特に気にしているわけでもないけど、ニュースを聞いていると必ず耳に入ってくる「今年の漢字」。2020年は案の定「密」でしたが、個人的な今年の漢字は……ずばり、「愛」です。多くの人が家族や大切な人との精神的繋がりをより一層意識した年だったと思いますが、私もそんな一年でした。おしゃれをして出かけられないもどかしさを感じる度に「こんなに好きだったんだ」とファッションへの愛を思い出したり、離れて住む家族にはギフトに乗せて感謝と愛を贈ったり、今まで当たり前のように側にあった愛を再認識したような気がします。
こうして振り返ると「愛」がテーマだった2020年、出合えてよかったと思えるのが一本の香水です。それは日本橋髙島屋 本館 二階 GALERIE LE CHIC(ギャラリー ル シック)にて購入したフランスのフレグランスブランド、LIQUIDES IMAGINAIRES(リキッド イマジネ)のFleuve Tendre(フルーブ タンドル)。香りのテーマとなっているのは、17世紀に活躍した作家、マドレーヌ・ド・スキュデリの著書内に登場した『恋愛の国の地図』という挿絵だそう。ちなみに『恋愛の国の地図』と聞いて思い出したのは、GUCCI(グッチ)2016年春夏コレクション。スパンコールで描かれるトロンプルイユのディテールにハートを射抜かれたあのコレクションのテーマも、『恋愛の国の地図』でした。(ルック4はまさにその地図!)
スキュデリ嬢が思い描いた『恋愛の国の地図』は、二人が正しく読み進んでいくと結ばれる結末になるわけですが、そこには「無関心の湖」や「自己満足の村」に続く様々な道があり、二人の安息の地へ簡単にはたどり着けない設計になっています。そんな高難度の地図を読み解く鍵となるのが、フルーブ タンドルの香りというストーリー。香りに導かれ結ばれる運命なんて、素敵すぎませんか? 香水自体の香りはもちろん、そのストーリーに恋して、気がつけば買っていました。
現実世界では本当の恋愛でも、愛を込めた仕事でも、良い結果にたどり着くための正しい道筋が描かれた地図なんてありません。いつだって分岐点と落とし穴がいっぱい! 2020年は思い描いていた地図や読み進めていた地図がまっさらになった年でしたが、この香りを頼りに進んでいこうと、お守り的に身につけているのでした。どんな愛に導いてくれるかは、これからのお楽しみということで。
ネイルを塗っている時間が好きです。ポーチ、名刺入れ、スマホケースなど、ついピンクの小物を選びがち。臆病&やんちゃな黒猫2匹が相棒です。