20歳の写真家、石田真澄の光に触れる #深夜のこっそり話 #1077

先日、高校の同級生たちが家を訪ねてきてくれました。久しぶりの再会だったので、まずは互いに近況報告をし合い、それが終わると学生時代の話に花が咲きました。それはもう出るわ出るわ、痛々しい思い出ばかりが次々と(笑)。封印していた当時のチェキやプリクラ、雑誌に載ったスナップ写真をみんなで見返しながら、抱腹絶倒な一夜を過ごしました。

恥ずかしい過去をふり返ってみて、じんわりと思い出したのは、そういえば10代後半〜20代前半の頃はいろんなことに悩みまくっていたっけ、ということ。何を学び、どんな仕事につくか、誰と付き合い、どんな服を着るか……。些細なことでもいちいち思いを巡らせていました。人の親になった今にして思えば、それらすべてが初々しくて愛おしい。

30代になり家族も増えると、抱える悩みの数こそ減ったものの、ひとつひとつが切実だし、胃がもたれそうなほど重くてしつこいものばかりになってきました。炭酸水のように爽やかで、夢のある悩みに浸っていた、あの頃が懐かしい。ふと青春時代が恋しくなり、QUIET NOISE arts and breakで開催中の石田真澄さんの写真展「evening shower」を見に行ってきました。

弱冠20歳にして数々の雑誌や広告で活躍する写真家である傍ら、進路に悩む大学生という一面もある石田さん。今回展示されているのは、彼女が高校を卒業してから20歳の誕生日を迎えるまでの間に撮られた作品です。

夕暮れを切り取った、美しくセンチメンタルな世界。どこか憂いを帯びていて、ときに胸がギュッとしめつけられる一方、ちょっとした遊び心が散りばめられているせいか、不思議と楽観的な気持ちになれます。特に彼女の作品にたびたび登場する優しい光は、ただぼんやりと眺めているだけで心の隙間を埋めてくれるような、とても心地のいいものでした。

20歳という人生の節目を迎えるにあたり、一人の若者が抱く不安と希望。そのリアルな揺らぎが光を通して見え隠れする石田さんの作品は、見る者にとてつもないノスタルジーと共感を与えてくれます。全て見終わったときには、心の隅に眠っていた感覚が呼び起こされるはず。ぜひこの機会に足を運んでみてください。写真展は2月24日(日)までの開催です。

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エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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