2021.08.04

振り向けばサンタフェ

15年ほど前にニューメキシコ州に夏服のロケに出かけたことがあります。新生RMKのコレクションを見たとき、すっかり忘れていた出張の匂いを思い出しました。

ロケバスで走り抜ける乾いた大地はあまりにも雄大で、もしかして夢なのかしらとひとり赤土色の惑星に迷い込んだような錯覚を覚えました。クリエイティブディレクターのYUKIさんは語ります。「オファーをいただいたとき、暖色の世界とオキーフがつながったんです。アーシーな色彩……そう、人工的な配色ではなく、身近でフレンドリーな暖色です」 

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ローズウッドデイドリーム 4アイズ 01 キャニオンデイブレイク¥6,050<数量限定>・ソフトファイン アイペンシルEX-05 レイブレッド¥3,080<数量限定色>/RMK

その言葉に、サンタフェのオキーフ美術館で見たニューメキシコの赤土色の山々の稜線が、すーっとパレットに宿ったように感じたんですね。YUKIさんが手がけたパレットは、4種類。それぞれに時間軸があります。早朝から昼のラスティックローズへ。太陽がいちばん高く上がった時間帯は、ゴールデンシエナ。そして最後は夕暮れのオータムダスクへ。秋の空の移り変わりが、パレットの色彩に姿を変えました。

 

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上から、アイペンシルのレイブレッド。その下はパレットの右上のブラウン。そこから下に向かって、時計回りにのせてみました

写真は私の今秋、イチオシのキャニオンデイブレイク。夜明けの太陽に照らされる1日の始まりの色彩です。まだ清廉な空気の中でピュアな陽光が揺らめくさまを、極細パールがきらめく右上のベージュブラウンと右下のシマーパールコーラルが体現します。そして繊細だけれど力強い大地のパワーをほんのり届ける左下のマットなブリックレッド。この赤がすごくいいんですよ! ほどよいオークルを帯びていて、肌から浮かずにまぶたに溶け込みます。それぞれのブレンドしても濁らず、眼差しを華やげる。今までとは一味違うタフさも演出できる配色が、新鮮なんですよね。甘め控えめ、少しスパイシー……RMKは、新しいステージに進みました。

あともうひとつ、絶対に触ってほしいのが描き心地が素晴らしいアイペンシル。ジェルオイルなので、バターが溶けるように密着します。アイライナーというよりも、アイシャドーとの中間のような感覚で使える優秀な1本、ぜったいに損しません! あまりに柔らかく、色づきが素晴らしいので、あえてアイラインから始めるメイクアップもおすすめです。オキーフの絵画からのびのびと広がる自由な赤土色は、凡庸なブラウンではありません。

新色を使ったメイクアップのストーリーも、ぜひご覧ください。

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ヴォランタリーベイシス アイパレット EX06 ノースウィンド<限定パッケージ・9月1日発売>¥6,820/Celvoke

秋新色のおすすめパレット、二弾目はセルヴォーグ。まだ発売は来月9月なのですが、あえて寒色を組み合わせた点に注目。イエローやオレンジはセルヴォーグの大得意とするところですが、氷河期を思わせるアイシーブルーを差し込み、色彩の寒暖差をつけた技がさすが。コントラストの効いたパレットの先に見えるのは、新しい時代への雪解けを経た上での希望です。

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氷と土のコントラスト。さすがです
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シグニチャー カラー アイズ 106 冴樹 ¥7,700<8月6日限定発売>/SUQQU

抹茶に弱い私が迷わず選んだのはスックの新色。イエロートーンのシックなカルテットにほれぼれします。京都の秋のイメージ、しませんか?でもね、実際にのせてみると、和洋の垣根を超える普遍的な秋がまぶたに花開くんですよね。渋くきらめくゴールドに、カーキとオレンジ。右下のバーガンディブラウンはシマーな輝きです。秋の木々の印影を写し取ったパレットの名前は「冴樹」。美しすぎる色名、どなたか達筆な方に書道でしたためてほしいくらい。

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京都か奈良に旅したくなるのは私だけでしょうか

秋新色が出そろう頃。まぶたの上の小さな秋、見つけてみませんか?

エディターIGARASHIプロフィール画像
エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

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