透明感って、買えるんです。
久々に会う懐かしい人から、健やかなオーラをもらう機会、増えました。そんなとき、やっぱり自分も澱みのない佇まいでいたいと思うのです。心構えも所作にも、自分に必要なのは、そう「透明感」なんだと改めて実感。尖ったあれこれや不純物を拭い去り、見えないけれど心地よいオーラを差し込んでくれるもの、私の場合は、3つ買い揃えてあります。
表参道のキルフェボンの並びに、素敵な香水専門店があるのを知っていますか? パリの老舗フレグランスメゾン「ドルセー」の世界2店目のフラッグシップショップが、ここなんです。パリ出張中、サンジェルマンの本店に立ち寄ったことがあるのですが、世界一おしゃれな郵便局があるとしたらこんな感じ!と断言したいインテリアに一目ぼれ。東京にもあったらいいのに……と思っていたら、いつの間にかあっちから来てくれました。呼び寄せてくれた人、ありがとう!!
で、「透明感」の話です。友人に「香水、変えた?」と、ちょうど昨日言われてニヤニヤした秘密は、ドルセーのM.A.をつけていたから。上質のリネンのカーテン越しに、室内に差し込む混じりけのない朝いちばんの風と陽光を集めて液体にしたらこうなりました、と表現したい香りです。特定の植物の輪郭は、いっさい立ってきません。無色透明で控えめだけれど、冷たくないし、人を突き放さない。毅然とした一人のおとなとその体温が、透けて見えてくるイメージです。脳内妄想では、モデルのカースティン・オーウェンとすれ違ったら、ふっと香ってきそうなのがM.A.。素肌がほんの少し甘やかになって、やがて自分自身の匂いになる。洋服に置き換えるのなら、上質なベージュ色のシルク素材のボディースーツって感じでしょうか? ミニマルでモード、でも、その人自身を凌駕しない。だから、首の後ろ側に3プッシュ、両腕に1プッシュずつ、贅沢にまとっています。
余談ですが、出会った瞬間に「好き!」と確信した理由は、長年愛用しているMolecule 01のシングルノートである香料、Iso E Superが成分に含まれていたからだったんですね。ただしM.A.は、Molecule 01よりも、やさしくて丸くて、あったかい。今の自分にはこちらがしっくり馴染みます。
自然光にかざして、眺めては眼福をもらっているのがトム フォード ビューティのリップ ブラッシュ。名前通りに解釈すれば「唇のチーク」。唇に付けると水分に反応して、透明感あふれるイチゴシロップのように発色するんです。これまた妄想力を働かせるなら、映画「テス」のナスターシャ・キンスキーのような唇です(美しくも残酷な場面なのですが、苺を与えられるシーンのナスターシャを思い出すんですよね。未鑑賞のかたはぜひ画像検索してみてください……)。透明のバームに浮かぶゴールドフレークとソリッドな黄金色のパッケージ、その佇まいはモダンアートのような美しさ。機能性と美観を兼ね備えた逸品です。
横顔に、斜め45度のプロファイルに、圧倒的な透明感をもたらすのがボーム エサンシエル。パール感ぎっしりのこれ見よがしなハイライターが苦手なわたくし、ニュートラルな「トランスパラン」に絶対的信頼を寄せています。鼻筋に、Cゾーンに、そしてまぶたにも。光を集めたい箇所に、純粋な「光」だけをもたらすタイムレスな名作は、保湿力も十分。肌に内側から染み出すようなつやめきをもたらします。唇の山にスッとのせれば、光と影の効果で上唇のボリュームも演出できてしまうという。
いずれも男性女性など属性を問わないユニバーサルなギフトとしても大活躍。気持ちの良い初秋の光を、もっと楽しみたい人に。超・私的な「透明感」トリオのお話でした。