京都生まれのファンタジック羊羹 #深夜のこっそり話 #1174

「コーヒーゼリーの花ようかん」。初めてその名前を目にしたときは「なんのこっちゃ?」というのが正直な感想でした。コーヒーゼリーなのか羊羹なのか、はたまた花なのか。ミステリアスなネーミングとパッケージの繊細なイラストがなんとも言えない化学反応を起こしていて、理性を超えた本能が「食べたい!」と訴えてきました。

思わずパケ買いした魅惑の甘味は、京都市内にある小さな珈琲焙煎所・旅の音と有名京菓子店の七條甘春堂とのコラボレーションによる新旧の折衷。新進気鋭の個人カフェと老舗菓匠の共演だなんて、それだけでうっとりしちゃいます。コーヒー消費量日本一であり、悠久の歴史と伝統を持つ京都だからこそなせる技なのでしょうか。

袋を開けると色彩豊かなたたずまいに意表を突かれました。表面がゼリー状になっていて、中にラズベリーの赤紫とミントの鮮烈なグリーンが閉じ込められているんです。商品名にもあるように、そこには確かに「花」が咲いています。

ゼリーの花畑の下にはミルク羹、羊羹、コーヒーゼリーが重なる四層仕立て。美しい断面を網膜に焼きつけるべく、かがんでじっくり眺めてみました。息子がプラレールの電車と目線を合わせるために寝そべって遊んでいるのですが、彼の行動心理が改めて理解できた瞬間でした。

職人技に敬意を表しながらうやうやしく口に運ぶと、それはもうめくるめく味のトリップ! ラズベリーとミントの爽快感、羊羹のコク深い甘さ、コーヒーのふくよかな香りが次々と口内に押し寄せます。それは「ようかん」というよりもパフェに近い感覚。最後は酸味のきいたほろ苦さがくっきりと残ります。まるで挽きたてのコーヒーを飲んだような、どっしりと奥深い後味です。

コーヒー好きが転じて、こんなファンタジックな和菓子まで生み出してしまうとは! 旅の音のオーナー、北辺さんの発想力とセンスには脱帽です。「コーヒーゼリーの花ようかん」は旅の音と七條甘春堂の両店舗で購入できるほか、それぞれのオンラインショップでも販売中。目にも口にも華やかな逸品をぜひ一度味わってみてください。

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エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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