2021.08.07

小田切ヒロの解体美書 第6回 ― しゃれ感が欲しいなら、グレーのアイライナーよ! ―

(右)極細の軸先で繊細なラインも思いのまま! にじみやかすれのない濃密な発色はジェルベースならでは。マットでモードなグレー。

マイクロライナーインク 07 ¥3,850/SHISEIDO

(左)化粧したてのフレッシュな発色が続くメタリックグレーのペンシルアイライナー。涙、汗、皮脂、湿度に立ち向かう処方。

スティロ ユー ウォータープルーフ N 42 ¥3,520/シャネル

引き方にこだわればもっとずっとしゃれる!

――カラーアイライナーがすっかりトレンドになりましたよね。

ヒロ そうなの。カラーバリエーションが本当にたくさんあって、どの色を選んでもそれぞれ正解だと思う。でも、SPUR読者には断然グレーをおすすめしたい。秋に向けて、シルバーグレーみたいなアイシャドウがトレンドになるから、先駆けって意味でも投入してほしいし、グレーのアイライナーって問答無用で印象をクールにしてくれるパワーがあるの。

――グレーにもニュアンスがさまざまですよね。どんなグレーを選ぶのがいいんですか?

ヒロ とにかく透けてないグレーを選んでほしい。メイクアップシーンでは透け感=抜け感みたいな印象があると思うんだけど、グレーのアイライナーだけは別物。透けたグレーって取れかけっぽく見えるから清潔感が損なわれちゃうんだよね。だから絶対にちゃんと色が出ることが重要。その視点から今月は2本のアイライナーをレコメンドしたいと思います。まずはシャネルの「スティロ ユー ウォータープルーフ N」の42。

――ロングセラーのバージョンアップで話題になっていますね。

ヒロ そうなの。これはもうメタリックな感じがめちゃめちゃしゃれてる。そのうえ、色がちゃんと出て飛ばないんだよね。光の加減でまばたきをするたびに抜け感が出るところも最高! もう一本はSHISEIDOの「マイクロライナーインク」の07。こっちはマットで深みのあるグレー。定着力の高いジェルタイプでテクいらずで印象をスタイリッシュに映してくれるところが買い。どちらもキープ力が高いから汗ばむ夏にうってつけ。

――今シーズンの引き方のポイントってあるんですか?

ヒロ もちろん! 大前提として、ぼかさないことが最重要事項。おしゃれ偏差値を上げたいなら、引きっぱなしにしてください。それとね、引く場所が大事なの。アイライナーってついつい目頭から目尻まで上まぶたのきわ全体に引きたくなっちゃうでしょ? その衝動をグッと堪えて、上まぶたの目頭から黒目の内側と黒目の外側から目尻1㎝ハミ出るところまでだけに引いてほしいの。それってつまり、黒目の上の部分だけ抜くってことね。そうするとほら、キリッと見えてかっこよくない?

――アーティストのリナ・サワヤマみたいな雰囲気が出ますね。

ヒロ そうそう、まさにそんな感じ。こんな些細なことで抜け感とこなれ感が出るんだから、デイリーに取り入れてほしい。

――ポイントメイクアップはどんな色を合わせたらいいんですか?

ヒロ アイシャドウは潔くレスして。チークとリップは好きな色でいいんじゃないかな。グレーってすべての色と相性がいいところも魅力だから。あと、モードな女性あるあるで黒のアイライナー×赤リップのメイクアップから抜けられない方が結構いらっしゃると思うんだけど、そういう方もこの機会にアイライナーをグレーにチェンジしてほしい。それだけで、一気に表情が垢抜けるんだから!

小田切ヒロ
ヘアメイクアップアーティスト。ラ・ドンナ所属。圧倒的なセンスとコスメティクスへの審美眼、オリジナリティあふれるテクニックで大人気。常にトレンドを刷新し続けるYouTubeチャンネル「HIRO BEAUTY CHANNEL」も話題。しなやかなボディラインを目指して、朝食に馬刺しを口にするのが最近のルーティン。

SOURCE:SPUR 2021年9月号「小田切ヒロの解体美書」
interview & text: Rina Ishibashi illustration: Shuji Kobayashi

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