はるか昔、宇野千代さんの自伝で「おしろいを顔に塗ったら瞬時に美人になって周りは大騒ぎ」というようなくだりがありました。心が奪われましたよね。そのパフが「うさぎの足」だったとアタリマエのように書いてあったのも衝撃でしたが、「おしろいを塗れば誰でも美女になれるらしい」という刷り込みを胸に、ああ早くパタパタやってみたいと切望したあの日。
あれから××年。思うようにいかないのです。先生、話が違いますけど!と心中叫びつつ、(そもそもの素材云々は頑なに無視しながら)トライ&エラー、またエラー、またまたエラー……を繰り返し、イップスになりかけて、諦めました。仕上がりのパウダーのことは。もうお粉はかけない。だって、発光力に優れたリキッドファンデーションの上にパウダーをかけると、せっかくの好みのツヤが消えてしまうのがかなしいから。このジレンマに対峙した結果、透明感を優先して、ベースメイクアップは「粉、無し!結びの一番はリキッドファンデーション」が自分の決まり手となりました。
おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。


