エルメスの世界に包まれて #深夜のこっそり話 #1160

「エルメスがラジオを開局」。何のことかと思われるかもしれませんが、事実です。エルメスのメンズコレクションを30年以上ディレクションしている、ヴェロニク・ニシャニアンのクリエイションに着想を得た、オンラインラジオ、そして体験型のラジオステーションが原宿にオープンしました。

ポッドキャストが流行ってるこのタイミングで、自分たちのラジオ番組を作るという斜め上のアイデアもさることながら、特筆すべきは玄人好みの人選。RADWIMPSの野田洋次郎さん、向井太一さんといったお馴染みのアーティストに加え、現代アーティストの名和晃平さん、フローリストの東信さん、モデルのUTAさんなど「ラジオで何話すんだろう」という興味をそそられる面々が、ゲストとして名を連ねます。

原宿、CASE Wにて開催中のラジオステーションでは、VR体験や、シルクスカーフカレをモチーフにした新感覚のレコード視聴スペースなど、エルメスならではの遊び心にあふれたコンテンツが目白押し。開催期間は月末まで、詳しくはニュース記事でもご紹介していますので、公式の特設サイトと合わせて是非チェックして下さい。

個人的には、明日9月25日(水)の20時から放映される、是枝裕和監督とリリー・フランキーさんのトーク番組が気になります。27(金)放映のFPM田中さんのプレイリストも気になる〜!

さて、少し話を脱線させます。先日、毎シーズン楽しみにしている『エルメスの世界』が先日届きました。『エルメスの世界』とは、エルメスが発行する季刊誌のこと。要するにシーズンカタログのような刊行物なのですが、中には白背景の商品写真はおろか、価格の表記すら見当たりません。

ページを開けると目に飛び込んでくるのは、ピントの合っていない、それでいて想像を掻き立てられるアーティスティックな写真。若干読みづらいレイアウトながら、ハッとするほど思慮に富んだコピー。インスピレーションに溢れた誌面は、文字通りユーモアに満ちたエルメスの世界へと私たちを誘います。

「好奇心と深い洞察力をもってすれば、夢は必ず現実になる。ただし、そのためには常に夢を見続けなければならない」。カバーに添えられた、エルメスジャポンの社長である有賀昌男氏のメッセージは、かのダイアナ・ヴリーランドの有名な言葉とオーバーラップします。目先の利益ではなく、数歩先を見据えて、夢を与え続けること。そんな存在にいつかなれるだろうか。エルメスという圧倒的な “世界観” に包まれ、ふと自分を顧みるのでした。

ちなみに物欲に支配された私の場合、先のポップアップで無造作にプロップとして並べられたバッグに目を輝かせたことは、ここだけの秘密です。

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