春のモヤモヤに、さようなら。4月のご機嫌は、香りで整える

「悩みが多いときは、さっさと布団へ」。これが信条なのですが、健やかな寝つきも簡単ではありません、年頃なので。そんなときの応援団が、ピローミスト。最近のお気に入りが、不思議なかたちの茶色の小瓶。「眠れるアロマ専門店」の柑橘系、3番です。

天然エッセンシャルオイルをブレンドしたスプレータイプのブランドです。毎度のことですが、ブリトニーのI Did It Againのサビを脳内再生しながら反省＆自戒にがんじがらめになる仕事疲れの夜なんて、特に頼もしい。ベルガモットの透明感あふれる甘酸っぱい柑橘が、マインドをお掃除してくれます。緊張感をゆるゆると解く数プッシュ、揺らぎがちな日は、枕のついでにカーテンにもシュッシュして、アロマの「結界」を演出。寝室のムードが、一気に心地よく変わります！

今年の桜は早かった。見頃の週末、東京はあいにくの雨模様だったので、消化不良の人も多いはず。それなら、ディプティックのフレグランスキャンドルで夜桜気分はどうでしょう。

ローズやスズラン、イランイランにラズベリーなどの邂逅。ムスキーフローラルなほんのり甘やかな春風のような空気は、時空を巡って遠い初心を目覚めさせます。ごくごく控えめで、まさにこれぞ桜。あまり苦手な人はいないのでは？ と思わせるイノセントな香りをSPURが推す理由は、もうひとつ。売上の5％が「桜ライン311」に寄付されるから。陸前高田市の桜の植樹につながるNPOの活動に、ささやかな願いや想いを託すことのできるキャンドルなのです。

ここ半月ほど、ハマっているのがCARONの新作香水。怒涛の年度末、疲労困憊でよろめく心身を支えてくれてくれているのが、ムスキーウッディのムスク・オリです。

ファッション領域で「セカンドスキン」はカテゴリーとして確立しましたが、香水界でも同じです。「セカンドスキン」パフュームは、ひとつの柱として存在感を増していますよね。素肌にぴったり寄り添って、それひとつでも控えめに主張する、透明な香り。上からレイヤーするものがあってもそれを邪魔せずに、互いを引き立てながら新しい美を見せてくれます。

CARONといえば誕生は1904年、タバック・ブロンやネメ・ク・モワ、ナルシス・ノワールといった名作を世に放ち、2021年より第二章として再始動した現在も、他ブランドよりも高配合の独特なフォーミュラで愛され続ける「玄人系」。1世紀以上の歴史をもつこのブランドが今回、新たな冒険の幕開けを象徴するような作品を発表しました。クリエーションの核となったのは、CEOの四女、21歳のオリヴィア・ドゥ・ロスチャイルド。彼女が愛するサンダルウッド系の分子成分、ジャヴァノールを主役に、専属調香師のジャン・ジャックは合成ムスクのカシュメランをその相方に選びました。

100％合成香料のフォーミュラなのです。それもとびきりリュクスな原料を「鼻」のジャン・ジャックは選び抜きました。肌に溶け込む心地よい一体感を味わえる、自分のための香り。洗い立てのリネンのカーテンが風にたなびいているようなフレグランスです。個人的な好みでもあるのですが、上記の二軸に加えて、おしゃれなアンバーウッディを底上げするアンブロクサンもたーっぷり配合されています。この香りに曲をつけるとしたら、マイリー・サイラスの「フラワーズ」と断言したい。自分のいちばんの味方は自分。自分を好きになれる、力強くて、でも穏やかで、圧倒的な安らぎを約束するウッディムスクです。

少し心細くても大丈夫。来週からの新年度、春のモヤモヤに負けないための３つの香りの相棒のお話でした。