シャネルのビューティを発信する担い手に3人の女性が選ばれたのは、去年のビッグニュースでしたよね。多様性を体現するユニットの名前は「コメット コレクティヴ」。1932年に発表されたシャネル初のハイジュエリーには、「女性を輝く星空で包んでしまいたい」という願いが込められていました。そのひとつのコメットにちなんだ、キラ星のようなメイクアップアーティストトリオは、ガンビアをルーツにもつスペイン人のエイミー・ドラマ、アントワープ王立芸術アカデミー出身でパリ拠点のセシル・パラヴィナ、そして中国広西省出身のヴァレンティナ・リー。3月1日発売の待望の新色は、ヴァレンティナが手掛けたコレクションなのです。
色名は「人魚の輝き」!真珠母貝のようなバームはマストバイ
人気のボーム エサンシエルの新色にまずは注目です。名前からして魅惑的。マーメイド グロウっていうんです。ヴァレンティナのネーミングのセンス、素敵すぎませんか。
マザーオブパールのような、奥行きと揺らぎのあるピンクトーンの虹色を描きます。控え目、あくまで控え目。でも桜色とゴールドのピグメントが絶妙な塩梅で配合されているので、視線を離せなくなる華やかさがあるんです。ボームのテクスチャーは健在。ストレスのないするするとなめらかな肌あたり、そして健康的なハリをもたらすようなグロウ感。ピンクの偏光力ともあいまって、ぱんっと若々しい血色と輝きを素肌にもたらしてくれます。このスティックバームは、どんな人でも1本もっていて間違いない。鼻筋に、頬骨に、眉下に、すっと引けば真珠母貝のような繊細で、やさしいきらめきが表情に加わります。
白蝶貝のようなきらめきをメイクアップに
アクアティック・ブルーのハイライターも見逃せません。ふたつの水紋が揺らめく美しいエンボスは雫が二滴、水面に触れた瞬間を切り取ったような美しさ。二つの弧が寄り添って、Cが重なったブランドのコードとも呼応します。
ワンストロークで、オーシャンブルーの光がナチュラルに宿ります。海に潜ったときに、見上げた水面から差し込む一筋の陽光のようなイメージ。2、3ストローク重ねればゴージャスでイリデッセントなハイライトに。ブルーのピグメントが優勢なので、青みをアクセントにしたクールな表情を演出できるのがポイントです。唇のキューピッドラインにさっとのせて、上品なコントラストを狙うのもおすすめ。
上記のローシャンが早朝の海なら、こちらの水面は夕暮れ時の海原。コーラルオレンジと、ピーチピンクの2つのシェードに、やはりふたつの波紋が交差します。左側のソフトコーラルはヘルシーに、右のウォームピンクはピュアな血色に。ミックスすれば、ローズピンクの高揚感をブラッシュに託せます。ちなみに色名は「バラ色の貝」。
海はこんなにカラフル。4色パレットが教えてくれます
レ キャトル オンブルは2つ。「海岸」という名前のシェードでは、ヴァレンティナはアクセントカラーにターコイズを選びました。
みずみずしい蒼から、トープ、シャンパン色、ピンクゴールドへ。そう、このパレットは、海と陸とが出会う場所なのです。
サンゴ礁がインスピレーションのウォームトーンのパレット。
フューシャとマットなマンダリンオレンジをアクセントに、海底に広がる花畑のようなサンゴ礁へといざないます。ともに中心から広がる波紋のようなエンボスデザインも、海のイメージにぴったり。
水に強い水色です。やわらかな芯で使い心地に圧倒的な支持を集めるアイペンシルは、ビビッドな群青色で登場。アイラッシュのキワにシュッと引いて、アビスブルーのまなざしに。
ブルーラグーンというカクテルがあるけれど、それがシロップになって指先を彩ったようなネイルもお目見え。
複雑な青の陰影の美しさよ!
口もとはサンゴ礁に溶け込むようなローズベージュを選んで。
ヴァレンティナは自然豊かな河のそばで育ったそう。水辺で成長し、常にその色彩に魅せられていたからこそ彼女の美観は自由に、伸びやかに羽ばたいたのだなと納得しました。
「コメット コレクティヴ」のひとりずつがコレクションを手掛けていくというシャネルの新チャプター。次はセシル? それともエイミー? 若い才能が開拓する新しいビューティの景色が楽しみです。