今年もまた、ステイホームの夏が終わろうとしています。「旅行できるようになったら、まずどこ行きたい?」。最近、友達とそんな話ばかりしています。旅への思いは募るばかり。そんな時は香りで妄想トリップ、心は自由にどこまでも。
「その香水、どこの?」と、この夏ずいぶん聞かれたのが、セルジュ・ルタンスのラドントゥーズアンカジェ。「檻の中の調教師」という、ルタンスらしい哲学的なネーミングにまずしびれます。つける前は禁欲的な香りを想像していたのですが、実際につけてみると、まろやかで優しく、むしろ南国的な開放感さえ感じます。プルメリアとほのかなアーモンドの仕業かな? 一瞬でハワイの心地よい風に吹かれているような気分に! あぁ、この感覚がもしかして、暗い檻の中から希望の光を見出す調教師のそれってことですか?ルタンスさん。
見てください、この素敵な赤いボトル! こちらは今年60周年を迎えたディプティックから、「アートと旅」 をテーマにしたアニバーサリーコレクションのひとつ、ル グラントゥール オードトワレ キョウト。ブランド創業者たちにとって様々なインスピレーションの源であり、憧れの場所である京都にオマージュを捧げたというフレグランスです。インセンス、バラ、ベチバーがブレンドされた香りは、なんとも奥深く、落ち着きます。それでいて、軽やかな心地よさもある絶妙なバランス。ちょっとクセのあるおしゃれさで、一度ハマったらやみつきに。外からみた京都はこんなイメージなんですね。次の旅は京都もいいなぁ。
最後にもうひとつ。香水ではないのですが、FEMMUEの化粧水ルミエール リファイナーも、わたし的には欠かせません。製品説明には「ローズとジャスミンによるフローラルの香り」とありますが、一般的にローズとジャスミンに感じる華やかさよりは、ちょっぴり青くてほんのり甘い、ノスタルジーを感じます。この化粧水を顔につけるたび、幼馴染みと無心にシロツメクサの花冠を作っていた幼稚園時代にタイプスリップするのです。泣きそう。
自由に旅に出られる日が早く戻って来ますように。そう祈りながら、心は時空を超えてどこまでも、香りに連れて行ってもらいましょう。