しょっちゅうってわけじゃないけど、たまに無性に、しかも夜中に突然食べたくなるものってありませんか? 私の場合、あえて3つ選ぶとしたら、551の豚まんとケンタッキーのフライドチキン、それから紀ノ国屋のカスタードプリンです。
表参道に行く用事があると、よほど急いでない限りは必ず立ち寄るくらい、紀ノ国屋が好きです。あそこはもう、スーパーっていうか楽園ですね。高級食材や輸入菓子は見ているだけでワクワクするし、たとえコンビニと同じものが売られていても、ちょっと特別に見えてしまう。あの空間がもたらすイリュージョンがあるんです。私はそれを、クラブマジックならぬ「紀ノ国屋マジック」と勝手に呼んでいます。
プチ贅沢を満喫できる紀ノ国屋においてあるものは、どれも全部おいしそうなのですが、中でも私が神商品と崇めているのが前述したカスタードプリンです。
アルミカップに入った、手作り感あふれるルックス。この時点ですでにそそられます。高級スーパーのオリジナル商品とはいえ、気取った感じはいっさいなし。地元で何十年も続く、小さな洋菓子店で売られていそうな懐かしさがいいんですよね。
味もまた、見た目に呼応するかのような、素朴でクラシックなおいしさです。とろとろ食感のなめらかプリンがもてはやされる昨今ですが、私は断然固め派。しっかりとした固さのある紀ノ国屋のカスタードプリンは、だから絶品なんです。スプーンですくったときの確かな弾力に「そうそう、これこれ」とよだれを垂らし、口の中でたっぷりと感じる卵のコク深さに「ああ、たまらん〜」と目がくらみます。
前半は卵感だけを存分に楽しみ、後半戦に入ったらカラメルを混ぜるのが自己流。待ってましたと言わんばかりに濃茶のソースがカップの底から湧き出てくる、あの瞬間が大好きです。突然押し寄せてくる濃密な苦甘さにガツンと刺激を受け、最後はビターな余韻を引きずりながらフィニッシュ。ボリューム、甘さ、食感、すべてにおいて完ぺきです。さすが紀ノ国屋! ありがとう紀ノ国屋!
ところでこのプリン、たまーに家の近所の京王ストアでも売られていることがあります。運よく出くわすと、賞味期限けっこう短いのに、つい気持ちが高ぶって3個ぐらい買ってしまいます。それで毎回ちょっとだけ後悔するんですよね(笑)。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。