白く明るくつくり込むと透明感は逃げていく
タカシバ 前にヒロさんが教えてくれた、口角にコンシーラーを入れる方法、すっごくよかった!
マブニ 5月号のときでしたよね。口角、上がりますよね~!
ヒロ 今回のテーマ、「透明感」もコンシーラーが主役ですよ。ファンデーションは使わず、必要な部分だけコンシーラーを塗っていきます。使うのはトーンのオレンジピーチ系の3色パレット。
赤みのあるベージュ系の色みが絶妙。オークルトーンの肌に自然に溶け込む。
タカシバ これ、私みたいに暗めの肌でも色浮きしないかな?
ヒロ 幅広い肌トーンにマッチするから大丈夫。右の暗い色で目頭から黒目側に向かって放射状に1センチほどラインを引いてぼかせば、目の下の影が隠せます。
マブニ 目の下のクマを完全に塗りつぶすのではなく、目頭の影だけを消せばいいんですね。
ヒロ そのとおり。そして、頰の三角ゾーンのアラを隠したい場合も、同じ右の色をトントンッと。
タカシバ この辺、シミとか毛穴とか目立つ部分だもんね。
マブニ あれ? 目の下とか頰の三角ゾーンって明るく見せるのが普通だと思うんだけど、コンシーラーは暗い色でいいんですか?
ヒロ いいんです! この部分を白く明るくすると、途端にコンサバになっちゃうんですよ。シミは隠れても、透明感もモードも遠ざかってしまったら残念すぎるでしょ。だからシミや影は暗い色のコンシーラーで周りの肌に同化させるのが、モードメイクのお作法。
タカシバ このカバーテクって、コスメデコルテのスティックファンデーションでもイケる?
圧迫感や厚みとは無縁の軽やかさ。部分的なカバーには暗い色がおすすめ。
ヒロ もちろん。重すぎなくて、使いやすいんですよね。さて、この後は明るい色のコンシーラーにシフト。先ほどのトーンのパレットの左の色を使います。入れる部分は何カ所かありますが……、目尻から斜め上にスッと入れると、顔がキリッと上がって見えますよ(上イラスト参照)。5月号でお伝えした、口角の影消しもおすすめ。コンシーラーで引いた線は、スポンジでぼかしていって……。
タカシバ 待って! 今、スポンジにつけたのって、何?
ヒロ フルールドファティマのマルチバーム。スポンジでバームを軽くなでるようにしてからコンシーラーをぼかせば、潤い補給とツヤ出しも同時進行。
肌、唇、髪にもOKの多機能バーム。メイク直しや肌が乾燥しているとき、スポンジでごく少量をつけるのがヒロさん流。ナチュラルな素材でできていて、夏はとろっと柔らかく。
タカシバ ヒロさん、すごいテクをさりげなく披露するよね。ほかにも隠し玉があるんじゃない?
ヒロ どうかな~。最近、仕上げ用のお粉をやめたって言いましたっけ? 代わりにムーのスキンスムーザーを使ってるんです。
毛穴や凹凸をフラットに整え、サラサラに仕上げるベース。ヒロさんはテカリ&崩れ防止のお粉の代わりに、化粧の仕上げに使用。
マブニ これって毛穴埋めのベースですよね? 仕上げに使うの?
ヒロ ふふふ。スポンジにごく薄くとって、テカりやすい小鼻や眉間をサッとなでるようにね。肌がマットに落ち着くけど、お粉をはたくより生っぽくてフレッシュ。
タカシバ いいねー! 新しい!
ヒロ それから、透明感といえば SUQQUのパープルチークもはずせない! 透明感のある人がもともと持っている血色を再現してくれる感じ。頰に加えてまぶたにも薄くぼかすと、ますますリアルな血色を演出できますよ。
明るいパープルチークは難易度が高そうに思えるが、こちらは黄み肌でも色浮きせず、繊細な血色感と透明感をもたらす。肌トーンが暗めの人は、暗めのコンシーラーと混ぜて使っても。
(イラスト右から)
スタイリスト タカシバ
クマは、隠すよりも生かす派。少し気だるくこなれた感じが好きで、メイクアップでクマ足しすることも。
ヘアメイクアップアーティスト 小田切ヒロ〈LA DONNA〉
透明感=白さにあらず。肌全体はあえて暗めに抑え、部分的に明るくすると、服映えするモードな顔に。
ライター マブニ
頰に広がる肝斑が気になり、ファンデーションを厚塗りしがち。カバー&透明感の両立を目指したい。
SOURCE:SPUR2020年7月号「小田切ヒロの美人は化け学」
illustration: Hitoshi Kuroki〈vision track〉 text: Kozue Mabuni