地平線の彼方の富士山が突然、白化粧になっていて驚いたのが昨日の話。週末は山紫だったのに、一気に季節が移り替わっていきました。透明感のある涼やかな空気に包まれる頃、心惹かれるのが深みのあるワイン色。
2022年のスマッシュヒットといえばリップモンスター。今年最後の冬限定色が師走に発売になります。
速報で紹介する限定色のネームがすごい。「501年熟成ワイン煮」。単なるワインじゃない、煮込んでるところにヤラレタナーと膝を打ちました。しかも5世紀+1年も寝かせたやつです。もはやボトルの中はブラックホールのような深淵のはず。501年を遡ってみると、ときは1521年。武田信玄が生まれ、アステカ帝国が滅びた年、だそう。それからずっと開封していない超ヴィンテージで、いったい何を煮込んだんでしょうか? いや、それとも501年煮込み続けたのか?
甘酸っぱそうなマゼンタの余韻を感じたので、とりあえずいちじくと妄想。ワンストロークでどんな人でもどこぞの国の、ムードたっぷりのカーヴの女王になれてしまいそう、しかもどんなワインの銘柄も当てられそう――そんな葡萄茶色が、唇の上でずーっと持続するなんて。12月に巻き起こる争奪戦に、今からブルっと震えてます。
自分の視野内、それも自分の体の末端に無限の宇宙。ホログラムに瞬くメタリックパールが世にも繊細にキラキラと輝く、エルメスのネイルカラーの新色です。色名は「ヴィオレ・マンガニーズ」、つまりマンガンのスミレ。金属酵素なのに可憐で、堅そうなのにたおやか、相反する矛盾が最大の魅力です。
昨年、エルメスのビューティの第三章として発売された、手もとのためにシリーズ。デビューコレクションはエルメスが得意とするエナメル加工の技術から着想を得ていて、パールや偏光は感じさせない単色のシェードでした。2年目の今回、初めてメタル仕上げの限定色がお目見え。光と影をまといながら、角度によっては赤胴色にも紫紺にも変化するメタリックカラーは、眺めていて飽きません。複雑に偏光する指先に見惚れながら、地層深くに息づく鉱物のパワーを感じることも。地球の鼓動にも想いを馳せられるネイルカラー、素敵すぎませんか? 肌とのコントラストにより、手もとに透明感を運んでくれる配色にも注目。いつもより私の手、きれいじゃない?なんて、ちょっといい気分にもなれちゃいます。
ブラウンとレッドの上品な中間域を良いとこどりしたワインレッド。これ、アイライナーだけじゃなくて、アイカラーとしても重宝するんですよ。色材ピグメントを高配合しているので、見たままの色がそのまま発色。
柔軟性のある太目の芯は、粘膜ラインにもストレスなく色をのせられるのがイイ。下まぶたのアンダーラインになじませ、素早く反対外のチップでスマッジすれば、アイカラーとしても大活躍。一気に眼差しが色っぽく!
指に目もとに、口もとに。きれいな深紅をまとって、香り高いワインを片手にゆるりと―なんて優雅なことは言ってられない多忙な年末シーズンに突入です。それでも少しでも機嫌よく過ごせそうなワインレッド三選を味方に、華麗に駆け抜けたいものです。