カラッとしない梅雨の東京。洗濯物は乾かないし髪はうねるし、雨上がりの通勤電車は不思議なにおいだし。じめじめしたムードが気分に及ぶ前に、これです。
オ茶デモイップク、イカガデスカ。
といっても香りのお話。美味しいお茶をいただくように、ティーの力で周囲の空気を潤せば、梅雨真っ只中だって大丈夫(たぶん)。今日のフレーバーは三つです。
まずはホワイトティーの「テ カシミア」。白茶の茶葉を煎って、深みを増したようなスモーキーな心地よさ。その上にマテとローズ、白い花々が被さって、目には見えない上質なカシミアのブランケットが五感を包みます。最後はベースノートのムスクの余韻。きりっとした透明感が魅力のユニセックスの香りです。どんなにじっとりした満員電車でも、この香りをまとっていればそこだけ-3℃の涼やかさ……こんなイメージ。
次はヴィルヘルム・パフューマリーの「ディア・ポリー」。セイロン産のブラックティーが主役です。リンゴやベルガモットとブラックアンバーが加わって、甘やかな朝のティーカップが心に浮かびます。匂いのラブレターと呼ばれる理由は、ブランド創設者のジャン・オーグレン(超絶イケメン)が妻をイメージして創った香りゆえ。奥様は紅茶が大好きだそうデス。ただしこのニッチブランド、昨年末にスイスの会社に買収されて、現在、販路や事業形態などが移行中。ニューヨークのバーニーズを始め、オンライン販売は一部続行しています。前から願っているのですが、素敵なブランドなのでぜひぜひどなたか日本で販売展開してくれませんか?
最後にウーロン茶の名作を! アトリエ・コロンは残念ながらちょうど今月、日本展開が終了してしまったのですが、海外の免税店やデパートでは販売中なのでご安心を! 未体験の人は海外旅行の際にぜひ試してみてほしいです。軸は烏龍茶アコード。スモーキーなガイアックウッドと爽やかなイタリアンベルガモットが交わりあって、清潔感いっぱいのムスキートーンを奏でます。この季節のべとっとした空気も一掃する、そんな魅力の香りなんですよね……。老若男女に自信をもっておすすめしたいさっぱりしたフレグランスです。母体の経営陣が変わった今も、このフォーミュラは変えずに未来永劫、爽やかな烏龍茶の風を届けてほしい!そう願ってやみません。
濃密な香水が苦手な人にも。お茶を味わうようにまとう軽やかなフレグランスが、気持ちの良い夏を連れてきます。