともに色名も拡散されることが多いため、目で見たときの字づらや口にしたときの語感から受ける印象も大切にしている。
「普段はあまり使わないけど、実は言ってみたかった言葉、言ったら可愛いな、知っていたらオシャレだなと思われそうなワードも積極的に使っています。色名を言ったり打ち込んだりするたびに、楽しい気分になってもらえたら素敵ですよね」(中村さん)
クローゼットの中で探せそう? 「リアルクローズシャドウ」の6つの色名
「リアルクローズシャドウ」は、「ファッション感覚でメイクを楽しんでほしい」という発想で生まれた4色入りパレット。普段使いの洋服のように身近な存在ながら、移り変わるトレンドを取り入れてアップデートしていく。そんなコンセプトのもと、昨年の春に全色リニューアルを果たした。そのときに、色名も一新。
「この製品はコンセプトが明確で、色名もファッション関連にすると決めていたので、ファッション雑誌やアパレルショップのサイトを見たりして、ワードを集めていきました。ひとつの製品につき3~5案ほど色名の候補を挙げて、最終的に決まったのがこの6つの名前です。
ほかの製品にも言えることですが、エクセルのカラーアイテムでは『直接的じゃないのに、実際の色の雰囲気が思い浮かぶ』ことをルールにしています。だから『タッセルミュール』は、まずはベージュやゴールド系のものが多い『タッセル』を思い付いて。さらに『ミュール』は大人っぽくて華やかだけど、いろんな服に合わせやすくて使いやすいことから、そのバランス感がベージュトーンのパレットにぴったりだと思って名付けました」
この『タッセルミュール』は、6色の中でNo.1のベストセラー。シンプルで覚えやすい名前も好評だ。
「『ワッフルローブ』は、一番可愛らしい色なので、色名も可愛さ推し。ボリューム感たっぷりのワッフル素材のローブ、間違いなく可愛くなれるアイテムですよね。モーヴピンク系のパレットは『パフスリーブ』。エレガントで特別感のあるパフスリーブは、レッドでもブルーでもなく、こんな色がしっくりくるはず。カーキを効かせた『ドロップショルダー』は、都会的でエッジィなイメージ。マニッシュ&ハンサムな印象のオレンジべージュ系のパレットの色名は、メンズライクな『フリンジハット』に」
『バックスリット』だけは、具体的なものやモチーフではない、変化球な名前。
「他の色はファッション関連のアイテムやグッズを色名にしていましたが、『バックスリット』はあえて方向性を変えることで、今後の可能性も広がった気がします。スリットが入った服も美しく着こなす、優雅で上品な色香を持つ大人を思わせるカラーです」
新定番のベージュリップ、「リップステディ」のテーマは永遠
この春、新登場の「リップステディ」は、5色のベージュカラーで展開。
「いつも自分に寄り添ってくれる“ステディ”のように、どんなメイクにも合わせやすく、ずっと使えるベージュを追求しました。色名もそのコンセプトに沿って、“永遠”から着想を得ています」(中村さん)
永遠の象徴のひとつとして、大切ね人との愛が裏テーマになっている。多幸感がありつつ、程よい血色を感じる絶妙な発色も大人好みだ。商品のメインビジュアルに使われている『チャペル』も、色名の印象よりシックで落ち着いた色。
「『チャペル』というと、海外の結婚式場のように白くて明るく華やかな建物を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、この色名の『チャペル』は、厳かで神聖な赤レンガ色のチャペルのイメージなんです。彩度を抑えたクールなベージュで、モードなファッションにも似合うはず」(中村さん)
全5色がベージュ系だからこそ、1色1色の特徴や印象を丁寧に捉えながら、色名をあてはめていったという。
