世界でいちばんうまい人と同じことができたら、それは自分が世界でいちばんうまいということですよね。だからそれをかなえるツールと処方の組み合わせは重要なんです。と語るのはshu uemura のプロダクト デザイナーの淺野裕司さん。 チーフ メイクアップ アーティストでもある淺野さん、関西弁で訥々と技術や処方を語る、職人みたいな人柄が私は大好きで、あまり表舞台に出ることのない淺野さんが登場したその日はヤッターと心の中でガッツポーズを決めたのでした。 スポンジを使う利点は“肌をならす”こと。表面をフラットにすること。でも今回のゴールはキメや凹凸を活かした、自然で美しい肌。今日は肌の状態が良いねと褒められる、そんな仕上がりを求めて新しくブラシを開発することに。
「キメを活かす、つまりキメを埋めずにキメに追随するようなブラシを目指しました」 「だから毛は決して寝てはいけない。毛が寝ると横のスジムラが出てしまいます。徹底的に密集させて毛を立たせて、でも肌に触れたときにどの角度でもチクっとしないこと、キメに寄り添うよう試行錯誤を繰り返して」「最初は長方形だったんです。ハンドルの部分やもちやすさにこだわってこのかたちに」「shu uemuraが提唱する“もつ喜び”にも叶うブラシができました」。
ここまで淡々と、早くこの場を去りたいのか口早に語ったその最後に「これ、指輪みたいにも見えるでしょ…」と言って、やっとニヤッと笑った淺野さんの嬉しそうな表情に、私はズキューンときたのでした。 かの植村秀さんは美しい素肌のことを「ペタルスキン」と呼びました。内側にみずみずしさを閉じ込めたような透明感、それがこの密集ブラシだと本当にかなうんですよ!店頭によっては欠品中のところもあるという話。ペタル 55 ファンデーション ブラシ¥6,000、朝の肌作りが楽しくなるツールです。 発売中SPUR4月号 p.186〜「美肌スパイ大作戦」もお見逃しなく。
エディターIGARASHI
おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。