旅の締めくくりに何を食べるか。これってけっこう重要だと思うんです。だいたい最終日は、飛行機や電車の時刻に追われて慌ただしいじゃないですか。お土産も買わなきゃいけないし。そんな中でも、記憶に残る美味しいものを頬張りながら、旅の名残を噛みしめるんです。これこそ、理想的な旅の終わり方だと思うんですよね。
かくいう私は、大型連休中どこへも旅に出ず、京都の実家に帰省してゆるりと過ごしました(笑)。毎度のこと、京都らしいことはろくにしないのですが、帰京する直前に食べるものだけはこだわっています(格好良く聞こえますが、食いしん坊なだけ)。
今回は、創業230年以上を誇る京寿司の老舗、いづうの「さば雀寿司」をチョイス。店で食べるのもいいですが、おすすめは持ち帰りです。理由は、木版画で摺られた掛け紙が美しいから。お目当てにたどり着く前に眼福を得られるし、京都を堪能できます。しかも、季節や歳時記ごとに6種類の絵柄が楽しめるんですよ。
竹皮を開けると、鯖姿寿司と小鯛の雀寿司が3貫ずつ。ひとつひとつ丁寧にくるまれている昆布を外してからいただきます。説明書きによると、時間とともに、昆布の旨み成分が寿司全体に移っていくのだそう。昆布を外すときに糸を引くのを見て、「おぉ、旨みが出とる、出とる」と脳内でつぶやきながら、ほくそ笑んでしまいます。
鯖は肉厚で脂がのっていますが、脂っぽさはなく、キリリとした味わい。小鯛は甘みがふんわりと広がり、優しく上品です。どちらも塩と酢がよくなじみ、まさに旅のシメにふさわしい締め加減(って、うまいこと言ったつもりだけど旅はしてない)。これからの季節は、冷酒と合わせるともう最高でしょうね!
風情ある掛け紙を眺めながら、帰りの新幹線の車内でじっくりと味わう。これが理想ですが、1歳児のやんちゃ坊主が一緒なので、優雅に寿司を食べる余裕なんてまったくありません。結果的には、今回も超ドタバタな京都最終日なのでした。
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。