「青みが強く、可愛らしくて華があるローズベージュが『ブライズメイト』。『トークトゥユー』は、話が弾んだときのような楽しさ、明るさを思わせるピーチベージュ。『オネストラブ』は誠実な愛という意味。赤は愛を象徴する色なので、赤みのコーラルベージュに名付けました。『エンドロール』は『永遠がテーマなのに、エンドにしちゃっていいの!?』という声もあがっていたので詳しく説明しますと……、結婚式などスライドに流れるエンドロールを見ているときの満たされた気持ち、みんなに祝福された喜び、そして明日から新しい1日がはじまって永遠に続いていく幸せ感からの『エンドロール』なんです」(中村さん)
自由な発想で遊べる、「アイプランナー」は色名もフリーダム
「リアルクローズシャドウ」はファッション、「リップステディ」は永遠と、製品ごとに色名のテーマが決まっていたが、あえて色名のテーマにルールを設けていない製品もある。シングルアイシャドウの「アイプランナー」もそのひとつ。質感は5種類、色数は28色を誇る充実ぶり。
「好きな色を自由に楽しんでほしい、色も質感も自由に選んでほしいという想いがあり、色名もいろんなジャンルから自由な発想で名付けています。『ラブロマンス』は、愛おしさや甘さを感じるローズピンク。『オーバーランデヴー』は、待ち合わせに遅れて、どっしり優雅に登場するような麗人から思い付いた名前。『タイニーキャット』はフワフワで手触りのいい猫みたいに、エキゾチックな雰囲気のカラー」(中村さん)
「ネイルポリッシュ N」は、色も名前もムード満点の星空カラー
「ネイルポリッシュ N」は、現在の定番色は12色だが、これまでの限定色や廃盤色も合わせると50色以上になる。この製品は、コレクションごとにテーマに沿った色名が付けられている。今回紹介するのは、星空をテーマにした4色。
「大きさや輝きの異なるパールを使い、満天の星のような美しさを演出する4色です。『トワイライトラバー』だけは、2022年の限定発売で人気を博し、ラブコールに応えて定番化しました。『ラピススカイ』は、鉱石のラピスのような美しい夜空を想像して作った名前。『ストロベリームーン』は、6月の満月をそう呼ぶことがあるそうで、見ると恋が叶うというジンクスも素敵だなと思って。『ドリームスケイプ』は夢の中にエスケープするようなイメージ」(中村さん)
過去には花言葉から着想した和風の色名や、異国情緒をテーマにした色名もあったという。
「異国情緒をテーマにしたときはコロナ禍真っ只中で、旅行なんてとんでもない! という時期でした。だからこそ、指先だけでも旅行気分を、という想いを込めて作った色だったんです」(中村さん)
中村さんをはじめ、エクセルのプランナー集団は20代が中心。今後もフレッシュかつ鋭いセンスで世の中の情勢やトレンドを捉えて、キャッチーなアイテムを生み出してくれるはず。次のシーズンの新色もお楽しみに!
エディターが名付けに
商品
エクセル リップステディ
SD03
ネーミング案
『ロブスター』
着想源
な、なんと! ロブスターは、理論的には永遠に生きられるそうです! 脱皮するときに内臓も生まれ変わるとかなんとかで…、真偽のほどは不明ですが「永遠」にちなんで名付けました。
採点
もう少しがんばりましょう
コメント
「永遠」テーマに沿ったぴったりなネーミングをありがとうございます! ただ、恐縮ながらあと一歩!な評価を付けさせていただきました...!
「ロブスターが永遠に生きる」という知識を知っていればテーマにぴったりなワードですが、そうした前提知識が無くても、誰でも気づくことができるような分かりやすい関連性があると、より素敵に伝わると思いました!
あとは、もう少し可愛いモチーフだと嬉しいです!笑
マーケティング統括部
商品企画グループ リーダー 『エクセル』開発担当中村友梨香さん
バラエティショップを中心に営業を経験したあと、「エクセル」の商品企画・開発を担当。これまでに「リップベルベティスト」、「シームレストーンブラッシュ」「プロテクティブ UVエッセンス」など多くの製品を手掛け、名付けた色名も数知れず。